OpenAI(オープンAI)のCEOを務めるSam Altman(サム・アルトマン)氏らが手掛けるIDプロジェクト「World(ワールド)」は20日、都内で東京大学(松尾・岩澤研究室)との産学連携に関するメディアイベントを行った。
Worldは、AIの普及による「なりすまし」などを背景に、オンライン上で人間とAIの区別が難しくなる中、「実在する人間であること」を証明するデジタルID基盤の構築を目指すプロジェクト。
ユーザーは専用デバイス「Orb(オーブ)」で顔や目の写真を撮影し、虹彩認証によって一意性が検証されることで、「World ID」と呼ばれる識別子を取得できる。Orbはすでに、東京や神奈川など国内でも約200カ所に設置されているという。

同IDは匿名性を保ちながら利用できる設計となっており、サービス上での認証や暗号資産「ワールドコイン(WLD)」の発行などにブロックチェーン技術が活用されている。
プロジェクトのアプリ開発などを担うTools for Humanity(TFH)は米サンフランシスコに本社を置き、アルトマン氏が共同創業者兼会長を務めている。
この日はまず、TFH日本代表の牧野友衛氏が登壇。Worldの概要を説明するとともに、AMPC(匿名化マルチパーティ計算)領域で日本初となる東京大学との連携について発表した。同大学は、米カリフォルニア大学バークレー校などに続く5つ目のノードパートナーになるという。

牧野氏は、AI時代における人間証明の信頼性確保に向け、学術的知見を取り入れる意義を説明。また直近のアップデートとして、本人確認に「ゼロ知識証明」を活用する仕組みやマッチングアプリ「Tinder」との連携などを紹介した。
ブロックチェーンは、前提となるインフラ
後半では、今回の連携先である松尾豊教授との対談も行われた。松尾氏は、日本のAI研究の第一人者としても知られている。
牧野氏は提携のきっかけについて、2024年にTFHのアレックス・ブラニア(Alex Blania)CEOが来日し、松尾氏を訪問したことが出発点だったと説明。その後、AMPCの構想が具体化する中で同大学にネットワークへの参画を打診し、今回の連携に至ったと述べた。
松尾氏はブラニア氏の訪問を振り返り、「人類の未来やAIの進展について強い共通認識があった」とし、世界を変える技術の拠点を担うことは非常に意義が大きいと強調。生成AIやAIエージェントの進展により、「画面の向こうにいるのが、人間かAIか判別できない状況が現実になっている」とし、グローバルに通用する人間証明の仕組みが不可欠だと説明した。

Worldの取り組みについては、「AI時代に安心して技術を活用するための基盤となり得る」と期待を示し、こうした技術が社会に広がり、日本での取り組みがその初期事例として位置づけられることに意義があると語った。
対談後には質疑応答が行われ、NADA NEWSはブロックチェーンの位置づけについて牧野氏と松尾氏に質問した。両氏はブロックチェーンに関して、「すでに社会インフラの一部として普及した技術」との認識を示し、プロジェクトの各種認証にも活用していると説明した。
松尾氏は、AIエージェントによる決済などで活用されている事例にも言及し、「面白い組み合わせ」だと指摘。そのうえで、今回のような人間証明の仕組みも含め、AIとブロックチェーンがいずれも社会基盤として活用が広がっていくとの見方を示した。
|文・写真:橋本祐樹
|トップ画像:Tools for Humanity日本代表の牧野友衛氏(左)と東京大学の松尾豊教授
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