クラーケン親会社Payward、欧州の銀行を「まもなく買収」へ=CoinDesk

暗号資産(仮想通貨)取引所Kraken(クラーケン)の親会社Payward(ペイワード)が欧州の銀行を「まもなく買収する」と、Arjun Sethi(アルジュン・セティ)共同CEOが明らかにしたと、CoinDeskが9月26日報じた。

買収先は公表されていない。Bloombergは7月14日、関係者の話として、ペイワードがリトアニアの銀行買収を計画し、特定の銀行と協議していると報じた。ただし、買収には規制当局の承認が必要で、成立する保証はないという。

背景には、暗号資産取引所から総合的な金融インフラ企業へ事業を広げるペイワードの戦略がある。中核となるのは、資金と資産を共通の台帳で管理する「ワン・レジャー」構想だ。

従来の金融では、銀行や証券会社、清算機関などが別々に取引記録を管理している。セティ共同CEOは、共通基盤を使うことで、資産移転に必要な照合や仲介を減らし、取引を効率化できるとの考えを示した。

同社は、クラーケンによる取引、銀行、資産運用、法人向けインフラ「Payward Services(ペイワード・サービス)」の4分野を同じ基盤で運営する方針だ。ペイワードは自社開発に加え、規制認可や専門技術を持つ企業の買収を通じて必要な機能を取り込んでいる。

同社は米先物取引プラットフォームNinjaTrader(ニンジャトレーダー)を15億ドルで買収した。4月には、米デリバティブ企業Bitnomial(ビットノミアル)を最大5億5000万ドルで買収することで合意した。これにより、取引所や清算機関を含む米国の規制下にあるデリバティブ基盤を取り込む。

Payward's 2025–2026 acquisitions table: NinjaTrader (.5B trading), Bitnomial (<img .6B), Backed Finance (undisclosed), Breakout (undisclosed), Magna (undisclosed), Reap (undisclosed) with colored pillars on the right.
<ペイワードの主な買収実績|CoinDesk>

銀行分野では、ペイワードが5月、米通貨監督庁(OCC)に国法信託銀行免許を申請した。承認されれば、機関投資家や適格な個人顧客にデジタル資産のカストディや信託サービスを提供する計画だ。

欧州では、電子マネー機関や暗号資産サービス事業者として認可を取得している。8月には、欧州経済領域の対象顧客向けに、7000銘柄を超える米国上場株式の取引サービスを開始した。Bloombergは、今回の銀行買収計画を欧州事業の拡大戦略の一環と報じている。

法人向けのペイワード・サービスでは、カストディ、流動性、法令順守、決済などの機能を共通のAPIで提供する。セティ共同CEOによると、少なくとも25社が同基盤を使ったサービスを開発しているという。

資産運用分野では、トークン化株式を起点に、仕組み商品や信用商品などへ対象を広げる。顧客が資産をペイワードの基盤上に置いたまま、複数の運用商品を利用できる仕組みを目指すとしている。

CoinDeskによると、ペイワードの2026年第2四半期の調整後売上高は5億800万ドルで、前年同期比17%増となった。セティ共同CEOは、同社が黒字を維持しており、事業拡大に必要な投資を自社のバランスシートから賄えると説明した。

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|文:平木 昌宏
|画像:Shutterstock