米国の予測市場大手Kalshi(カルシ)が提供する暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のパーペチュアル先物(永久先物)で、不自然に似通った取引が繰り返されていた。米商品先物取引委員会(CFTC)が取引状況を確認していると、The Wall Street Journal(ウォール・ストリート・ジャーナル:WSJ)が9月22日報じた。
WSJによると、8月以降、単一の市場で100万件近い取引が発生した。直近では取引の3分の1超が約5500ドルの規模に集中し、過去1カ月の取引高は50億ドルを超えた。CFTCは執行調査を正式に始めるか判断する前段階としてデータを精査しているという。
永久先物は満期日がなく、原資産を保有せずに価格変動を取引できる金融商品である。CFTCは5月29日、カルシが申請したビットコイン(BTC)永久先物の上場を承認した。同社はその後、ETHを含む暗号資産の永久先物を投入し、予測市場以外の金融商品へ事業領域を広げてきた。
この取引では、ETH価格の変動に応じて契約数が変わる一方、1件当たりの取引額はほぼ一定に保たれていた。このため、一定の金額を自動的に売買するプログラムが使われた可能性がある。こうした発注方法自体は、機関投資家やマーケットメーカーの間でも利用されている。
一方、カルシは新しい市場の流動性を確保するため、一部のマーケットメーカーに月額報酬を支払い、一定規模の売買注文を継続的に提示するよう求めている。WSJによると、一部の大口参加者には取引手数料の免除や、取引高の目標達成を条件とする株式取得の機会も提供されているという。
カルシは、こうした流動性供給策が今回の取引パターンにつながったと説明している。9月22日付の公式ブログでは、水増し目的の仮装売買(ウォッシュトレード)を否定した。

もっとも、カルシの公開データからは取引参加者の身元を確認できない。同社が説明する口座数や参加者間の関係について、外部から独立して検証することは困難である。
ウォッシュトレードとは、実質的な損益やポジションの変化を目的とせず、売買が活発であるように見せかける取引を指す。CFTCは2月25日の予測市場に関する勧告で、事前に取り決めた取引やウォッシュセールが商品取引法に違反する可能性を示している。
カルシがCFTCに提出した手数料還元制度の資料では、疑わしい自己取引やウォッシュトレード、事前に取り決めた売買を還元対象から除外すると定めている。ただし、約5500ドルに集中する取引は、9月の制度変更より前から確認されていた。
WSJが取材した専門家は今回の取引パターンを異例と評価する一方、正当な理由で発生した可能性もあると指摘した。
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|文:平木 昌宏
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