米資産運用会社VanEck(ヴァンエック)は9月18日、時価総額上位のデジタル資産トレジャリー企業(DAT)10社を対象に、役員向け株式報酬制度を比較した調査結果を公表した。Metaplanet(メタプラネット)は、10社で唯一、最低区分の「Bad」と評価された。
調査では、株式報酬枠の大きさ、役員への配分、株主投票を経ずに報酬枠が増える仕組みの有無、業績条件の有無を比較した。
比較対象は、Strategy(ストラテジー)、BitMine Immersion Technologies(ビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ)、Strive(ストライブ)など10社である。
このうち6社が「Good」、3社が「Acceptable」とされた一方、メタプラネットは4項目すべてで問題があると判断された。

背景にあるのが、メタプラネットが役職員向けに発行した第10回新株予約権、いわゆるストック・オプション(SO)である。1株当たりの行使価額は10円に設定されている。
このSOは、同社が経営再建の途上にあった2023年、役職員の引き留めや事業転換への貢献を促す目的で導入された。当初は4600万株相当だったが、増資などで完全希薄化後の株式数が増えるたび、SOの対象株式数も自動的に増える設計だった。
メタプラネットは2024年4月、ビットコイン(BTC)を財務資産として保有する戦略へ転換した。その後、株式発行を伴う資金調達を重ねた結果、SOの潜在株式数も拡大した。同社の8月18日付開示によると、一時は3億1946万4000株まで膨らんだ。
一般株主が増資による持ち分の希薄化を受ける一方、役職員が10円で取得できる株式数は増える構造だった。Xでは以前から、こうした「10円SO」の規模や仕組みに苦言を呈し、見直しを求める株主の声が複数上がっていた。
同社は8月18日に増資連動条項を廃止し、9月11日には潜在株式数を41.1%削減した。ただし、行使価額は1株10円のままで、交付済みの8282万4000株も返還されない。ヴァンエックは見直し後も、報酬枠は完全希薄化後株式数の14.7%、役員分は8.2%、最大の役員1人分は3.8%に上ると算定した。
他の9社平均と比べると、報酬枠は約3.7倍、役員分は約10.4倍、最大の役員1人への配分は約5.9倍となる。最大の報酬にも業績達成条件がなく、継続勤務のみを条件として10円で行使できる点も問題視された。

ヴァンエックは、メタプラネットがビットコイン購入のために株式を発行するたび、見直し前は役職員の報酬枠まで拡大していたと指摘した。
調査では、制度変更前に購入したビットコインの価値のうち、実質的に株主に帰属する割合は約80%にとどまり、残る約20%が経営陣向けの希薄化に吸収され得る構造だったと試算した。
メタプラネットは報酬枠を縮小したものの、ヴァンエックは低い行使価額や業績条件の欠如、株主承認を経ない変更などが残るとして、「Acceptable」にも届かないと結論付けた。
【次に読む】
» メタプラネット、株式の希薄化を抑制へ──ストックオプションの拡大に歯止め
» メタプラネットCEO、株主からの批判に「説明十分でなかった」──経営陣の報酬めぐり
» 【ST最前線】不動産STのその先へ──大和証券・澤氏が描くオンチェーン資本市場
|文:平木 昌宏
|画像:VanEck公式サイトより(キャプチャ)
|トップ画像:メタプラネット公式サイトより(キャプチャ)