ステーブルコイン利回り規制、銀行融資への影響はわずか──米CEA試算

米大統領経済諮問委員会(CEA)は9月15日、ステーブルコインの利回りをさらに厳しく規制しても、銀行融資を守る効果は小さいとする再検証結果を公表した。銀行業界からの反論を受け、ステーブルコイン市場が大きく成長した場合も含めて、試算の前提を説明している。

ステーブルコインは、米ドルなどの価値に連動するよう設計されたデジタル資産だ。米国のGENIUS Act(ジーニアス法)は、2025年7月18日に成立した。発行者に対し、発行額と同額以上の準備資産を保有することなどを求める、決済用ステーブルコインの法律である。

同法は、発行者が保有者に利息や利回りを支払うことも禁じている。一方、CEAによると、取引所などの第三者がステーブルコインの保有者に報酬を付ける仕組みは、同法で明示的に禁じられていない。この第三者による報酬も規制すべきかが、現在の争点だ。

銀行業界は、報酬の付くステーブルコインが銀行預金の代わりになり、融資に影響すると訴える。米国銀行協会(ABA)は4月13日の反論で、CEAは市場が拡大した場合の預金流出を十分に捉えていないと批判した。

特に地域の中小銀行は、預金が流出すると資金調達費用が上がり、住宅ローンや中小企業向け融資を減らす可能性があるという。ABAなどは9月10日にも、暗号資産(仮想通貨)の市場構造を定めるクラリティ法案で利回り規制を強めるよう議員に求めた

これに対しCEAは、4月8日の研究論文で市場拡大も想定していたと説明した。9月15日の再検証では、銀行業界などから寄せられた異論を取り上げ、条件を変えた試算を改めて示している。

CEAの基本ケースでは、利回りを全面的に禁じると約540億ドルがステーブルコインから銀行預金へ移る。一方、銀行融資の増加額は約21億ドルで、融資残高の0.02%にとどまる。地域の中小銀行の融資増加額は約5億ドルとの推計だ。

CEAは、ステーブルコインの購入に使われた預金が、銀行システムから必ず消えるわけではないと説明する。発行者が準備資産として米国債を買えば、その売り手は代金を銀行預金として受け取る。預金の持ち主や預け先は変わるものの、銀行全体の預金が同じ額だけ減るとは限らないという。

市場規模を広げた場合も、CEAの結論は大きく変わらない。ステーブルコインの規模が銀行預金の約1.7%から10%へ拡大するケースでは、利回り禁止による融資増加額を約111億ドル、融資残高の0.09%と試算した。

Informative table showing Baseline and various scenarios (Six-fold share, high yield sensitivity, break-even cash share) with reserves, loans, welfare, and a LOAD button.
<利回りを全面的に禁じた場合の銀行融資増加額に関するCEAの試算|米ホワイトハウス>

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|文:平木 昌宏
|画像:Adobe Stock