●FRBは政策金利を0.25%引き上げ、3.75~4.00%とした。ウォーシュ議長は、米国経済と雇用は堅調である一方、「インフレは高すぎる状態が長く続いている」と強い警戒感を示した。
●ビットコインは記者会見中に7万5,000~7万6,500ドルの間で乱高下。今後は追加利上げだけでなく、米長期金利、現物需要、短期保有者の損益動向が焦点となる。
FRB、約3年ぶりの利上げを全会一致で決定
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を0.25%引き上げ、3.75~4.00%とすることを決定した。利上げは2023年7月以来、約3年ぶりとなる。
採決は12対0の全会一致だった。トランプ大統領が繰り返し利下げを要求するなか、FOMCが反対票なしで利上げを決定したことは、物価安定を最優先するFRBの強い姿勢を示している。
ウォーシュFRB議長は記者会見で、「明白な事実として、インフレは高すぎるうえ、その状態が長く続きすぎている」と発言。今回の利上げは、インフレ率をより早く2%目標へ戻すための措置だと説明した。
米国経済は利上げに耐えられる
FRBが利上げに踏み切った背景には、米国経済の底堅さがある。
ウォーシュ議長は、国内支出は堅調で、生産性の伸びや企業の設備投資も力強いと指摘。失業率は約4.1%と低く、労働市場はおおむね完全雇用の状態にあるとの認識を示した。
最新の経済見通しでは、実質GDP成長率の中央値を2026年2.3%、2027年2.4%と予測。失業率は2026年から2029年まで4.1%で安定すると見込んでいる。
雇用面が安定しているため、FRBは現在、インフレ抑制に重点を置くことができると判断している。
ウォーシュ議長は、現在の金融環境についても「引き締め的と表現するのは難しい」と説明した。今回の利上げを、過度に景気を抑制する措置ではなく、「金融緩和を一段縮小する決定」と位置づけている。
7月から変わった3つの要因
7月のFOMCでは政策金利を据え置いた。ウォーシュ議長は、そこから今回の利上げまでに、主に3つの変化があったと説明した。
第一は、米国経済がさらに力強さを増したことだ。労働市場を含む幅広いデータが、景気の底堅さを示している。
第二は、インフレの改善が不十分だったことだ。夏の物価指標を見ても、基調的なインフレが明確かつ十分な速さで低下しているとは判断できないとした。6カ月、12カ月の双方で、3%を超える価格上昇を示す品目が依然として多いことも問題視している。
第三は、地政学的リスクの高まりだ。FRBは原油や食品など、個別の価格を直接下げることはできない。しかし、エネルギーや商品価格の上昇が、ほかの商品やサービスへ波及する「二次的、三次的影響」は防がなければならないと説明した。
18人中16人が追加利上げを予想
今回のドットプロットでは、FOMC参加者18人のうち16人が、2026年中に少なくともあと1回の利上げを予想している。
12人は年末の政策金利を約4.1%、4人は約4.4%と予想。追加利上げなしを想定しているのは2人だけだった。
政策金利の中央値は、2026年末が4.1%、2027年末も4.1%、2028年末が3.9%となった。市場にとって重要なのは、今回の0.25%利上げだけではない。FRBが2027年末まで高い政策金利を維持する可能性を示したことだ。
ただし、ウォーシュ議長自身は今回の経済見通しに個人予測を提出していない。同氏は記者会見でも「フォワードガイダンスを行うつもりはない」と述べ、次回以降の利上げを明言しなかった。
個別のCPIや小売売上高だけに反応するのではなく、経済とインフレの基調的なトレンドを見て判断する姿勢を強調している。
トランプ大統領への言及は避ける
記者会見では、利下げを要求してきたトランプ大統領との関係についても質問が相次いだ。
ウォーシュ議長は、大統領との会話について回答を避けたうえで、「FRBの独立性とは、私たちが自らの領域にとどまることでもある」と発言。貿易政策や財政政策ではなく、議会から与えられた物価安定と最大雇用の使命に基づいて判断したことを強調した。
ホワイトハウスが利下げを求める一方、FRBは全会一致で利上げを決定した。今後、金融政策をめぐる両者の対立が、さらに表面化する可能性がある。
ビットコインは記者会見中に乱高下
ビットコインはFOMCの決定とウォーシュ議長の記者会見を受け、激しく変動した。
BTCは一時7万6,500ドル付近まで急上昇した後、7万5,000ドル付近まで急落。その後、再び7万6,300ドル付近へ反発したものの、上値を維持できず、7万5,500ドル付近まで押し戻された。
利上げ自体は市場にある程度織り込まれていた一方、議長の発言にアルゴリズム取引が反応し、ロングとショートの清算が交互に発生した可能性がある。
2度の上昇がいずれも維持されなかったことから、市場は一時的に買いで反応したものの、FRBのインフレ警戒と追加利上げ見通しを受け、積極的に上値を追う状況には至っていない。
2023年の利上げ後も反応は一様ではなかった
昨日の記事でも、2023年のFOMC利上げ後におけるビットコインの値動きと、短期保有者の支出利益率を示す「STH-SOPR」について取り上げた。

約3年ぶりの米利上げ迫る──2023年のチャートが示すビットコイン投資家の心理【エックスウィン】
https://www.nadanews.com/368343/
チャートを見ると、2023年に実施された4回の0.25%利上げに対し、ビットコインは毎回同じように反応したわけではない。
利上げ後に価格が下落し、STH-SOPRが1を下回って、短期保有者の損切りが広がった局面もあった。一方、一時的な売りを吸収し、その後上昇に転じた局面も確認できる。
STH-SOPRが1を上回っていれば、短期保有者は平均的に利益を出して売却している。反対に1を下回れば、損失を抱えた状態で売却していることを意味する。
2023年の動きが示すのは、利上げが実施されたからといって、ビットコインが必ず下落するわけではないということだ。
価格を左右するのは、利上げそのものよりも、その後の金融政策見通し、市場の流動性、投資家のポジション、そして現物の買い需要である。
今後のビットコインはどうなるのか
短期的には、7万5,000ドル付近を維持できるかが重要となる。
この水準を明確に割り込めば、短期保有者の損切りやロングポジションの清算を伴い、下落が加速する可能性がある。一方、7万6,300~7万6,500ドルの抵抗帯を出来高を伴って上抜ければ、利上げ後も買い需要が残っていることを確認できる。
ただし、今回の記者会見では、2026年中の追加利上げに加え、2027年まで政策金利が高水準に維持される可能性が示された。米長期金利とドルがさらに上昇すれば、流動性に敏感なビットコインには、引き続き下押し圧力がかかりやすい。
一方、今回の利上げと追加利上げの一部は、すでに市場に織り込まれている。今後、インフレ指標が鈍化し、FRBのタカ派姿勢が後退すれば、ビットコインが金融政策の転換を先取りして反発する可能性もある。
今後は価格だけでなく、STH-SOPRが1を維持できるか、現物ETFへの資金フローが回復するか、取引所へのBTC流入が増えるかを確認したい。
さらに、未決済建玉と資金調達率を通じて、上昇が現物需要によるものなのか、レバレッジによる一時的な反発なのかを見極める必要がある。
2023年の事例が示すように、FOMC後の最初の値動きだけで、その後の方向を判断することはできない。
今回のFOMCは「利上げを通過した」だけのイベントではない。追加利上げと高金利の長期化を、市場がどこまで織り込むのかを確認する局面の始まりといえる。
ショート動画
【速報】3年ぶり利上げでビットコイン乱高下|追加利上げはあるのか?
https://youtube.com/shorts/BTrveoVp9m4
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