9月11日、DefiLlamaによると、米オンライン証券大手Robinhood(ロビンフッド)が運営する独自ブロックチェーン「Robinhood Chain(ロビンフッド・チェーン)」に預けられている資産(TVL)は約9億ドル(約1400億円、1ドル=155円換算)となり、過去最高圏で推移している。

分散型取引所(DEX)の取引高も、直近7日間で約111億ドルに達し、週間で3割以上伸びた。
7月1日に稼働を始めてから、まだ2カ月あまり。それでも9月1日には手数料収入が過去最高の375万ドルを記録し、イーサリアム本体やレイヤー2のBase(ベース)を上回った。運営歴の長いチェーンを、生まれたばかりの新参が一時的に追い抜く。それだけ異例の伸び方をしている。
ただ、この数字の中身は、当初の触れ込みとは少し違う。
ロビンフッド・チェーンは、株式などの現実資産をブロックチェーン上で扱えるようにする「トークン化」を目的に作られた。
しかし実際にチェーンを賑わせているのは、ミームコインや、利回り狙いで預けられたステーブルコインだ。
ロビンフッドが公式Xで9月9日に明らかにしたところによると、肝心の株式トークンに預けられた資産はまだ1億5000万ドル。チェーン全体の預かり資産9億ドルのうち、ごく一部にとどまっている。
話題になっているのは、数字だけの話でもない。
9月初旬には、中国企業Farmmi(ファーミ)の株式を装った非公認のトークンに投機マネーが集まり、本物のナスダック上場株まで一時4倍超に急騰する騒動が起きた。
同じ頃、米映画館大手AMC EntertainmentのCEOが、自社の承認を得ていない株式トークンの取引をやめるようロビンフッドに求め、ロビンフッドがこれを拒否する一幕もあった。
そもそも、株式トークンという商品自体はロビンフッドだけのものではない。
The Blockが伝えたところでは、時価総額で見るとOndo Finance(約9億5700万ドル)が最大手で、Binanceの「bStocks」(約6億2200万ドル)、Kraken傘下の「xStocks」(約6億ドル)が続く。
この3社だけで市場の約77%を占めており、ロビンフッドは決して市場シェアで目立つ存在ではない。
それでもロビンフッドの名前がよく聞こえてくるのは、個人投資家の間で広く知られたブランドが自前のチェーンを持ち、そこにお金と話題が集まっているからだ。
勢いは株価にも表れている。ロビンフッドの株価(ナスダック上場、ティッカー:HOOD)は8月に約36%上昇し、9月11日時点で1株111ドル前後で推移している。チェーンの手数料収入の伸びが材料視されているようだ。

もっとも、いまの数字には支えがある。ロビンフッドは自社ウォレット利用者向けに手数料を肩代わりしてきたが、この措置は9月29日で終わるとされている。
株式トークンの広がりは動きはロビンフッドの外でも進んでおり、ソラナでは9月10日、ミームコインの発行プラットフォームとして知られるPump.fun(パンプファン)が、テスラやエヌビディアなどの株式トークンを取引ペアに選べる新機能を発表した。
株式トークンをめぐる主導権争いが、本格的に始まろうとしている。
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|文:栃山直樹
|画像:Shutterstock
