新興国の資金調達にトークン化国債が拡大か──香港に続きパキスタンが検討=報道

パキスタン政府が、香港の先行事例を踏まえ、既発の国際債(ユーロ債)の一部をトークン化する方策を検討している。Muhammad Aurangzeb(ムハンマド・アウラングゼーブ)財務・歳入相が9月4日、イスラマバードで開かれた会合で明らかにしたと、Business Recorder(ビジネス・レコーダー)が同日報じた

背景には、新興国が抱える資金調達上の構造的な課題がある。外部市場へのアクセスが限られる国では、政府債務を国内銀行が引き受ける割合が高まりやすい。銀行の資金が国債に集中すれば、民間企業への融資を圧迫する可能性もある。

国際通貨基金(IMF)の2026年4月の報告書によると、信用力の弱い新興国では、銀行が保有する自国通貨建て国債の割合が2025年に銀行資産の20%へ上昇した。外部資金を調達しにくく、国内銀行が国債発行を吸収していることが背景にあるという。

一方、海外市場で外貨建て債券を発行すれば、為替変動や借り換えに伴うリスクが生じる。自国通貨建て債券の投資家を海外に広げるには、決済や保管、清算などの市場インフラも必要だ。世界銀行は、こうしたインフラの整備負担により、十分に機能する債券市場を持つ途上国は少ないと指摘している。

この課題を補う手段として浮上しているのが、国債のトークン化だ。債券の権利を分散型台帳技術(DLT)で記録し、発行や移転、決済をデジタル上で連携させる。事務負担や決済時間を減らし、国外の投資家が市場へ参加しやすくなる可能性がある。

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世界銀行は、トークン化によって既存の金融インフラを一足飛びに更新できる可能性があるとして、複数の新興国が導入を検討していると説明する。国際決済銀行(BIS)も、トークン化国債には市場の効率性を高める余地があると分析している。

こうした流れを先行して示したのが香港だ。香港特別行政区政府は2023年、政府として世界初となるトークン化グリーン債を発行した。その後も発行を重ね、2025年にはトークン化政府債を定例化する方針を示している

パキスタンは、この香港モデルを新興国の資金調達へ応用しようとしている。パキスタン仮想資産規制当局(PVARA)とパキスタン中央銀行(SBP)は、規制下のブロックチェーンで政府債を発行し、即日決済するモデルを研究中だ。既存の金融システムとの接続も維持する方針だと、パキスタン政府広報局(PID)が8月25日に発表した

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アウラングゼーブ財務相は同じ講演で、ルピー建て・ドル決済型債券の発行計画も明らかにした。トークン化債とは別の構想だが、いずれも投資家層を広げ、国内銀行への依存を減らす資金調達戦略の一環と位置付けられる。

|文:平木 昌宏
|画像:Adobe Stock

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