中古車輸出から始める「オンチェーン貿易金融」──SBI XDC・TOPPAN・Gincoが大阪で実証

SBI XDC Network APAC、TOPPAN、Gincoは、大阪府内の中古自動車部品・中古車輸出業者の海外取引を対象に、法人確認からファクタリング、代金回収までの貿易金融業務をブロックチェーン上で効率化する実証を進める。

本事業は、大阪府が実施する令和8年度「大阪府先駆的金融市場等形成支援事業補助金」に採択された。SBI XDC Network APACが事業主体となり、TOPPANが共同事業者、Gincoが協力事業者として参画する。

実証では、輸出者・輸入者の法人情報をvLEI(Verifiable Legal Entity Identifier:検証可能な取引主体識別子)で確認し、貿易取引情報や、vLEI情報を含むファクタリング取引情報をブロックチェーン「XDC Network」に記録する業務システムを構築する。

さらに将来は、ステーブルコインによる決済や売掛債権のトークン化まで視野に入れる。

法人確認から代金回収までを一つの流れに

今回の実証で対象となるのは、大阪府内の中古車・中古部品輸出業者による海外取引だ。

輸出取引では、取引先が実在する法人かどうかの確認や、貿易取引の内容、売掛債権の発生状況など、複数の情報を確認しながら取引を進める必要がある。

3社は今回、顧客からの引き合い、KYB(法人確認)、ファクタリング、代金回収までの一連のプロセスを円滑にするための業務システムを構築する。ファクタリングは、企業が取引で発生した売掛債権を早期に現金化する資金調達手法だ。

システムでは、貿易取引情報と、輸出者・輸入者のvLEI情報を含むファクタリング取引情報を入力・集計し、XDC Networkに記録する。

TOPPANはvLEIの発行権を持ち、Gincoは業務システムの構築を担う。

vLEIで海外企業を確認

もう一つのポイントが、海外企業の法人確認だ。

vLEIは、法人を識別する国際的な法人識別子「LEI」を、デジタル証明書として検証可能にした仕組みだ。

今回の実証では、参加する輸出業者の代表的な仕向け国1カ国を対象に、現地でvLEIを取得するための調査も実施する。

当該国でvLEIを発行できる体制を構築できるかを検証し、将来的には海外の取引先についてもオンライン上で法人確認を進められる業務体制を目指す。

ステーブルコイン決済と債権トークン化を視野に

今回の実証自体は、KYBやファクタリング情報の記録、業務プロセスの効率化が中心。ただし、SBI XDC Network APACは、その先の展開としてステーブルコインによる決済や売掛債権のトークン化も明記している。

本年度の事業終了後は、大阪府内で実証対象となる企業を増やしたうえで、関西圏、全国の中古自動車関連の輸出入事業者へ対象を拡大する。さらに、国内からの輸出だけでなく、海外子会社から日本への輸出や、多国間取引にも広げる方針だ。

その先には、法人確認やファクタリング情報の管理に加え、売掛債権そのもののトークン化やステーブルコイン決済まで、オンチェーンで扱う範囲を広げる構想がある。

XDC Networkは、貿易金融やエンタープライズ用途を想定して設計されたブロックチェーンで、サプライチェーンやクロスボーダーペイメントなどの分野でも活用されている。

|文:増田隆幸
|画像:Adobe Stock

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