・7月の米雇用統計が弱い内容となり、FRBの利上げ予想が数週間ぶりに据え置き予想を下回ったことを受け、BTCトレーダーの注目は水曜日に発表される米消費者物価指数(CPI)へと移っている。
・CME FedWatchによると、7月雇用統計の発表後、FRBが9月会合で金利を据え置く確率は56.1%に上昇し、0.25ポイント利上げの確率は43.9%に低下した。雇用統計発表前の8月6日時点では、据え置き45.0%、利上げ55.0%だった。
・Deribitのデータによると、CPI発表前後に満期を迎えるビットコインオプションは約3700万ドル規模に上る。マックスペインは6万4000ドル、プットの建玉が集中する「プットウォール」は6万3500ドルに位置し、下値で意識される価格帯となっている。
弱い雇用統計でFRBの据え置き観測強まる、焦点は米CPIへ
市場では、主要なBTC保有企業Strategyが月曜日に再びBTC売却を発表するとの見方が広がるなか、水曜日に発表される米消費者物価指数(CPI)が、今週の相場の方向性を左右する重要な材料となりそうだ。
7月のCPIは8月12日(水)午前8時30分(米東部時間)に発表される予定で、FRBの9月政策会合をめぐる市場の見通しを大きく左右するとみられている。

ロイターのエコノミスト調査によると、7月の総合CPIは前年同月比3.4%上昇と、6月の3.5%から鈍化する見通しだ。コアCPIも前年同月比2.5%まで低下すると予想されている。
一方、コアCPIの前年同月比上昇率は2.5%まで低下すると予想されており、実現すれば2021年3月以来の低い水準となる可能性がある。
金曜日に発表された米非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を下回ったことを受け、市場では週末にかけてFRBが利上げを見送るとの観測が一段と強まった。
金曜日の雇用統計を受け、9月会合での利上げ確率は発表前の57%から44%へ低下した。景気の勢いが鈍化していることを示す材料が増えたことで、その後も据え置きを見込む動きが強まった。
CME FedWatchでは、FRBが9月会合で金利を据え置く確率は56.1%、0.25ポイント利上げの確率は43.9%となっている。
BTC価格予想:Deribitオプション、6万4000ドルがCPIの攻防ラインに
テクニカル指標を見ると、水曜日のインフレ統計発表を前に、BTCは相場の方向性を左右する重要な局面に入りつつある。
20日ボリンジャーバンドの中心線となる移動平均線は横ばいになり始めると同時に、わずかに下向いている。これは、先週の反発後に上昇の勢いが鈍化していることを示している。
同時に、ボリンジャーバンドの上限線は下向きに転じ始めている一方、下限線は引き続き上昇している。こうしたバンド幅の縮小はボラティリティの低下を示しており、一般的には相場が上下いずれかの方向へ大きく動き出す前にみられる形だ。

オンチェーンの動向からも、市場環境が安定しつつあることがうかがえる。
BTCの「1年間アクティブ供給比率」は、7月30日から8月3日にかけて37.4%から37.9%まで急上昇した後、8月10日時点では37.8%まで低下した。
この急上昇は、Coldcardウォレットの脆弱性悪用が確認された時期と重なっている。ただし、長期間動いていなかったBTCの移動が同事件によるものか、また被害ユーザーによる資金退避だったかは確認されていない。
足元で同指標が低下していることは、パニックに伴うウォレット間の資金移動がほぼ収まり、長期保有者が保有するBTCが再び動かなくなりつつあることを示唆している。
一方、デリバティブ市場では、水曜日のCPI発表を意識したポジションが特定の価格帯に集中している。
Deribitで8月12日に満期を迎えるビットコインオプションの未決済建玉は合計568.9BTCで、想定元本は約3695万ドルに上る。

市場のマックスペインは6万4000ドルに位置している。現在のBTC価格は約6万4958ドルで、最も多くのオプションが無価値で満期を迎える水準をわずか1.5%上回っている。
過去には、満期が近づくにつれてディーラーがこの価格に向けてヘッジを調整するケースもみられており、6万4000ドルが当面の均衡点として意識されている。
短期的な不透明感は残るものの、オプション市場のポジションは、より長期的には強気寄りの見通しを示している。
プット・コール・レシオは0.68となっており、コールの未決済建玉338.5BTCが、プットの230.4BTCを上回っている。
過去24時間の取引でも同じくプット・コール・レシオは0.68となった。コールの取引量が2519BTC相当だったのに対し、プットは1708BTC相当で、水曜日の重要なマクロ経済イベントを前に、コールの取引がプットを上回っている。
オプションの建玉分布からは、2つの重要な価格帯も浮かび上がる。
プットの未決済建玉が最も集中しているのは6万3500ドルで、満期に向けて市場で意識されやすい価格帯となっている。インフレ率が市場予想を上回った場合、投資家が下落リスクに備えたヘッジを維持しようとするなか、この水準ではディーラーによる大規模なヘッジ取引が発生する可能性が高い。
一方、上値ではコールの未決済建玉が6万6000ドル付近に最も集中しており、6万5500ドル、6万6500ドル、6万7500ドルにもポジションが積み上がっている。
CPIが市場予想を上回り、インフレ圧力の強さを示す結果となれば、金融引き締め観測が再び強まり、米ドル高が進むことで、BTCは6万3500ドルのサポート帯に向けて下落する可能性がある。
この水準を明確に下回った場合、ディーラーがネットでプット売りのポジションを抱えていれば、デルタヘッジに伴うBTC売りが増え、下落の勢いを強める可能性がある。
反対に、インフレ率が予想以上のペースで鈍化した場合、BTCは6万5500~6万6000ドルに集中するコール建玉の価格帯を急速に試す展開となる可能性がある。
価格がこれらの権利行使価格を上抜けていくと、ディーラーがネットでコール売りのポジションを抱えている場合、デルタヘッジに伴うBTC買いが増え、上昇を加速させる可能性がある。その場合、次の上値抵抗帯として6万8000ドル付近が意識される可能性がある。


