● ビットコインは約66,500ドルまで回復し、市場を取り巻く環境は6月と比べて大きく改善している。ETFへの資金流入の再開、制度整備への期待、長期保有者による蓄積など、中長期的にはポジティブな材料が増えつつある。
● 一方で、オンチェーンデータを見ると、本格的な強気相場へ移行したと判断するには、まだ慎重な見方が必要だ。新規需要は十分に回復しておらず、価格上昇を裏付ける資金流入も限定的である。
● 今回は、「見かけ上の需要(Apparent Demand)」「調整済みSOPR(Adjusted SOPR)」「実現純損益(NRPL)」という3つのオンチェーン指標から、現在の市場を読み解いていく。
ビットコインは約66,500ドルまで回復し、市場には約1か月前とは明らかに異なる空気が流れ始めています。
6月には、米国の金融政策への警戒感や地政学リスクに加え、現物ETFからの資金流出が続いたことで、多くの投資家が慎重姿勢を強めていました。しかし7月に入り、市場を取り巻く環境は少しずつ改善しています。
まず注目したいのは、機関投資家の資金が再び暗号資産市場へ戻り始めていることです。
米国の現物ビットコインETFは流出基調から流入基調へ転じ、ブラックロックをはじめとする大手運用会社の商品には資金が戻り始めています。ETFは個人投資家だけでなく、年金基金や資産運用会社など機関投資家の資金動向を映す重要な指標であり、この変化は市場心理の改善につながっています。
制度面でも前向きな動きが続いています。
米国では暗号資産市場のルール整備を目的としたCLARITY法案や、ステーブルコインを対象とするGENIUS Actの議論が進み、「制度が整えば機関投資家はより参入しやすくなる」という期待が高まっています。
日本でも金融商品取引法の改正を受け、暗号資産ETFやトークン化金融(RWA)への期待が広がっています。世界的に見ても、暗号資産は投機対象という位置付けから、金融インフラの一部として活用する流れが着実に進み始めています。
オンチェーンデータからも、市場構造の改善が確認されています。
長期保有者(LTH)は依然として保有量を増やし、1,000BTC以上を保有するクジラも押し目での買い増しを続けています。取引所からビットコインが流出する傾向も続いており、市場で売却可能な供給量は徐々に減少しています。
さらに、Coinbaseなどの現物市場では買い圧力の改善も確認されており、デリバティブだけではなく現物需要も徐々に戻り始めています。価格だけではなく、市場構造そのものも改善方向へ向かっていることは、これらのデータからも読み取ることができます。
マクロ経済環境も追い風になっています。
米国ではインフレ指標が落ち着きを見せ、追加利上げ観測は後退しました。金利上昇への警戒感が和らいだことで、株式市場だけでなく暗号資産市場にも資金が戻りやすい環境となっています。
つまり現在の市場は、
「制度」「機関投資家」「オンチェーン需給」「マクロ経済」
という4つの要素が改善方向へ向かい始め、市場全体としては6月よりもポジティブな局面へ移行していると言えるでしょう。
しかし、ここで注意したい点があります。
価格が回復したからといって、本格的な強気相場が始まったと判断するのはまだ早いということです。
市場では、価格が先に上昇し、その後に需要や資金循環が追い付くケースも少なくありません。
現在の価格上昇が一時的な反発なのか、それとも新たな上昇サイクルの始まりなのかを判断するためには、価格だけではなくオンチェーンデータを見る必要があります。
その判断材料として重要なのが、「見かけ上の需要(Apparent Demand)」「調整済みSOPR(Adjusted SOPR)」「実現純損益(NRPL)」という3つの指標です。

まず、「見かけ上の需要(Apparent Demand)」を見ると、2026年前半の大幅な需要不足からは改善の兆しが見られるものの、依然としてマイナス圏で推移しています。価格は回復していますが、それを支える新規資金の流入はまだ十分ではなく、本格的な需要回復には至っていません。

一方、「調整済みSOPR(Adjusted SOPR)」では、市場心理の改善が確認できます。2026年前半は1.0を下回る期間が長く続き、多くの投資家が損失を受け入れて売却していました。しかし現在は1.0付近まで回復しており、損失確定売りは徐々に落ち着いています。ただし、1.0を安定して上回る状況には至っておらず、強気相場への転換を判断するにはもう一段の改善が必要です。

さらに、「実現純損益(Net Realized Profit and Loss:NRPL)」を見ると、2026年前半は損失確定売りが市場を支配していましたが、足元では小幅ながらプラス圏へ回復しています。利益を伴う売却も少しずつ増え始めており、市場心理の改善を裏付けています。しかし、過去の強気相場のような大規模な利益確定局面とは異なり、市場は依然として回復初期段階にあると考えられます。
この3つのオンチェーン指標を総合すると、現在の市場は「悲観局面は脱しつつあるものの、本格的な需要回復はまだ確認できていない」という姿が浮かび上がります。
エックスウィンでは、市場の方向性は6月と比較して確実に改善していると考えています。
ETFへの資金流入、制度整備への期待、長期保有者による蓄積、マクロ環境の改善など、中長期的な強気材料は着実に増えています。
一方で、本格的な強気相場へ移行するためには、「価格」だけではなく、「需要」の回復が不可欠です。
今後は、
・見かけ上の需要がプラス圏へ転換するか
・調整済みSOPRが1.0を安定して上回るか
・実現純損益が継続してプラス圏を維持できるか
これらのオンチェーン指標を確認することで、現在の反発が本格的な上昇サイクルへ発展するのか、それとも一時的な戻り相場なのかを、より客観的に判断できるでしょう。
オンチェーン指標の見方
ビットコイン:見かけ上の需要(Bitcoin Apparent Demand)
市場へ流入する新規需要と供給のバランスを示す指標。プラス圏は需要が供給を上回り、買い圧力が強い状態。マイナス圏は需要不足を示し、価格上昇の持続性には注意が必要。価格の裏側にある「本当の需要」を確認する重要な指標。
ビットコイン:調整済みSOPR(Adjusted SOPR)
投資家が利益または損失で売却しているかを示す指標。1.0以上は利益確定売り、1.0未満は損失確定売りが中心。1.0への回復は市場心理の改善を示唆する。強気相場では1.0を上回る状態が継続しやすい。
ビットコイン:実現純損益(Net Realized Profit and Loss:NRPL)
市場全体で実際に確定した利益と損失の差額を示す指標。プラス圏は利益確定が優勢、マイナス圏は損失確定が優勢。投資家心理や市場サイクルの変化を把握するのに役立つ。他のオンチェーン指標と組み合わせることで、市場の転換点をより的確に判断できる。
ショート動画
ビットコインは強気転換したのか?3つの指標で検証
https://youtube.com/shorts/wX3g26Cwkq4


