・ビットコイン(BTC)は7月の上昇を継続し、6万5800ドルに到達した。デリバティブ市場の主要な流動性ゾーンで下値を支えられるなか、機関投資家による上場投資信託(ETF)需要も強まった。
・TSMCとASMLが好調な決算を発表したにもかかわらず、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)がテクニカルな調整局面に入ったことを受け、投資家は半導体株への投資を縮小した。
・米国とイランの緊張再燃によってインフレ懸念が再び高まり、湾岸諸国の株式市場からの資金流出が加速したことで、マクロ経済リスクに対するヘッジ手段としてのBTCの魅力が強まった。
半導体株売りで資金がBTCへシフト
BTCは7月21日、一時6万5800ドルまで上昇した。デリバティブ市場で確認されていた6万2000ドルと6万5500ドル付近の主要な清算クラスターの間で価格が安定した後、7月の回復率は15%に迫った。
BTCが7月に上昇する一方、投資家は人工知能(AI)関連株や半導体株への投資比率を戦略的に引き下げている。
ナスダックが算出し、米国市場に上場する主要な半導体関連30銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は、7月に約20%下落し、20日には1万1743.85で取引を終えた。

注目すべき点は、多くの半導体企業が過去最高水準の好決算を発表するなかで、SOX指数が下落したことだ。
台湾積体電路製造(TSMC)は、利益が前年同期比77.4%増加したほか、2026年の設備投資見通しを従来の520億~560億ドルから600億~640億ドルへ引き上げた。
しかし、投資家の関心は現在、主要インフラの整備に必要な資金調達コストの上昇に向かっているようだ。ブルームバーグによると、投資家の間では、AIインフラ向け設備投資の急拡大が長期的に持続するか、投資額に見合う需要の伸びが続くかを疑問視する声が出ている。

TSMCの台湾上場株は21日、前日比3.88%高の2410台湾ドルで取引を終えた。6月23日に付けた最高値2535台湾ドルからは約4.9%下回っていた。
こうした見方を裏付けるように、TradingViewの相関データによると、BTCとSOX指数の相関係数は、7月初めのプラス0.12からマイナス0.54へ低下した。
相関係数がマイナスに転じたことは、7月にBTCとSOX指数が反対方向へ動く傾向が強まったことを示している。
中東株の下落でBTCの防御的な魅力が強まる
半導体株の調整に加え、地政学的リスクの再燃によって、湾岸諸国の株式市場からの資金流出も加速している。
サウジアラビアのタダウル全株指数(TASI)は7月を通じて小幅に下落し、月初の1万856から約1万742まで低下した。年初来の上昇率もわずか3.2%にとどまっている。
原油価格の上昇を受けてサウジアラムコ株は恩恵を受けているものの、銀行株や工業株全般には引き続き下押し圧力がかかっている。

アラブ首長国連邦(UAE)では、2026年第2四半期に外国人投資家による純売りが目立った。
Kamco Investによると、2026年第2四半期の外国人投資家による純売越額は、ドバイで約6億4150万ドル、アブダビで約1億8730万ドルに達した。対象には機関投資家と個人投資家の双方が含まれる。両市場の合計は約8億2880万ドルとなり、湾岸地域で最大規模となった。
ほかの市場では、カタール・ナショナル・バンクの株価が約3%下落したことで、カタールの主要株価指数も軟調に推移した。また、ホルムズ海峡周辺で物流の混乱が深刻化するなか、海運会社ナキラートの株価も下落した。
JPモルガンのグローバル株式戦略責任者、ミスラフ・マテイカ氏は、AI関連の主要銘柄が7月に2桁の下落率を記録したにもかかわらず、MSCIワールド指数は史上最高値から1~2%以内の水準を維持していると指摘した。
この乖離は、投資家が地政学的な不確実性の影響を受けやすいセクターから資金を移す一方、その影響を比較的受けにくいとみられているBTCなどの資産を選好していることを示唆している。
BTC価格予測:20日移動平均線が6月以来の高水準
BTCは6万5300ドル付近でのもみ合いを続けている。20日移動平均線は約6万3780ドルまで上昇し、およそ1カ月ぶりの高水準に達した。
移動平均線の上昇は、BTCが6月初旬の安値から回復したことで、短期的な上昇モメンタムが強まっていることを示している。
BTC価格は現在、ボリンジャーバンドの中央線を明確に上回る一方、6万5830ドル付近の上限バンドを下回っている。ボリンジャーバンドは収縮し、現在のローソク足を挟み込むように接近している。こうした形は、大きなブレイクアウトの前にしばしば見られる。

一方、Supply Equality Ratio(供給均等比率)は0.114まで着実に上昇している。この指標は、比較的残高の少ないアドレスが保有する供給量と、保有量上位1%のアドレスが保有する供給量との比率を示す。
比率の上昇は、BTCの供給が大口アドレスに偏る度合いが低下し、小口アドレスへの分散が進んでいることを示す。
テクニカル面では、当面の下値支持線は20日移動平均線が位置する6万3800ドル付近となる。その下では、ボリンジャーバンドの下限に当たる6万1700ドル付近が、より強い構造的な支持線となる。
上値については、6万5800~6万6000ドル付近のボリンジャーバンド上限を明確に上抜け、その水準を維持できれば、6万8000ドル付近への再上昇を試す展開が視野に入る。
ただし、相場を動かす新たなマクロ材料が浮上しない限り、6万3800~6万6000ドルの範囲でもみ合いが続く可能性の方が高い。


