高市政権の「経済財政運営と改革の基本方針2026(骨太の方針2026)」が7月21日、閣議決定され、「オンチェーン金融」の推進が盛り込まれた。原案は6月30日に公表されており、大きな修正なく正式決定された。
資産運用立国の取り組みを発展させる項目に「アセットオーナーの機能向上や、家計の安定的な資産形成促進、オンチェーン金融の推進を図る」との一文がある。次年度の予算編成にも影響を与えるこの文書。国が進める重点施策の中に「オンチェーン金融」の言葉が明記された意義は大きい。

一方で、「オンチェーン金融」が具体的に何を指すのかについては、本文では説明されず、定義は脚注に委ねられている。

注釈では、オンチェーン金融について、「ブロックチェーン上で、トークン化預金、ステーブルコイン等による資金決済が、商流・物流等のデータ管理ともプログラムによって連動・一体化される金融」と説明。
ステーブルコインやトークン化預金という具体的な要素は盛り込まれた一方、例えばDeFi(分散型金融)のような概念には触れられていない。「オンチェーン金融」の方向性は示されたものの、具体像や制度設計には発展の余地が残されている。
自民党PTの提言が土台に
この記述のベースになったとみられるのが、木原誠二衆議院議員が座長を務める自民党「次世代AI・オンチェーン金融構想PT」が5月にまとめた提言だ。NADA NEWSは提言公表後、木原氏に取材している。
木原氏は提言の狙いについて、ステーブルコイン、トークン化預金、RWA(現実資産)のトークン化など、各企業がバラバラに取り組んでいる動きの全体像を示すことにあったと説明。その上で「どれか1つに決め打ちしないこと」を重視しているとし、ステーブルコインもトークン化預金もCBDC(中央銀行デジタル通貨)もバランスよく追求していく考えを示していた。
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また木原氏は7月1日、京都で開催されたIVS2026内のセッションで、この提言について「完成版ではない」とし、「年末に向けて第2弾を出そうと思っています。利用すべきところ、足りないところを見ていただければと思います」と述べた。
ゴールデンウィーク明けまでの党内取りまとめに向け、「全部自分で書いた」という同提言はあくまで議論の出発点であり、今後さらに内容を具体化していく考えを示している。
木原氏が重視するのは、決済サイドと資産サイドの双方をオンチェーン化することだ。ステーブルコインやトークン化預金は単体で完結するテーマではなく、契約・物流・貿易・証券・国債などの資産や業務プロセスと接続されて初めて、AI時代の金融インフラとして機能すると位置付けている。
今回、「オンチェーン金融」が、政府与党にとって「政策の羅針盤」とされ、国の重点課題や投資領域の方向性を示す重要文書に盛り込まれた意義は大きい。
しかし、 その概念や制度設計はなお発展途上にある。 年内に予定される同PTの提言第2弾や今後の制度設計を通じて、「オンチェーン金融」が具体的に何を指し、政府がどこまで後押ししていくのかが、引き続き注目されそうだ。
|文:橋本祐樹
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