・ビットコイン(BTC)は7万6000ドルを下回った。FRB理事クリストファー・ウォラー氏のタカ派的な発言を受け、トレーダーが金融政策の一段の引き締めリスクを織り込み直したためだ。
・金と原油も下落した。イラン戦争をめぐる地政学的緊張が続くなか、市場が流動性拡大期待の後退に反応したためだ。
・トークン化株式に関する免除措置をめぐるSECの判断延期も、マイナーや上場投資信託(ETF)による売り圧力にすでに直面していた暗号資産市場に、さらなる重しとなった。
6月の金利据え置き観測にもかかわらずFRBの引き締め懸念が強まり、BTC、金、原油が下落
金曜日、BTCは金や原油とともに下落した。FRB理事クリストファー・ウォラー氏が、イラン戦争によるエネルギーショックがインフレリスクを長引かせる可能性があると警告したことを受け、投資家が将来の流動性環境に対する見方を見直したためだ。
ウォラー氏は、ドイツ・フランクフルトのセントラル・バンキング・センターで、欧州中央銀行が主催したゲスト講義に登壇した。同氏は、現時点での自身の立場について、戦争の影響がより明確になるまで金利を据え置き、忍耐強く見極めることだと説明した。一方で、インフレが近く鈍化し始めなければ、将来的な利上げを排除しないとも警告した。
ウォラー氏はまた、FRBが次の一手は利下げだと示唆し続ける局面は終わったとの認識を示した。コモディティ価格の上昇に起因するインフレリスクを見極めるため、当面は金利を据え置くべきだとした。

予測市場では、6月の次回FOMC会合でFRBが政策金利を据え置くとの見方が、なお圧倒的に優勢だ。しかし、2026年末までに追加利上げが行われるとの予想は、ウォラー氏の発言と歩調を合わせる形で5%上昇し、Kalshiで45%に達した。
以前からタカ派寄りの姿勢で知られるケビン・ウォーシュ氏は、ジェローム・パウエル氏の後任としてFRB議長に正式に就任した。これにより、米国の金融政策が景気抑制的な方向に傾くとの見方がさらに強まった。
金は1.1%下落し、1オンスあたり4500ドル付近で下支えされた。一方、ブレント原油も2%急落し、5月8日以来初めて100ドルを下回って取引された。BTCも同様の動きとなり、2.5%下落して20日ぶり安値となる7万5400ドル付近で推移した。市場が、2026年に3会合連続で金利が据え置かれた後、FRBがさらに景気抑制的な金融政策を進める可能性を織り込んだためだ。
ロング勢の清算は1億8000万ドル──米SEC、トークン化株式の免除措置を先送り
金曜日、BTCは米国におけるトークン化株式規制をめぐる動きからも追加の圧力を受けた。
ブルームバーグによると、米証券取引委員会、SECは、米国の暗号資産企業が上場株式のトークン化版を提供できるようにする免除措置の導入計画を延期したという。
SEC職員は、いわゆるイノベーション免除の枠組みに関する草案を、早ければ今週にも用意していたとされる。
しかし、規制当局、証券取引所、市場参加者の間で協議が行われた結果、第三者によるトークン発行の仕組みをめぐる懸念が浮上し、スケジュールは後ろ倒しになった。
SECでは、第三者のトークン発行者が、対象となる上場企業の同意や直接的な裏付けなしに、株式のブロックチェーン版を作成することを認めるべきかどうかについても議論されているという。

BTCが5月に入って2週連続の週間下落に向かうなか、BTCのロング勢はデリバティブ市場で急速な清算を迫られた。Coinglassのデータによると、金曜日のBTC清算総額1億8800万ドルのうち、97%超をロング勢が占めた。
同時に、ビットコインのマイナーによる売りの動きも強まっている。背景には、マイニングインフラをAI向けのデータ保存や計算処理に転用する動きが続いていることがある。現物ビットコインETFも短期的な圧力となっており、5月15日に始まった5日連続の売り局面で14億ドルの資金流出を記録した。



