・ビットコイン(BTC)は月曜日、地政学的緊張と人民元・円相場のリプライシングを背景にリスクオフのポジション調整が進み、7万6700ドルまで急落した。
・過去24時間で記録された暗号資産全体の清算額6億7700万ドルのうち、ロング勢の損失は約6億ドルに上った。
・原油価格の上昇や人民元高観測が短期的な値動きの重しとなるなかでも、予測市場では、BTCが今週を通じて7万ドルを維持すると見込まれている。
米イラン緊張と人民元・円のリプライシングで清算拡大、BTCは2週間ぶり安値
BTC価格は5月18日月曜日、7万6700ドルまで下落し、5月1日以来の安値を付けた。米国とイランをめぐる地政学的緊張の再燃に加え、中国の最新経済指標を受けた主要通貨のリプライシングに、トレーダーが反応した格好だ。

今回の急落を受け、暗号資産デリバティブ市場では広範囲で清算が発生した。Coinglassのデータによると、過去24時間の清算総額は6億7700万ドルに達し、そのうち強気筋の損失は6億600万ドルを占めた。レバレッジをかけたロングポジションが一斉に解消されたためだ。
米イラン対立の再激化に加え、今回の売りは、月曜日に発表された中国の最新マクロ経済データに対する投資家の反応とも重なった。2026年1〜4月の固定資産投資は前年同期比で1.6%減少し、市場予想を下回った。4月の鉱工業生産の伸びも4.1%に鈍化し、約3年ぶりの低水準となった。小売売上高の伸びはわずか0.2%にとどまり、アナリスト予想を下回ったうえ、2022年後半のポストコロナの経済再開期以降で最も弱い数字となった。
Bloombergによる中国の最新公式データの分析では、同国の輸出ブームだけでは悪化する国内需要を十分に相殺できなくなっているとの見方が示された。これは、短期的にリスク資産への需要に懸念をもたらす要因となっている。
さらに、HSBC、ドイツ銀行、ゴールドマン・サックスなどの主要グローバル銀行は、人民元が対米ドルで約3%上昇したことを受け、人民元の見通しを上方修正した。Reutersは、底堅い輸出の伸びと米中貿易関係の改善を主な要因として挙げており、これにより中国当局による大規模な流動性供給への期待は事実上後退した。
BTC、原油との連動崩れ
売り圧力に拍車をかけているのが、過去1週間でBTCと原油の方向性の連動が崩れ始めたことだ。TradingViewのデータによると、BTCとブレント原油の相関係数は、5月上旬にはプラス0.65を上回っていたが、現在はマイナス0.66まで低下している。

この反転は、今月前半にはインフレヘッジや地政学リスクへの備えという見方から原油高がBTCを支えていた一方、直近では原油が急騰する局面で、トレーダーがBTCから資金を引き揚げ始めたことを示している。
その乖離は月曜日に一段と鮮明になった。ブレント原油が108ドルを上回る一方で、BTCは複数の重要なサポート水準を割り込んだ。エネルギー価格の上昇に伴うインフレ懸念が、過去1週間の暗号資産市場に直接的な逆風として作用したことを示している。
ボラティリティが高まるなか、BTCは24時間以内に8万ドルと7万8600ドルの主要なテクニカルサポートを相次いで失い、デリバティブ取引所全体でストップロス注文の執行と強制清算の波を引き起こした。
TradingViewのデータによると、BTCは日曜日、数週間ぶりに50日移動平均線と100日移動平均線の両方を下回った。原油価格の上昇や地政学的緊張に結び付いた、マクロ主導の売りの強さを反映している。
ただし、強気派は依然として7万6800ドル付近の防衛を試みている。この水準では今月初め、50日移動平均線が100日移動平均線を上抜けるゴールデンクロスを形成していた。
記事執筆時点では、両移動平均線はまだ弱気のデッドクロスを形成していない。これは、機関投資家や現物市場の参加者が下落圧力をなお吸収している可能性を示している。
フランスの上場企業Capital B(ALCPB)は月曜日、192BTCを追加購入したと明らかにした。これにより、同社の保有量は3135BTCとなった。今回の積み増しは、同社が今月初めに完了した110万ユーロの資金調達に続くものだ。この資金調達は、長年のビットコイン支持者であるAdam Backが全額引き受けたBSA 2026-02ワラントの発行を通じて行われた。
今週のBTC価格見通し:予測市場は7万ドル維持を強く見込む
月曜日には6億ドル規模の清算が発生し、BTCは7万6500ドル付近まで下落して2週間ぶり安値を付けた。それでも、予測市場のデータを見る限り、トレーダーは今週、BTCが7万ドルの節目を割り込むような一段安を回避できると引き続き見ている。
5月22日金曜日のBTC価格を追跡するPolymarketのイベントでは、7万ドルを上回って推移する確率が97%とされている。また、5月22日までにBTCが7万2000ドルを上回ると見る確率も92%に達している。

一方で、現在の現物価格を上回る水準への確信は大きく弱まっている。7万8000ドルを上回る週足終値を見込む確率は39%にとどまり、今週中にBTCが8万ドルを回復すると見る確率はわずか17%となっている。



