米ドル連動型ステーブルコインのテザー(USDT)で10月17日、3兆6900億ドル(約579兆円、1ドル=157円)の送金が記録された。その98%は、自動取引プログラム「ボット」が同じ資金を繰り返し動かしたものだったという。
ブロックチェーン分析会社のCrystal Intelligence(クリスタル・インテリジェンス)が10月23日に公表した調査で明らかにした。
送金総額には、同じ資金の移動もその都度数えられる。例えば、同じ100万円を10回送れば、合計は1000万円になる。今回は、ボットが借りたUSDTを繰り返し動かしたことで、実際に使われた資金の規模を大きく上回る送金総額が記録された。
ボットが悪用したのは、暗号資産(仮想通貨)の貸し借りサービス、BiFi Lending(バイファイ・レンディング)の不具合だ。クリスタルによると、貸し出す資金をまとめて管理する「資金プール」の一部で、たまっていた利息を重複して計算していたという。
ボットは、1回の取引の中で借り入れと返済を終える仕組みを使い、この不具合で利益を得ようとした。同様の取引をまねるボットも加わり、USDTの入金や借り入れ、返済が繰り返されたという。

一方、同じ資金が行き来した分を調整した「純送金額」は、39億ドル(約6123億円)だった。前の週の土曜日と同程度で、繰り返しの送金を除くと、大幅には増えていなかったという。
同社は、ステーブルコインの利用状況を判断する際、送金総額だけでは実態を見誤る可能性があると指摘している。今回の調査は、記録上の送金額の急増が、そのまま利用の拡大を示すわけではないことを浮き彫りにした。
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|文:平木 昌宏
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