「ブラックマンデー」言及が88倍超、それでもBTCは上昇──恐怖に揺れる投資家心理【エックスウィン】

「月曜日に大暴落が来るかもしれない」。そんな警戒が暗号資産のSNSで広がる一方、ビットコイン(BTC)は上昇して日曜日を終えた。投資家が語る恐怖と、実際の値動きは、なぜ一致しなかったのだろうか。

Santiment Intelligence(@SantimentData)がXで公表した分析によると、10月18日の「black monday」への言及数は176件となり、過去60日間の1日平均2件未満から88倍超に増加した。しかし、BTCは同日を約8万2,000ドル、前日比1%弱の上昇で終えた。

投稿が最も集中したのは、米株先物の取引再開を含む18日18〜24時UTC、日本時間19日午前3〜9時の6時間。82件と、1日の約47%を占めた。週明けを前に、投資家の注意が特定のシナリオへ集まっていたことがうかがえる。

今回注目したいのは、恐怖の広がりと、売り圧力の強さを分けて考えることだ。相場を動かすのは、投資家が何を予想したかに加え、その予想を受けて実際にどのような取引をしたかである。

心理学の観点から、まず考えたいのが「利用可能性ヒューリスティック」だ。人は、思い出しやすい出来事を手がかりに、その出来事が起きる可能性を判断しやすい。10月19日は、ダウ平均が1日で22.6%下落した1987年のブラックマンデーから39年。今年も同じ月曜日である。この一致は過去の大暴落を鮮明に連想させるが、同じ日付であること自体が、同じ暴落の起こりやすさを示すわけではない。

そこに重なるのが「同調行動」である。自分では暴落の根拠を確認できていなくても、多くの人が警告していると、「自分が知らない悪材料を、ほかの人は知っているのではないか」と感じることがある。同じ情報の転載が増えただけでも、独立した根拠が積み重なったように見えれば、不安への確信は強まり得る。

さらに、「損失回避」も関わる可能性がある。人は同額の利益と損失を対称には受け止めず、損失を重く感じやすい。暴落を想像すると、保有資産を守るために売却やヘッジを急ぐ投資家もいる。一方、含み損を確定したくないために保有を続ける場合もある。恐怖が強いというだけで、行動が一方向にそろうとは限らない。

私は、今回の話題の急増には、こうした心理が重なった可能性があると考えている。ただし、言及数だけで投稿者の内心や売買を確認できるわけではない。「ブラックマンデーは来ない」という反論も、同じ言葉を含む。

実際、Santiment Intelligenceによると、「crash」という暴落全般への言及は105件で、過去90日間の範囲内だった。特に目立ったのは「ブラックマンデー」という物語への注目であり、市場全体の恐怖が過去にない水準へ達したとまではいえない。

もちろん、足元の不安には現実の背景がある。米国の9月CPIは前年比3.7%上昇と、8月の3.4%から加速した。前週には米ハイテク株が売られ、AI投資の採算性や資金調達コストへの懸念も強まっていた。心理的な増幅があり得るからといって、こうしたリスクを軽視するべきではない。

BTCの現物需要にも課題が残る。Farside Investorsの日次データを合計すると、米現物BTC ETFは10月12〜16日に約2.28億ドル、5〜16日の合計では約9.07億ドルの純流出だった。SNSの不安が和らいでも、新しい買い資金が戻らなければ、反発の持続力には疑問が残る。

また、恐怖の高まりを、そのまま逆張りの買いサインにすることも難しい。Santiment Intelligenceは、9月14日の小規模な言及急増の翌日にはBTCが約3%下落したと指摘している。19日夕方時点では米株の通常取引も始まっておらず、日曜日の上昇だけで月曜日の予想を判定することはできない。

今週、私が確認したいのは、恐怖の先にある資金の動きだ。ETFが純流入に転じるか。現物市場で買い優勢が続くか。そして、悪材料が出ても価格が下値を切り下げにくくなるか。これらがそろえば、売りを受け止める買い手の存在を評価しやすくなる。

警戒した投資家の売却が先に進んでいれば、その後の売りが減り、空売りの買い戻しが反発を支える可能性もある。ただし、その反発が続くかは、継続的な現物需要を確かめる必要がある。

投資家に必要なのは、自分が感じる恐怖と、市場で確認できる事実を照らし合わせることだ。「多くの人が暴落を語っている」という情報を見たとき、その声の大きさに加えて、誰が売り、誰が買っているのかを確かめたい。今回のブラックマンデー騒ぎは、その姿勢の大切さを示している。

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「ブラックマンデー」言及88倍超!それでもビットコインは上昇

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