CEXとDEXの取引高が同時に回復──暗号資産市場で進む「取引の場」の変化【エックスウィン】

暗号資産市場の変化は、ビットコインの価格だけでは捉えられない。どこで取引が行われ、どのようなサービスが利用されているのか。取引の場に目を向けると、市場の回復と、取引インフラの変化が重なっている可能性が見えてくる。

CryptoRankが10月5日に公表した「Crypto Exchange Recap: Q3 2026」によると、9月は中央集権型取引所(CEX)と分散型取引所(DEX)の双方で取引高が増加した。特に、DEXの永久先物市場では、CEXの先物市場を上回る前月比の伸びが確認された。

ただし、取引高の増加が、そのまま新規資金の流入やビットコイン価格の上昇を意味するわけではない。今回の数字を読むには、市場が活発になったことと、成長の持続性を分けて考える必要がある。

9月は回復、四半期全体ではなお減少

CEXは、運営企業が取引サービスを提供する取引所だ。一方、DEXは、スマートコントラクトなどを用いて取引する仕組みで、サービスによって資産管理や注文処理の設計が異なる。

CryptoRankの集計では、9月の取引高は次のようになった。

CEX現物 9,730億ドル 前月20%増

CEX先物 4兆5,600億ドル 前月3%増

DEX永久先物 6,230億ドル 前月13%増

永久先物とは、満期を設けずに価格変動を取引できるデリバティブだ。DEXは現物の売買に加え、こうした取引でも存在感を持つようになっている。

一方、第3四半期全体では、CEX現物が前期比14%減、CEX先物が10%減、DEX永久先物も7%減だった。9月の改善は確認できるが、四半期全体の取引活動は前期の水準を回復していない。現段階では、全面的な拡大というより、低迷後の回復が進んでいると読むのが適切だろう。

DEXでは競争相手の成長にも注目

9月のDEX永久先物市場では、Hyperliquidの取引高が約2,100億ドルと前月からほぼ横ばいだった一方、Asterは33%増、Lighterは27%増となった。最大手が伸びなくても、市場全体の取引高が増えた点が特徴的だ。

ここからは、複数のサービスが利用者や取引を獲得する競争が広がっていると考えられる。ただし、取引高の伸びだけでは、利用者が定着しているか、流動性が持続的に改善しているかまでは分からない。

利用者にとっては、手数料、注文の通りやすさ、取引できる商品、資産の管理方法など、選択肢が増える可能性がある。事業者にとっては、こうした条件で継続的に選ばれるサービスをつくれるかが重要になる。

取引高と新規資金流入は違う

今回のデータを見るうえで、最も注意したいのは「取引高が増えたから強気相場だ」と判断しないことだ。同じ資金で売買を何度も繰り返せば、新しい資金が入らなくても取引高は増える。ドル建ての取引高は、取引する資産の価格上昇によって押し上げられることもある。先物では、レバレッジを含む取引の想定元本が計上されるため、取引高を流入した資金の額として読むことはできない。

また、相場が下落してポジションの解消や清算が増えた場合も、出来高は膨らむ。ポイントや報酬を得る目的の取引が増える可能性も考慮したい。

市場の成長を判断するには、出来高に加え、未決済のポジションを示す建玉、手数料収益、売買注文の厚さ、利用者の継続性などを確認する必要がある。取引の回数が増えたのか、実際に使われる金融サービスとして定着したのか。この違いが、成長の持続性を左右する。

CEXとDEXは、用途に応じた使い分けへ

DEXの成長を、直ちにCEXの衰退と捉えるべきではない。今回の9月のデータでは、CEXの取引活動も回復している。

今後の競争を考えるうえでは、法定通貨との接続やサポートを重視する利用者と、ウォレットを通じた資産管理や他のDeFiサービスとの連携を重視する利用者では、求める機能が異なる点に注目したい。

また、DEXであっても、スマートコントラクト、価格を参照する仕組み、担保管理などのリスクは残る。分散型という名称だけで判断せず、実際の設計と利用条件を確認することが欠かせない。

私は、どちらか一方が市場を独占するというより、取引目的や商品に応じた使い分けが進むと考えている。

荒澤の視点──価格と取引インフラを分けて評価する

私が今回注目しているのは、DEXの出来高そのもの以上に、暗号資産市場で取引の選択肢が広がっている点だ。市場の回復によって取引が増えるという循環的な変化と、取引サービスの競争によって利用先が変わるという構造的な変化。この二つを分けて見れば、価格だけでは見えない事業やインフラの成長を評価しやすくなる。

ただし、DEXの成長とビットコインへの買い需要は別の問題だ。他の暗号資産やデリバティブの取引が活発でも、BTCへの新規現物需要が増えているとは限らない。

BTCの短中期の環境を判断する際は、ETFの資金フロー、オンチェーン上の売買動向、建玉、資金調達率、金利やドルの動きと組み合わせる必要がある。

今回の9月のデータは、市場の取引活動が回復し、DEXの競争が広がっていることを示す前向きな材料だと評価している。今後は、その活発さが継続的な利用と厚い流動性につながるかを確認したい。

ショート動画

DEX取引が拡大!でも、ビットコイン上昇とは限らない?

【次に読む】
» ビットコインの9万ドル再挑戦、米CPIとタイでのIMF総会が鍵【価格分析】
» ビットコイン、ダブルトップ回避、明日のCPI待ち【楽天ウォレットDaily Report】
» ビットコイン、10月の底固めに兆し──「アップトーバー」を支える需給の変化と中間選挙【エックスウィン】

PR

おすすめの国内暗号資産取引所3選

取引所名特徴

Coincheck
【500円の少額投資から試せる!】
◆国内の暗号資産アプリダウンロード数.No1
※対象:国内の暗号資産取引アプリ、データ協力:AppTweak
◆銘柄数も最大級 、手数料も安い
▷無料で口座開設する◁

bitbank
【たくさんの銘柄で取引する人向け】
◆40種類以上の銘柄を用意
◆1万円以上の入金で現金1,000円獲得
▷無料で口座開設する◁

bitFlyer
【初心者にもおすすめ】
◆国内最大級の取引量
◆トップレベルのセキュリティ意識を持つ
▷無料で口座開設する◁