「恐怖」から「買い直し」へ── マクロショックで揺れたビットコイン投資家の心理【BitTrade Market Weekly】

今週の市場は、「強気への期待がいったん後退した後、わずかな環境改善をきっかけに投資家心理が急速に戻ったものの、週末には再び警戒感が強まった一週間」だった。

ビットコインは週前半、79,000ドル前後(約1,260万〜1,280万円)で推移したが、原油高や米金利上昇、米国とイランを巡る緊張を背景に売りが強まり、一時76,000〜77,000ドル台、円建てでは約1,220万円まで下落した。その後、FRBの追加利上げ観測が後退すると買い戻しが強まり、9月4日には一時81,000ドルを突破。円建てでも約1,280万円台まで急回復した。

しかし5日には再び大きな売りが入り、円建てでは一時1,240万円台前半まで急落。その後は1,250万円台まで戻したものの、週後半の急騰をそのまま維持することはできなかった。価格以上に重要だったのは、わずか数日の間に「強気→警戒→買い直し→再警戒」へと、市場心理が大きく揺れたことである。

週前半は、現物需要の弱化とレバレッジ増加が重なった。

高値圏で長期保有者による利益確定が増え、取引所へのBTC流入も拡大。一方で先物の建玉は増えており、「現物よりレバレッジが強い」という不安定な構造が形成されていた。

しかし週後半には状況が変化した。ETFへの資金流入、Coinbase Premiumの改善、クジラによる買いが重なり、さらにレバレッジが低下する中で価格が上昇した。つまり今回の回復はショートカバーだけではなく、現物側にも買い手が戻り始めた可能性を示している。

行動ファイナンスの観点では、これは典型的な「不確実性回避」の動きでもある。投資家は悪材料そのもの以上に、先行きが読めないことを嫌う。原油高と利上げ観測が重なった局面ではポジションを減らしたが、その不確実性が少し和らぐと、今度は乗り遅れを恐れて買い戻した。

市場心理は、一方向の強気ではない。

8月後半の上昇によってFOMOが広がり始めた後、今週前半の下落で再び警戒が強まった。しかし81,000ドルまで急反発すると、「押し目だったのではないか」という認識が再び広がっている。

ここで注意したいのが「直近バイアス」である。

人は直近の値動きを将来にも延長して考えやすい。下落が続けば弱気になり、急騰すれば一転して強気になる。しかし数日間で心理が大きく変わる相場ほど、価格だけを見た判断は危険になる。

クジラが小口投資家の売りを吸収している一方、一般投資家による全面的なFOMOにはまだ至っていない。現在は「楽観」ではなく、「警戒を残した強気」に近い。

今週は、BTCが依然としてマクロ環境から独立していないことも確認された。

原油価格の上昇はインフレ再加速への警戒を強め、米長期金利の上昇と利上げ観測につながった。これはBTCを含むリスク資産には逆風である。一方、週後半には米雇用関連データやFRB高官発言を受け、追加利上げへの警戒が後退。金利低下、株高とともにBTCも急反発した。

したがって、BTCを完全な安全資産として見るのはまだ早い。

一方で、株式との相関が低下し、金との相関が高まる兆候も指摘されている。財政不安や通貨価値への懸念からBTCを評価する資金が増えている可能性はあるが、現段階では複数の性格が混在していると考える方が自然だろう。

来週、確認したいポイントは三つある。

第一に、81,000ドルへの急反発後もETF流入とCoinbaseの現物買いが継続するか。

第二に、Open InterestやFunding Rateが再び急増せず、現物主導の上昇を維持できるか。

第三に、原油価格と米金利が落ち着き、追加利上げ観測がさらに後退するかである。

今、期待しすぎるべきではないのは、「81,000ドルを回復した=強気相場が確定した」という考え方だ。

今回の反発にはショート清算も含まれており、現物需要やステーブルコイン資金の継続性はまだ確認途中である。

同時に、週前半の下落だけを見て弱気転換と判断するのも適切ではない。

今の市場は、「恐怖で売る市場」でも「無条件に買う市場」でもない。新しい情報が出るたびに、投資家がポジションを再評価している市場である。

来週は価格の方向そのものよりも、今回戻ってきた買い手が残るのか。その確認が重要になる。

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