投資戦略とは何か──「相場を当てる」より大切な資産配分とリスク管理【エックスウィン】

投資を始めると、多くの人が最初に考えるのは、「ビットコインはこれから上がるのか」「どの暗号資産を買えばいいのか」ということではないだろうか。もちろん、将来の価格を考えることは投資の一部である。しかし、実際の資産運用では、それ以上に重要なことがある。

それが、「どの資産を、どのくらい持つのか」という資産配分の設計である。

エックスウィングループのXWIN ASSET MANAGEMENT PTE. LTD.(シンガポール)では、9月に入り、運用する一部資産についてポートフォリオを見直した。

8月15日時点では、

BTC 60%
ETH 15%
USDC 25%

としていたが、今回、

BTC 55%
ETH 10%
USDC 35%

へ変更した。

ビットコインに対する見方を弱気へ変更したからではない。むしろ今回の変更には、資産運用を考える上で重要な「投資戦略の基本」が表れている。

投資戦略とは「何を買うか」だけではない

投資戦略という言葉を聞くと、銘柄選びをイメージしやすい。

しかし、資産運用では、何を買うかだけでなく、どのくらい買うかが非常に重要になる。

例えば、ビットコインに強気だとしても、すべての資産をBTCにする必要はない。BTCを30%持つのか、50%持つのか、80%持つのか。同じ「BTCに強気」という判断でも、資産配分によってポートフォリオ全体のリスクは大きく変わる。

つまり、投資判断と資産配分は別の問題なのである。「上がると思う」ことと、「資産の何%を投資するか」は分けて考えなければならない。

なぜポートフォリオを作るのか

ポートフォリオを作る最大の理由は、未来が分からないからだ。もし明日の価格を100%予測できるのであれば、最も上昇する資産だけを保有すればいい。

しかし、実際の市場ではそうはいかない。強気だと思っていた市場が急落することもあれば、慎重に見ていた市場が大きく上昇することもある。

だから資産運用では、

予想が外れることを前提に設計する

必要がある。

例えば、

・BTCがさらに上昇した場合
・現在の価格帯でもみ合った場合
・20%程度の調整が起きた場合

それぞれのケースで、自分のポートフォリオがどうなるのかを考える。これがリスク管理の基本になる。

「強気」と「フル投資」は同じではない

ここは特に重要である。市場に対して強気だからといって、資産の100%をリスク資産へ投資する必要はない。

今回、XWIN ASSET MANAGEMENT PTE. LTD.ではBTCを60%から55%へ減らした。しかし、BTCは依然としてポートフォリオの過半を占めている。つまり、基本的にはBTCを中心資産として評価している。

その一方で、一部の比率を下げることで、急な市場変化にも対応できるようにしている。これは、方向性の判断と、リスク量の判断を分けるという考え方である。市場には強気。しかし、リスク量は少し下げる。この二つは矛盾しない。資産運用ではむしろ、このような考え方が重要になる。

上昇した資産を減らすのはなぜか

投資では、価格が上昇するとさらに買いたくなる心理が働きやすい。しかし、資産運用では逆の判断をすることもある。

例えばBTCの比率を60%に設定していたとする。

BTC価格が大きく上昇すれば、何もしなくてもポートフォリオ全体に占めるBTCの影響は大きくなる。その状態でさらにBTCを増やせば、一つの資産へのリスク集中が進む。そこで、一定の利益が出た段階で比率を調整する。これがリバランスという考え方である。

リバランスとは、

「上がったから売る」

「下がったから買う」

という単純な売買ではない。

最初に決めたリスク水準へポートフォリオを戻す作業と考えると分かりやすい。

ETHを減らした理由も「リスク量」にある

今回、ETHも15%から10%へ引き下げた。ここでも重要なのは、Ethereumそのものが悪いという話ではない。ポートフォリオ全体で考えた場合、BTCとETHはともに暗号資産であり、市場環境によっては同じ方向へ大きく動く。

さらにETHは、BTCより価格変動が大きくなる局面もある。

そのため、

BTCを55%
ETHを10%

とすることで、暗号資産へのエクスポージャーは残しながら、全体の価格変動を少し抑える設計とした。投資戦略では、一つ一つの資産を見るだけではなく、

資産同士を組み合わせたとき、ポートフォリオ全体がどう動くか

を見ることが重要である。

USDC35%──待機資金にも役割がある

今回の変更で最も大きいのが、USDCを25%から35%へ増やしたことである。投資では、資金を使っていないと「機会を逃している」と感じる人も多い。

しかし、待機資金にも役割がある。例えば市場が大きく下落したとき。資金の100%をすでに投資していれば、価格が魅力的になっても新たに投資する余力がない。

一方、一定の待機資金があれば、市場環境を確認しながら再投資できる。つまり、待機資金は「何もしていないお金」ではなく、次の判断を可能にする資金なのである。

この考え方は暗号資産に限らない。株式、債券、不動産など、さまざまな資産運用で共通する考え方だ。なお、USDCにも発行体や価格乖離、スマートコントラクトなど固有のリスクがあり、無リスク資産ではない点には注意が必要である。

投資では「現金比率」も意思決定の一つ

投資家は、どの銘柄を買ったのかには注目する。しかし、「どの程度の資金を投資しないで残しているのか」も同じくらい重要である。

例えば、

BTC 90%・USDC10%

と、

BTC 55%・ETH10%・USDC35%

では、暗号資産市場に対する見方が同じだったとしても、下落時のポートフォリオへの影響は大きく異なる。投資戦略を見るときには、保有している資産だけではなく、投資していない資金にも注目すると、運用者がどの程度のリスクを取ろうとしているのかが見えてくる。

資産配分は固定するものではない

では、一度決めたポートフォリオはそのままでいいのだろうか。答えは必ずしもそうではない。市場環境は常に変化する。

エックスウィンでは、

・オンチェーンデータ
・ETFへの資金流入・流出
・現物市場の需要
・デリバティブ市場
・投資家の利益確定状況
・金利やドルなどのマクロ環境

などを継続的に確認している。

ここで重要なのは、価格そのものだけを見るのではなく、市場構造を見ることである。

例えばBTC価格が上昇していても、その上昇が現物投資家の買いによるものなのか、先物市場のレバレッジによるものなのかでは意味が違う。ETFへの資金流入を伴っているのか。

クジラは買っているのか、それとも取引所へ資産を移しているのか。こうした市場の中身を確認しながら、資産配分を変えていく必要がある。

リバランスは「予想が外れたから」するものではない

ポートフォリオを変更すると、「前回の判断が間違っていたのではないか」と思う人もいるかもしれない。しかし、そうとは限らない。8月15日時点の情報と、9月1日時点の情報は違う。市場環境が変わったのであれば、判断も変わるのが自然である。

むしろ、新しい情報が出ても過去の判断に固執することの方がリスクになる。重要なのは、「一度決めたことを守り続けること」ではない。どの条件が変わったらポートフォリオを変えるのか。あらかじめ判断基準を持っておくことである。

投資で本当に必要なのは「予想力」より「対応力」

投資の世界では、どうしても予想に注目が集まる。「BTCはいくらになるのか」「次の最高値はいくらなのか」こうした予想は分かりやすく、注目も集めやすい。しかし、実際の資産運用では、それ以上に重要なことがある。

それが、予想と違うことが起きたときに、どう対応するのかである。

市場がさらに強くなれば、リスク資産を増やすことができる。市場が弱くなれば、リスクを落とすことができる。そして、判断が難しいときには待つこともできる。そのためには、あらかじめポートフォリオに余力を持たせておく必要がある。

今回、エックスウィングループのXWIN ASSET MANAGEMENT PTE. LTD.(シンガポール)が運用する一部資産を、

BTC 55%
ETH 10%
USDC 35%

へ変更したのも、その考え方の一例である。これは「BTCがこれから下落する」という予想ではない。市場環境の変化に対して、ポートフォリオ全体のリスク量を調整したということである。投資戦略とは、未来を完璧に当てることではない。

未来が分からないことを前提に、どの程度のリスクを取り、どの程度の余力を残すのかを設計すること。そして、市場環境が変われば、その設計を見直すこと。それが長期的な資産運用を考える上で、大切な視点ではないだろうか。

※本記事で紹介した資産配分は、エックスウィングループのXWIN ASSET MANAGEMENT PTE. LTD.(シンガポール)が運用する一部資産における事例です。特定の暗号資産の売買を推奨するものではありません。暗号資産には価格変動その他のリスクがあります。最終的な投資判断は、ご自身の責任で行ってください。

ショート動画

BTCに強気でも、なぜ比率を下げる? 投資戦略の本当の意味
https://youtube.com/shorts/2p6KFgb8Cws

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