ネイルサロン「FASTNAIL」の運営などを行う東証グロース上場のコンヴァノは8月24日、保有していたビットコイン(BTC)の売却資金を原資に、自己株式取得を実施すると発表した。取得価額の上限は45億円で、株主還元と資本効率の改善を狙う。
同社は2025年、最大2万1000BTCの取得を掲げるなど、BTCへの投資を積極化した時期があった。しかし市場変動の大きさを踏まえ、同年11月にはこの計画を事実上撤回し、AI・ヘルスケア関連事業などの本業回帰へ方針を転換。2026年3月期には保有していたBTCの評価損を計上し、6月には戦略を主導していた前取締役の東大陽氏が退任した。
同社は7月24日に保有していたBTCの売却方針を打ち出し、8月13日には「売却完了」を公表していた。売却代金は約80億9900万円に上る。
同社はBTCの追加取得という当初の使途を失った資金をそのまま保有し続ければ、自己資本利益率(ROE)などの資本効率が低下しかねないとし、速やかな株主還元が適切と判断。売却代金のうち25億円は社債の繰上償還に充て、残りの大半を自己株式取得に振り向けるとしている。
同社は同日、普通株式10株を1株に併合し、11月1日付で効力を発生させることも発表した。自己株式取得によって発行済み株式数が減る一方、筆頭株主の株式会社NTの議決権比率は61.56%から67.53%に上昇し、株主総会での特別決議に必要な3分の2を単独で上回る見込みとなる。取締役会はこの点を審議した上で、既存株主全体の利益保護と資本効率向上に資すると判断したとしている。
同社は一時、財務戦略として暗号資産を保有する「デジタル・アセット・トレジャリー(DAT)」企業の一角として名を連ねていた。BTCの相場下落による評価損を受けた東氏の退任、そして全量売却へと歩みを進め、今回はその資金を株主還元に振り向けるに至った格好だ。
|文:橋本祐樹
|画像:コンヴァノ公式サイトより(キャプチャ)


