ロシア、非適格投資家の暗号資産購入を年57万円に制限

・ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2026年9月1日の施行に先立ち、暗号資産取引所、カストディアン、ブローカーに対するライセンス規則を定めた画期的な暗号資産法に署名した。
・非適格投資家による暗号資産の購入額は、認可仲介業者1社当たり年間30万ルーブル(約3,700ドル、約57万円)に制限される。一方、適格投資家には購入額の上限を設けない。
・ロシア国内で暗号資産を決済手段として使用することは引き続き禁止されるが、デジタルルーブルの段階的な大規模導入と並行して、規制下のデジタル資産市場を拡大する。

プーチン大統領、ロシア初の包括的な暗号資産市場規制法に署名

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、同国の暗号資産市場に初の包括的な規制枠組みを設ける法律に署名した。暗号資産取引所、ブローカー、カストディアンなどのデジタル資産サービス提供事業者に対するライセンス基準を定める。

新法の正式名称は「デジタル通貨およびデジタル権利に関する法律」(連邦法第282-FZ号、法案番号1194918-8)で、7月21日にロシア国家院で可決され、同24日に連邦院の承認を受けた後、8月4日にプーチン大統領が署名した。

新法では、ロシア中央銀行が規制下の暗号資産市場の中核を担う。認可事業者を監督するほか、非適格投資家による購入を認める暗号資産を指定し、市場参加者に対する追加のコンプライアンス基準を定める。

2026年9月1日以降、ロシア国内で暗号資産交換業を営む事業者は、自己資本などの規制要件を満たし、ロシア中央銀行の登録簿に登録される必要がある。また、該当する自主規制機関が存在する場合は、法律で定められた期限内に加入しなければならない。

新法は、非適格投資家と適格投資家を区分する二層構造の投資制度も導入する。

非適格投資家は、認可仲介業者を通じて、承認された暗号資産のみを購入できる。年間購入上限は、仲介業者1社当たり30万ルーブル(約3,700ドル)となる。一方、適格投資家は、事前のテストを受けたうえで、購入額の上限なく、より幅広い暗号資産を取引できる。

ロシア国内では、暗号資産を商品やサービスの決済手段として使用することが引き続き禁止される。その一方で、デジタル資産を越境貿易に活用することを認める従来の措置は維持される。国際的な制裁が続くなか、代替的な決済経路の拡大を図るロシア政府の継続的な取り組みを反映したものだ。

一部の規定は段階的に施行される。非居住者のデジタル・デポジタリーに関する規定に加え、ロシア居住者による暗号資産取引を原則として認可事業者経由に限定する規定や、無許可事業者への送金を制限する規定などは、2027年7月1日に施行される。

非適格投資家の購入上限、デジタルルーブル導入・新ライセンス制度と同時開始

新法は、ロシアでこれまで導入されてきた制度の中でも、特に体系的な暗号資産事業者向けの認可・登録制度を導入する。

暗号資産交換業者のうち、信用機関ではない事業者は、最低1500万ルーブル(約18万5000ドル)の自己資本を維持する必要がある。また、1カ月に2件以上の取引を行い、その合計額が350万ルーブルを超える事業者は、暗号資産交換業者としてロシア中央銀行の登録簿に登録されなければならない。

金融アドバイザーで、Rodin.Capital(ロディン・キャピタル)創業者のアレクセイ・ロディン氏によると、年間30万ルーブルの購入上限による影響を受けるのは、国内の既存暗号資産投資家の約10%にとどまる可能性がある。

一方、一部のアナリストは、規制当局が将来的に購入上限を、ロシアの預金保険限度額である140万ルーブルに近い水準まで引き上げる可能性があるとみている。

「今後1~2年のうちに、上限が預金保険限度額である140万ルーブルまで引き上げられる可能性がある」─投資会社Rikom-Trust(リコム・トラスト)のマネージングディレクター、ドミトリー・ツェリシチェフ氏

ロシア中央銀行は、非適格投資家による購入を認める暗号資産についても今後指定する見通しだ。法律上の基準では、時価総額や取引高が大きく、十分な価格・取引実績を持つ流動性の高い暗号資産が対象となる。

一部の業界関係者は、ビットコイン(BTC)、イーサ(ETH)、テザー(USDT)が、認可仲介業者を通じて非適格投資家向けに提供される当初の候補になると予想している。

暗号資産法の主要規定は2026年9月1日に施行される。同日は、ロシア中央銀行がデジタルルーブルの段階的な大規模導入を開始する日でもある。

同日以降、ロシアの主要銀行は、顧客がデジタルルーブルを利用できるよう対応を開始する。ロシアは、規制下の暗号資産市場と中央銀行デジタル通貨のインフラ整備を並行して進める。

既存の市場参加者には、新たな規制枠組みに対応するため、2027年7月1日までの移行期間が設けられている。

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