ブロックチェーン分析企業Chainalysis(チェイナリシス)は、暗号資産(仮想通貨)保有者を狙った暴力事件で、2026年6月末までに3000万ドル(約48億円、1ドル=160円換算)超が実際に奪われたと明らかにした。現在のペースが続けば、過去最多だった2025年の年間5800万ドルを上回る可能性がある。
3000万ドル超という数字は、被害者が実際に資金を支払った事件だけを対象とする。身代金要求や未遂、強要されたものの阻止された送金、後に凍結・回収された資金まで含めると、関連額は2024年に約3億1600万ドル、2025年に約1億8000万ドル、2026年は6月末までに約1億700万ドルに達した。いずれも報告された事件のみを対象としており、実際の規模はさらに大きい可能性がある。
こうした事件は「レンチ攻撃」と呼ばれ、誘拐、住宅侵入、人質事件などを通じて、被害者にウォレットへのアクセスや暗号資産の送金を強要する。2026年は誘拐が全体の52%、住宅侵入が37%を占めた。ただし、住宅へ侵入した後に被害者を拘束した事件を誘拐と分類する場合があり、集計方法によって比率は変わる。
家族や知人を標的にする事件も増えている。こうした事例は2021年にはほぼ確認されなかったが、2026年初めには全体の約25〜30%を占め、フランスでは40%を超えた。
特にフランスで被害が急増している。チェイナリシスが確認した公開情報によると、2025年の事件は19件だったが、2026年6月末までに30件が確認された。フランスのLaurent Nunez(ローラン・ニュネズ)内相は同月、当局が70件を超える暗号資産関連の暴力事件を把握していると明らかにしている。両者は情報源や集計基準が異なる可能性がある。
盗まれた資金の移動方法には、攻撃者の技術力によって大きな差がある。暗号資産を直接中央集権型取引所へ送る例がある一方、DEXやブリッジ、DeFiツール、資金洗浄サービスを経由して追跡を困難にする手口も確認された。
チェイナリシスは、SNSなどで保有額を公表せず、実名とオンチェーン活動を結び付けないことに加え、リスクに応じた保管・物理セキュリティ対策を講じることが重要だと警告している。
|文・編集:Shoko Galaviz
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