Strategyがビットコインを買わなかった理由──「買い控え」ではなく次の一手に備えた資金戦略か【エックスウィン】

●Strategyは7月20日~26日に約5億4,450万ドル分のMSTR株を売却した一方、ビットコインの追加購入は行わなかった。
●保有するビットコインは84万3,775BTCで変わらず、売却も行っていない。平均取得価格は75,476ドルとなっている。
●現金準備は37億5,000万ドルまで増加しており、エックスウィンでは「強気姿勢を維持しながら、次の投資機会に備えた戦略的な資金確保」と考えている。

「Strategyが今週はビットコインを買わなかった。」

このニュースを見て、「Strategyの強気姿勢が変わったのではないか」と感じた投資家も少なくないだろう。

実際、Strategy(旧MicroStrategy)は、ここ数年にわたり暗号資産市場で最も大きな買い手の一社となっている。新たに株式や転換社債を発行し、その資金でビットコインを購入するという独自の資本戦略を繰り返してきた。同社の購入タイミングは市場参加者からも注目されており、「今週は何BTC買ったのか」が毎週のように話題となる。

そのため、今回「ビットコインを購入しなかった」という事実だけを見ると、市場にとってネガティブな印象を受けるかもしれない。

しかし、今回の発表内容を詳しく見ると、むしろ注目すべきポイントは別のところにある。

約5.4億ドルを調達しながらBTCは売却せず

Strategyは7月20日から26日にかけて、543万株のMSTR株式を売却し、約5億4,450万ドルの資金を調達した。また同時に、STRC優先株約2,500万ドル分を買い戻している。

一方で、この期間中のビットコイン購入はゼロだった。

しかし、これは「保有BTCを減らした」という意味ではない。

同社が保有するビットコインは84万3,775BTCのままであり、一切売却していない。平均取得価格も75,476ドルで変わっておらず、長期保有方針に変更は見られない。

つまり、「買わなかった」だけであり、「売った」わけではないという点が重要である。

Chart showing Strategy (formerly MicroStrategy) 'Amount Held' over time: blue BTC price vs orange amount of BTC acquired with time on the horizontal axis and values on the left/right axes.
図1:Strategy(旧MicroStrategy)のビットコイン保有量の推移

チャートから分かること

このチャートを見ると、Strategyは2020年以降、一時的に購入を見送る局面はあったものの、中長期では保有量を一貫して増やしてきたことが分かる。

特に2024年後半以降は、株式や転換社債による資金調達を積極化し、保有量は急速に拡大した。現在では84万BTCを超え、企業として世界最大のビットコイン保有者となっている。

今回、1週間購入がなかったことだけを見るとネガティブに映るかもしれない。しかし、この長期チャートを見ると、それは保有戦略全体の中では一時的な「休止」に過ぎないことが理解できる。

つまり、市場参加者が注目すべきなのは「今週買わなかった」という一点ではなく、「過去5年以上にわたり、一貫して保有量を積み上げてきた」という事実である。

市場への影響は限定的

短期的には、Strategyが新たなビットコインを購入しなかったことで、市場に流入するはずだった機関投資家マネーが一時的に減少したと見ることができる。

Strategyは近年、ETFと並ぶ巨大な買い手として市場の需給を支えてきた。そのため、毎週数千BTC単位で続いていた購入が止まれば、短期的には需給面でプラス材料が一つ減ることになる。

しかし、今回の発表だけで同社が弱気に転じたと判断するのは早計だろう。

むしろ重要なのは、ビットコイン市場全体の需給環境を見ながら、一時的に購入を見送った可能性があるという点だ。

37.5億ドルという「次の弾薬」

今回の発表で最も注目すべき数字は、ビットコインではなく現金準備である。

Strategyの米ドル準備金は37億5,000万ドルまで増加した。

これは、今後価格調整が起きた場合や、より有利なタイミングが訪れた際に、再び大規模なビットコイン購入を実施できる余力を意味する。

実際、同社はこれまでも相場が調整した局面で積極的な買い増しを行ってきた。

言い換えれば、今回は「買うのをやめた」のではなく、「いつでも買える状態を整えた」と見ることもできる。

この違いは非常に大きい。

資本市場を活用する独自戦略

Strategyの強みは、単純にビットコインを保有している企業ではないことだ。

同社は株式市場を活用し、

・普通株式の発行
・優先株の発行
・転換社債の発行

など複数の資金調達手段を組み合わせながら、その資金をビットコインへ振り向ける独自のモデルを確立してきた。

企業価値の向上と資本市場からの資金調達、そしてビットコイン保有を一体化させたこの戦略は、多くの上場企業にも影響を与えている。

今回の株式売却も、その戦略の延長線上にあるものと考えるのが自然だろう。

エックスウィンの見解

エックスウィンでは、今回の発表は「強気姿勢の後退」ではなく、「財務体質をさらに強化し、次の投資機会に備えるための戦略的な判断」と考えている。

短期的には、新規購入が止まったことで需給面の追い風はやや弱まる可能性がある。しかし、84万BTCを超える保有を維持しながら、約37億ドルもの現金を確保しているという事実は、同社が依然としてビットコインを長期的な戦略資産として位置付けていることを示している。

現在の暗号資産市場では、ETFへの資金流入、企業によるビットコイン保有、各国の規制整備など、市場構造そのものが大きく変化している。

Strategyの今回の判断も、短期的な価格変動ではなく、中長期的な資本配分の最適化という視点で捉えることが重要ではないだろうか。

ショート動画

Strategyは本当に弱気になったのか?
https://youtube.com/shorts/MM-v85JWHR4

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