英国政府が任命したホールセール・デジタル市場チャンピオンのChris Woolard(クリス・ウーラード)氏は、金融市場のトークン化に向けたロードマップを盛り込んだ初の報告書を公表した。
報告書は、英国が主要なトークン化市場としての地位を確立し、世界的な普及と国内導入が進んだ場合、2035年までに年間最大330億ポンド(約7兆1600億円、1ポンド=217円換算)の経済価値と、年間最大140億ポンドの税収増が見込めるとの分析を示した。これらの数字は、Barclays(バークレイズ)とPwCの試算に基づく条件付き推計となる。
報告書では、金融市場のトークン化は実証実験の段階から、本格的な市場インフラや実用化へ移行しつつあると指摘した。一方、明確な国家ロードマップがなければ、基準やインフラ、規制枠組みが国外で形成され、英国が国際金融市場で影響力や市場シェアを失う恐れがあると警告している。
また、トークン化された現実資産(RWA)の世界市場は、2025年時点の約300億ドルから、2035年までに88兆ドル規模へ拡大する可能性があると予測した。これは世界の投資可能資産の約16%に相当するという。
提言では、分散型台帳技術を利用した英国国債「Digital Gilt Instrument(DIGIT)」の試験発行を優先し、遅くとも2027年第1四半期までに実施するよう求めた。さらに、トークン化担保の活用、レポ取引の実証、既存・新規決済基盤の相互運用性向上を重点課題に挙げている。
このほか、ステーブルコインやトークン化預金を使った決済を支えるインフラを整備し、トークン化資産の法的、規制上、税務上の扱いを明確にする必要があるとした。
|文・編集:Shoko Galaviz
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