イギリスの金融行動監視機構(FCA)は、個人向け金融サービスに関する包括的な規制の青写真となる147ページの報告書「The Mills Review」を公表した。FCAでエグゼクティブ・ディレクターを務めるSheldon Mills(シェルドン・ミルズ)氏が主導した。
報告書は、個人向け金融サービスが自律的に行動する「エージェント型AI」によって完全自動化へと急速に進んでいると警告した。
ミルズ氏は序文で「企業は行動を推奨するシステムから、行動を実行する権限を与えられ、訓練されたシステムへと移行しつつあり、まもなく自らに代わって行動するエージェントを手に入れることになる」と記した。
そして、こうした変化は利便性を高める一方、金融犯罪の巧妙化、市場の独占、説明責任の不透明化という新たなリスクをもたらすと指摘した。
また、AIエージェントが機械並みの速度で資金を動かすには従来の決済インフラでは追いつかず、トークン化された銀行預金やステーブルコインが決済基盤として重要性を増す可能性があるとの見方も示した。
ミルズ氏は、FCAがAIを活用した監視モデル「Agentic Supervisory Model」の導入や規制枠組みの更新を通じて、安全な技術革新を促進すべきだと提言し、「技術の進歩と消費者の信頼・保護の両立が、次世代の金融システムにおける最大の課題だ」との考えを示した。
日本でも金融庁が今年3月、AIエージェントの台頭を踏まえた「AIディスカッションペーパー(第1.1版)」を公表しており、各国の金融当局は同様の課題に直面している。
|文・編集:井上 俊彦
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