JPモルガンのトークン化MMF、6月に約250%増加──米現物ビットコインETFから45億ドル流出【価格分析】

・JPモルガンのトークン化マネー・マーケット・ファンドは7月初旬までの過去1カ月で約250%増加し、オンチェーン上の運用資産は約6億9,500万ドルに達した。
・米国債利回りの上昇とドル高が進むなか、6月にはビットコインETF(上場投資信託)から約45億ドルが流出した。
・コインベース・プレミアムは6月を通じてマイナス圏で推移し、米国の機関投資家による需要が海外市場を引き続き下回っていたことを示した。

JPモルガンのトークン化ファンド、過去1カ月で約7億ドルに拡大

Token Terminalによると、JPモルガンのトークン化マネー・マーケット・ファンドであるJLTXXは7月初旬までの過去1カ月で約250%増加し、運用資産残高は7月2日時点で約6億9,500万ドルに達した。

ファンド持分を表すトークンがイーサリアム上で発行されるJLTXXは、機関投資家が利回りを生むデジタル資産へ資金を移す動きを強めるなか、最も急速に成長しているトークン化米国債商品の一つとなっている。

この成長の背景には、米国の金利が高い水準を維持し、JLTXXが5月末時点で3.56%の7日間SEC利回りを提供していたことがある。

これにより機関投資家は、ファンド持分をブロックチェーン上で保有・移転できる利便性を維持しながら、米国債などを裏付けとする比較的低リスクの運用収益を得られる。

J.P. Morgan tokenized funds infographic with large JLTX X text and links: Issued by J.P. Morgan, Deployed on Ethereum, bar chart and explanatory paragraph below.
<JPモルガンのトークン化ファンドJLTXX、6月に約250%増加|Token Terminal>

Token Terminalは投稿で、発行体のJPモルガンと基盤となるイーサリアムを「注目すべき発行体とネットワーク」と評価した。

JPモルガンは現在、時価総額で世界最大の銀行であり、総資産でも世界有数の規模を持つ。同ファンドの拡大は、機関投資家による資産トークン化の新たな節目となる。

米国債利回りの上昇と同時にビットコインETFから資金流出、大口投資家の需要も低迷

6月にトークン化マネー・マーケット・ファンドへの需要が急増した一方、ビットコインに対する機関投資家の需要は、2026年に入ってから最も弱い月の一つとなった。

現物ビットコインETFからは6月に約45億ドルが純流出し、BTC価格も約20%下落した。

IGグループのアナリストや、Anchorage Digitalのリサーチ責任者であるデビッド・ラワント氏は、米連邦準備制度理事会が金利を長期間にわたって高水準に維持する政策を、2026年上半期に暗号資産市場が下落した主なマクロ経済要因の一つとして挙げている。

米ドル指数は6月に上昇し、月中には一時101.80を付け、約13カ月ぶりの高水準となった。

ドル高が進むと、ビットコインのように利息を生まない資産を保有する機会費用が高まる。特に、短期米国債商品へ数十億ドル規模の資金を配分できる機関投資家にとって、この影響は大きい。

オンチェーンデータからも、米国の機関投資家による需要の弱さがうかがえる。

Line chart comparing Bitcoin price (black) and Coinbase Premium Index (red) from April to July 2026, with axes and data points marked on the right.
<ビットコインのコインベース・プレミアム指数|CryptoQuant>

CryptoQuantのコインベース・プレミアム指数は、コインベースとバイナンスで取引されるBTCの価格差を示す指標だ。

同指数は6月を通じてマイナス圏で推移し、7月初旬には約マイナス0.11まで低下した。

コインベースは米国の機関投資家に広く利用される一方、バイナンスは世界的に個人投資家主導の取引所となっている。

このため、同指数が継続的にマイナスとなっていることは、米国の機関投資家による買い需要が他地域を引き続き下回っていることを示している。

投資家は2026年下半期の利上げと高利回りを予想

今後、トークン化マネー・マーケット・ファンドには、さらに多くの需要が集まると予想される。

ケビン・ウォーシュ氏がFRB議長を務めるなか、金利を巡る市場の見方はタカ派方向へ傾いている。

CMEのFedWatchツールによると、7月に政策金利が据え置かれる確率は78%となっている。

一方、9月までに少なくとも1回利上げされる確率は約55%、10月まででは約69%、12月まででは約77%だった。

Line chart of the 5-year Treasury Inflation-Indexed Security yield (daily) from May to July; rises from ~1.3% to ~2.0% with DFII5 at 1.99%.
<物価連動米国債|TradingView>

5年物物価連動国債の実質利回りは、5月の1.3%から7月初旬には1.98%まで上昇した。

これは、2026年下半期に向けて金利が長期間にわたり高水準に維持されるとの見方を、米国債市場が明確に織り込み始めていることを示す。

高利回りによる資産効果がリスク選好を支える可能性

5月の非農業部門雇用者数は当初17万2,000人増と発表され、市場予想の8万5,000人増を上回ったが、その後12万9,000人増に下方修正された。

また、小売・飲食サービス売上高は前月比0.9%増加し、総合消費者物価指数は前年同月比4.2%上昇した。

こうした市場予想を大幅に上回る経済指標は、戦争や原油供給網の混乱によってインフレが押し上げられる一方、米国経済そのものは底堅さを維持していることを示している。景気が弱い局面でFRBが利上げすれば、需要は大きく冷え込む。

しかし、雇用市場が堅調で経済見通しも比較的明るい状況では、利上げがリスク資産への需要を支える可能性がある。

トークン化マネー・マーケット・ファンドや一部の利回り付きデジタル商品から得られる利息収入が増えれば、利息収入を通じて新たな投資資金が生み出される可能性がある。

2025年12月末時点で、外国勢が保有する米連邦債務のうち、外国の民間投資家は58.1%に当たる約5.4兆ドルを保有していた。こうした民間保有者は、米国債から比較的予測しやすい利息収入を得られる。

米国債は、融資の担保として極めて質の高い資産でもある。

企業や投資家は、米国債やトークン化マネー・マーケット・ファンドの持分を担保として利用できる場合、借入金や受取利息を株式、不動産、暗号資産などのリスク資産へ振り向けられる。

2026年下半期に予想される高金利によって名目上の収益が増えれば、潤沢な現金を持つ機関投資家や富裕層は、資産余力が大きく増したと感じやすくなる。

こうした資産効果が、リスクを積極的に取る市場心理を持続させる可能性がある。

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