・マイケル・セイラー氏は、Strategyの評価額が数カ月ぶりに同社のビットコイン(BTC)保有額を下回るなか、新たなBTC購入を示唆した。
・Strategyの企業価値ベースのmNAVは1.0倍を下回り、STRCは過去最安値まで下落した。レバレッジを活用した同社のBTCトレジャリー戦略に対する投資家の信頼低下を映している。
・予測市場では、セイラー氏が引き続き買い増しを示唆しているにもかかわらず、Strategyが2026年末までに100万BTCを超える確率は15%にとどまっている。
Strategyの企業価値、保有BTCの時価を下回る──STRCは過去最安値に下落
Strategy会長のマイケル・セイラー氏は6月29日、週末恒例のビットコイントラッカーを投稿し、同社による新たなBTC購入観測を再燃させた。この投稿は、これまで同社の追加取得に先立って行われることが多かったシグナルだ。
金曜日、Strategyの企業価値ベースのmNAVはおよそ0.99倍まで低下した。これは、同社の企業価値が保有BTCの時価を下回ったことを意味する。現在の推計では、Strategyの企業価値は約503億ドル。一方、同社が保有する84万7363BTCの時価は、BTCが約6万ドルで取引されるなか、約506億ドルとされた。
この指標は、デジタル資産トレジャリー企業、いわゆるDAT企業の評価を見るうえで、最も注目される指標の一つになっている。企業価値ベースのmNAVは、普通株式、負債、優先証券を含む企業価値から現金を差し引いた値を、保有BTCの時価と比較する指標だ。
mNAVが1倍を下回ることは、市場がその企業を保有BTCの時価未満で評価していることを示す。同社の資本配分モデルに対する信頼が悪化していることを反映している。

Strategyの資金調達商品にも圧力が強まった。MSTR普通株は過去1週間で約30%下落し、120ドル前後から金曜日には82ドル近辺まで下げた。一方、同社の変動利率型シリーズA永久ストレッチ優先株であるSTRCは、一時71ドル近辺まで下落し、過去最安値を付けた。その後は74ドル付近まで小幅に戻した。
予測市場、StrategyのBTC購入ペース鈍化を織り込む
STRCはもともと、月次配当を調整することで、100ドルの清算優先額に近い水準で取引されるよう設計されていた。ローンチ以降、Strategyは年率配当を9%から約11.5%まで引き上げている。しかし、現在価格が74ドル近辺にあるため、市場価格から逆算される利回りは15%を超える。これは、投資家がStrategyのBTC取得計画に資金を出す見返りとして、以前よりも大幅に高いリターンを求めていることを示している。
この構造は、Strategy本体にとって重いキャッシュフロー負担になる。暗号資産市場が不安定ななかでも、同社はこうした固定的な支払い義務を負わなければならないためだ。
セイラー氏は引き続き強気姿勢を示しているものの、予測市場では、Strategyが2026年後半もこれまでのペースでBTCを積み増せるかについて、投資家の懐疑的な見方が強まっている。
ポリマーケットでは、Strategyが2026年12月31日までに100万BTC超の保有を発表するかを対象にしたコントラクトの予想確率が、5月初めの61%、6月初めの45%から低下し、6月29日(月)には15%まで落ち込んだ。

これは、3月にこの予測イベントが始まって以来、Strategyの積み増しペースに対する市場の信認が最も低い水準だ。トレーダーは、同社の株式評価の低下と資金調達コストの上昇が、今後の購入余地を制約すると見ていることがうかがえる。
BTCが6万ドル近辺で安定するなか、米祝日週の上昇期待が救いとなる
BTCとS&P500の相関は月曜日に約0.75まで高まった。米国市場は7月4日の独立記念日を前に、4営業日の短縮取引週に入っている。こうした祝日前の短縮取引週は、歴史的に株式市場が強含みやすい時期とされている。
複数の学術研究では、米国株は主要な市場休場日の前の短縮取引週に、平均を上回るリターンを一貫して生み出してきたことが示されている。
この季節的な効果が短縮取引週に米国の大型株で表れれば、資産横断的なリスク選好を通じて、BTCにも追い風となる可能性がある。

BTCが20日移動平均線のある6万100ドル付近を回復すれば、短期的なモメンタムが安定し始めた最初のシグナルとなる。現在の弱気なチャート構造を打ち消すには、6万2700ドルを持続的に上回る必要がある。
一方で、5万8800ドルのサポート付近を維持できなければ、BTCは再び売り圧力にさらされる可能性がある。特に、ETFからの資金流出が続いたり、Strategyの資金調達懸念が機関投資家心理の重しになり続けたりする場合、そのリスクは高まる。



