ビットコイン、ETFに6億2600万ドル流入──FRB利上げ観測が後退【価格分析】

・中東情勢の緊張緩和と現物ビットコインETFへの4億ドル超の資金流入が、直近のColdcardを巡るセキュリティー懸念を相殺し、ビットコイン(BTC)は6万5000ドル付近まで上昇した。
・原油価格の下落によりインフレへの警戒が和らぎ、週初めに急上昇していた米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が後退した。
・CryptoQuantのデータによると、BTCの大口保有者(クジラ)は2026年を通じて買い増しを続けている。市場の関心は、金曜日に発表される米非農業部門雇用者数に移っている。

BTC、6万5000ドルに接近──ETF流入額は6億ドル超、原油5%安でFRB利上げ懸念和らぐ

BTCは8月5日(水)、6万5000ドルをわずかに下回る水準で取引された。直近のColdcardを巡るセキュリティー懸念が残るなか、週末につけた安値から約5%回復した。

代表的な暗号資産であるBTCは、セキュリティー事件が深刻化した局面で、一時6万2200ドル付近まで下落した。Galaxy Researchの推計によると、この事件ではこれまでに、影響を受けた数千のアドレスから1億ドル超に相当する1800BTC以上が流出したという。

しかし、現物ビットコインETFへの資金流入が事件を巡る悲観的な見方を上回った。現物ビットコインETFには、月曜日に1億7010万ドル、火曜日に2億1150万ドル、水曜日に2億4440万ドルの純流入があった。

Table of daily Bitcoin ETF fund flows by issuer logos for 20 Jul 2026 to 05 Aug 2026, with daily and total values (red negatives indicate outflows).
<現物ビットコインETF、Coldcardを巡るセキュリティー事件の報告後3日間で6億2600万ドル流入|出典:Farside Investors、2026年8月6日>

Farside Investorsのデータによると、3日間の純流入額は合計6億2600万ドルとなった。筆者は、BTC価格が横ばいで推移する局面で機関投資家が買いを入れた可能性や、自己管理型ウォレットへの懸念からカストディ型商品へ資金を移す動きがあった可能性を指摘している。ただし、同データだけでは投資主体や資金流入の動機までは確認できない。

マクロ経済の動向もBTCに追い風となった。CNNのライブ報道によると、中央ヨーロッパ時間の水曜日深夜時点で、ホルムズ海峡を巡るイランとオマーンの協議が進展し、中東情勢の緊張緩和への期待が高まった。

湾岸地域の政府高官は、トランプ米大統領が週初めに新たな外交努力を承認したことを受け、イランとオマーンが金曜日までにホルムズ海峡を巡る合意に達する可能性は「五分五分」だと述べたとされる。

Bar chart: Fed target-rate probabilities — 350–375 bps 45.1%, 375–400 bps 54.9%; current rate 350–375 bps
<9月FOMCでFRBが利上げする確率は、週初めの73%から8月5日の取引終了時点で54.9%に低下|CME FedWatch Tool、2026年8月5日>

原油供給を巡るリスクが和らぐとの見方から、世界の原油価格は急落した。北海ブレント原油は火曜日に5.3%下落し、1バレル=79.36ドルで取引を終えた。水曜日も79ドル台で推移した。

原油価格の下落により、エネルギーコストの上昇がインフレを再加速させるとの懸念が和らいだ。

投資家は、9月に開かれる次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)について、従来よりタカ派色の弱い見通しを織り込んだ。

CME FedWatch Toolによると、FRBが利上げする確率は、週初めの73%から8月5日終了時点で54.9%に低下した。一方、政策金利を据え置く確率は45.1%に上昇した。

原油価格の下落とFRBがタカ派的な政策判断を下すとの見方の後退により、投資家はBTCをはじめとするリスク資産について、より強気な見通しを織り込みやすくなった。

米国株式市場の動きも、こうした楽観的な見方を後押しした。S&P500種株価指数は8月4日に過去最高値の7736.52を付け、翌5日は0.2%安の7723.55で取引を終えた。

米雇用統計控え、CryptoQuantはBTCのクジラによる買い増し継続を指摘

市場の関心は、金曜日に発表される米非農業部門雇用者数(NFP)に移っている。結果が、BTCの直近の回復基調を左右する可能性がある。

Trading Economicsの市場予想によると、米国の7月の非農業部門雇用者数は、前月比8万~8万5000人程度の増加が見込まれている。6月は市場予想を下回る5万7000人の増加だった。

Eightcapでリスクマネージャーを務めるアレクサンダー・キエファロ氏は水曜日、LinkedInへの投稿で3つのシナリオを示した。

同氏によると、雇用者数の増加が約5万5000人を下回る弱い結果となれば、労働市場の減速を示す材料がさらに増え、追加利上げが先送りされる可能性が高い。

この場合、一般的には米ドルが下落する一方、BTCや金のほか、リスク資産には追い風となる。

雇用者数が市場予想に近い結果となった場合、市場の関心は雇用者数の増加幅そのものではなく、賃金の伸びや過去の雇用統計の改定値に移るとキエファロ氏は強調した。

一方、雇用者数が約12万5000人を上回り、特に平均時給の前月比伸び率が0.4%以上となった場合には、FRBによる追加利上げ観測が再び強まる可能性がある。

キエファロ氏によると、このシナリオでは米ドルが上昇する一方、BTCをはじめとする金利動向に敏感な資産には逆風となる可能性が高い。

Chart titled 'Bitcoin: Total Whale Holdings and Monthly % Change' showing a purple shaded area for total whale balance, a purple line for 30-day % change, a black line for Bitcoin price, and a pink line for total balance. Left axis shows Total Balance (# of Bitcoin) and 30-day % change, right axis shows Price ($). Time axis spans 2025–2026.
<BTCのクジラの総保有量は2026年8月5日に約306万BTCに達した|CryptoQuant>

オンチェーンデータは、大口投資家がさらなる価格上昇に備えたポジションを維持していることを示している。

CryptoQuantのリサーチ責任者を務めるフリオ・モレノ氏によると、BTCの直近の値動きが軟調だったにもかかわらず、最大規模の保有者層は買い増しを続けている。

「BTC、ETH、XRPのいずれでも、最大規模の保有者層は、価格がそれぞれの実現価格付近か、それを下回る水準にあるなかで保有量を増やしている。こうしたポジショニングは下押し圧力を和らげるものであり、相場サイクルにおける下落局面の最終段階と整合している」─モレノ氏

CryptoQuantによると、取引所、マイニングプール、ETF、暗号資産を財務資産として保有する企業を除いたBTCのクジラの残高は、約306万BTCまで増加した。2025年12月には約287万BTCまで減少していた。

同社によると、クジラの残高は2026年の大半で30日間の増加率がプラスとなっており、BTCが6月に一時6万ドルを割り込んだ後は、買い増しのペースが加速した。

現在の保有量は、2025年の強気相場で記録した約323万BTCのピークを依然として下回っている。

それでもCryptoQuantは、このデータが機関投資家級の大口保有者にはポジションをさらに拡大する余地があることを示しているとみている。

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