原油安が個人消費に追い風──ビットコインETFへの資金流入回復にも期待【価格分析】

・Dakota Wealth Managementは、米イラン和平合意後の原油価格下落により、小売株や消費関連株へのローテーションが起きる可能性があるとみている。
・米国の現物ビットコインETF資産の約79%は、個人投資家や金融アドバイザー、その他13F非提出者が保有しているとみられ、ビットコイン需要にとって消費支出の動向がますます重要になっている。
・戦時下のインフレ懸念がピークに達した時期、ビットコインETFの保有量は約6万BTC減少し、40億ドル超の純流出に見舞われた。

運用資産75億ドルのDakota Wealth Management、合意後のラリーは個人投資家主導とみる

ウォール街のストラテジストの間では、米イラン和平合意をきっかけに始まった市場ラリーが、テクノロジー株にとどまらず、消費需要に左右される資産にも広がる可能性があるとの見方が強まっている。

富裕層の個人やファミリー向けにサービスを提供する独立系投資運用会社で、運用資産75億ドルを抱えるDakota Wealth Managementのシニア・ポートフォリオ・マネージャー、ロバート・パブリック氏はロイターに対し、ホルムズ海峡周辺の紛争に伴うインフレ懸念が数カ月続いた後、エネルギー価格の下落が小売需要を押し上げる可能性があると語った。

WTI原油価格は、2月28日に戦争が始まってから最初の10日間で80%超上昇した。

TradingViewのデータによると、停戦合意によって戦略上重要な海上輸送路の再開に道が開かれたことを受け、原油価格は6月11日以降の5営業日で20%近く下落し、火曜日には1バレル76ドル付近まで下げた。

Daily US Crude Oil price chart showing a sharp late-week drop to around 77 with red candlesticks and lower volume on the right side.
<WTI原油価格の推移、2026年2月28日〜6月17日|出典:TradingView>

「原油価格の下落によって消費者のガソリン代が下がれば、Home Depot、Target、Macy’sのような小売株は恩恵を受ける可能性がある」とパブリック氏はロイターに語った。

Edward Jonesのシニア・グローバル投資ストラテジストであるアンジェロ・クルカファス氏は、エネルギー価格の低下はインフレ期待を和らげ、景気敏感セクターを支える可能性もあると述べた。

「地政学的緊張の緩和は、一部のインフレ圧力を和らげ、債券利回りを低下させる可能性がある。それが、景気循環セクターや出遅れていた分野へのローテーションを促す触媒になり得る」─クルカファス氏。

BCA Researchのストラテジストも月曜日、地政学リスクの緩和と原油価格の下落を理由に、一般消費財・サービス株に戦術的なロングポジションを取ると発表した。

原油安で消費支出見通しが改善、米ビットコインETFの約79%は13F非提出者などが保有

消費支出の見通し改善は、ビットコイン需要にも影響を及ぼす可能性がある。

Kaiko Researchによると、個人投資家は世界の暗号資産取引活動の約35〜40%を占めている。一方、CoinSharesが2026年のフォーム13F提出書類を分析したところ、米国の現物ビットコインETFにおける機関投資家の保有比率は、年上半期に24.7%から20.8%へ低下した。その結果、個人投資家、金融アドバイザー、その他13Fの提出義務がない投資家が、現在、米国の現物ビットコインETF資産全体の約79.2%を保有している。

個人投資家などの保有比率が高まっていることは、ビットコインETFの需要が家計の投資行動や消費者信頼感とますます結びついていることを示している。

この関係は、米イラン紛争中に明確になった。エネルギー価格の上昇とインフレ懸念が、個人投資家のリスク選好の重しとなったためだ。2月28日の紛争開始時点で、米国の現物ビットコインETFは合計で約129万BTCを保有し、運用資産総額は824億7000万ドルに達していた。

Table titled Bitcoin ETF Flow (US$m) showing daily fund inflows/outflows by ETF across dates from 29 May to 16 Jun 2026, with a total column at right. Negative values are in red, positives in black, and the row for 16 Jun 2026 is highlighted green.
<ビットコインETF保有量、2026年6月|出典:FarsideUK>

6月14日までに、保有量は約123万BTCへ減少し、運用資産総額も796億5000万ドルに低下した。

最も大きな資金流出が起きたのは5月15日から6月3日にかけてで、この間にBTC価格は20%近く下落し、米国の現物ビットコインETFからは累計約44億ドルの純流出が発生した。この期間には週間で過去最大となる34億ドルの流出も含まれており、2024年1月にこれらの商品が上場して以来、最大規模の資金流出となった。

「戦争の終結は、消費者がほかの支出に回せる裁量的な資金を持つようになるとの見方を後押しする可能性がある」とパブリック氏は述べた。

安定化の兆しは、すでに現れ始めている可能性がある。米国の現物ビットコインETFは火曜日、約1000万ドルの純流入を記録し、最近の売り基調の一部を反転させた。

燃料費の低下が家計のキャッシュフローと消費者信頼感を引き続き改善させるなら、ビットコインETFも、小売株やその他の景気循環セクターを現在支えている裁量的消費支出の回復から、間接的な恩恵を受ける可能性がある。

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