● Fundstrat共同創業者のトム・リー氏率いるBitMineは、ETH供給量の約4.47%規模まで保有量を拡大。企業によるETH蓄積が新たな局面へ入り始めている。
● 一方でイーサリアム財団(EF)は、“中央組織”から“最小限の思想的ノード”へと役割転換を進めており、市場構造にも変化が生じている。
● オンチェーンでは、取引所ETH残高減少とステーキング率上昇が同時進行しており、「売られにくいETH」が増加している可能性がある。
暗号資産市場では現在、ビットコインだけではなく「イーサリアム(ETH)」を巡る構造変化が静かに進行している。特に市場で注目を集めているのが、Fundstrat共同創業者として知られるトム・リー氏の強気姿勢だ。
トム・リー氏は、ウォール街で最も著名な暗号資産強気派の一人であり、2017年にはビットコインが2,000ドル前後だった時代から正式なリサーチカバレッジを開始したことで知られる。現在はFundstrat Global Advisors共同創業者として活動する一方、BitMine Immersion Technologies(BMNR)の会長として、企業によるETH蓄積戦略を推進している。
そのBitMineは本日、111,942ETH(約2.37億ドル規模)を追加購入。これは昨年12月以降で最大規模のETH取得となった。
現在、BitMineのETH保有量は約540万ETH規模とされ、Ethereum全流通供給量の約4.47%に達している。これは単なる投機的ポジションではなく、“企業によるETH準備資産化”が始まりつつある可能性を示している。
トム・リー氏は、ETHを単なるアルトコインとは見ていない。むしろ「金融インフラ」そのものとして評価している。
実際、Ethereum上では現在、ステーブルコイン決済・トークン化(RWA)・Layer2・AI関連インフラなどが急速に拡大している。価格だけを見るとETHは停滞感が強いが、ネットワーク利用そのものは増加が続いている。
リー氏は2030年までにETHが62,500ドルへ到達する可能性にも言及している。その背景には、「ETH/BTC比率」の平均回帰モデルが存在する。現在のETH/BTC比率は長期平均を大きく下回っているが、仮にビットコインが25万ドルへ到達し、ETH/BTC比率が過去平均へ戻ればETHは1万〜2万ドル水準へ到達し得るという考え方だ。
もちろん、このシナリオには前提条件も多い。規制整備、機関投資家の継続流入、Layer2普及、そしてEthereumそのものの技術的進化が必要となる。
その中で重要なのが、現在のイーサリアム財団(EF)の変化だ。
ヴィタリック・ブテリン氏は先日、「EFはイーサリアムの中心ではなく、明確な目的を持つ一つのノードに過ぎない」と発言。さらに、EF保有ETHは全供給量の約0.16%しかなく、今後は巨大な中央組織ではなく、“より小さく、より思想的に尖った組織”へ移行すると説明した。
特に注目されるのは、「ETH売却抑制」の方針だ。EFは今後、検閲耐性・オープンソース・プライバシー・セキュリティといったCROPS領域へ集中し、財団保有ETHの放出を抑えながら長期運営へ舵を切ろうとしている。
つまり現在のEthereumでは、
・財団のETH売却圧力低下
・企業によるETH蓄積増加
・ステーキングによる流通量固定化
・Layer2による利用拡大
という、“供給縮小型の構造変化”が同時進行している。
オンチェーンでも、この変化は徐々に表れ始めている。
1つ目は、Exchange Reserve(取引所保有ETH)の長期的な減少である。取引所に置かれているETHは、2022年以降大きく減少しており、市場で即座に売却可能なETHが縮小していることを示している。
2つ目は、ETH 2.0 Staking Rateの上昇である。現在、ETH供給量の約3割超がステーキングされており、ETHは短期売買される資産から、利回りを伴う長期保有資産へと性格を強めている。
価格だけを見るとETH市場は停滞しているように見える。しかし内部構造では、「実需」「供給固定化」「企業蓄積」が静かに進行している可能性がある。
トム・リー氏が買い続けている理由は、単なる短期価格予想ではない。
彼はおそらく、Ethereumを“次世代金融インフラそのもの”として見始めている。
そして今、市場はまだその変化を十分に織り込めていないのかもしれない。
■ショート動画
著名投資家トム・リーが見ている“イーサリアムの未来”とは【エックスウィン ビットコインリサーチ】
https://youtube.com/shorts/S5gV6itJ-4k
■オンチェーン指標の見方
①Ethereum: Exchange Reserve – All Exchanges
取引所に保有されているETH残高は、2022年以降大きく減少している。これは「すぐ売却可能なETH」が市場から減少していることを意味する。背景には、長期保有・機関蓄積・ステーキング移動などがあると考えられる。供給が市場から引き上げられることで、中長期的には需給改善要因となる可能性がある。

②Ethereum ETH2.0 Staking Rate
ETH供給量に占めるステーキング比率は、現在30%超まで上昇している。つまり、多くのETHが「売買用」ではなく「利回り保有用」へ移行している。価格停滞局面でもステーキング率は上昇しており、長期保有志向の強さが見える。市場内部では、“流動ETH減少”による静かな供給固定化が進んでいる可能性がある。




