海外取引向けの為替リスク管理サービスを提供するトレーダム株式会社は22日、クロスボーダー・ステーブルコイン決済サービス「トレーダム ペイメント」の提供開始を発表した。
同社は同日、東京都内で記者発表会を開催。トレーダム代表取締役の阪根信一氏のほか、JPYC株式会社代表取締役の岡部典孝氏らが登壇した。会場にはNADA NEWS編集部のほか、報道各社が詰めかけた。

「トレーダム ペイメント」は、海外の買い手がUSDCなどのステーブルコインで商品・サービス代金を支払い、日本国内の売り手企業が原則として日本円などの法定通貨で受け取ることができるサービス。日本企業はステーブルコインを直接保有・管理することなく、海外で広がるデジタル決済ニーズに対応できるという。
トレーダムによると、同サービスでは、海外の購入者がUSDCなどで支払った後、トレーダム側でJPYCに交換し、JPYC社を通じて日本円に償還する。その後、トレーダムの銀行口座を経由して、日本国内の売り手企業の銀行口座に日本円を送金する流れとなる。

従来の国際送金や決済では、手数料の高さ、着金までの時間、営業時間の制約、小口決済との相性などが課題となってきた。トレーダムは、ステーブルコインを活用することで、より低コストでスピーディーなクロスボーダー決済の実現を目指す。
同社は同サービスについて、海外の支払人がステーブルコインで支払い、日本企業が法定通貨で受け取るクロスボーダー決済サービスとして、国内初の取り組みだとしている。

発表会で岡部氏はステーブルコインのクロスボーダー利用について、政府や自民党内でも後押しする動きがあると説明。「こういうクロスボーダーでの使い方は、政府もかなり今後後押ししてくれるというふうに発信している」と述べ、今回の取り組みについて「時代の流れに沿ったサービス」と評価した。
JPYCをめぐっては5月15日、発行・償還プラットフォーム「JPYC EX」のアップデートが発表された。発行上限は従来の「1日100万円」から「1回100万円」に変更された。
NADA NEWS編集部が、この上限変更が今回のようなクロスボーダー決済においてどのような意味を持つのかを尋ねると、岡部氏は「今まではどんなに大きな会社であっても、1日100万円という制限だった」と説明。「それでは発行上限としてあまりに小さいということで、1回100万円に変更することができた」と述べた。

ただし、短時間での連続発行はできないという。岡部氏は、今後は償還に関する改善も検討しているとしたうえで、「法定通貨とのやり取りが円滑に進むようになると、トレーダムさんとしても非常にやりやすくなる」と語った。
岡部氏は、トレーダム側が今後、電子決済手段等取引業など必要な登録を進めることで、発行体との取引のあり方も変わり得るとの見方を示した。そのうえで、今回の「1回100万円」への変更について、登録取得までの過程では意味があるとの認識を示した。
発表会では、AIエージェント時代におけるステーブルコインの役割にも話が及んだ。岡部氏は、AIエージェントが銀行口座を持たない存在であることに触れ、「AIはほぼ全てアンバンクなわけですから、ステーブルコインが使われるというのは決まってきていると思う」と語った。

また、円建てステーブルコインをめぐっては、SBIホールディングスの北尾吉孝氏が5月1日の決算説明会で、同社が進める信託型円建てステーブルコイン「JPYSC」に言及。JPYCについて「チャレンジしたことは立派だと思う」と述べつつ、「我々が動き出したら潰れてしまうのではないか」と考え、買収を持ちかけたが、価格が折り合わず断念したと明かしていた。
これについて岡部氏は、北尾氏の発言を「北尾さん流のエール、あるいは叱咤激励だと受け止めている」と説明。日本円建てステーブルコインについて「1社のみでやっているというよりは、信託型の第1号、3メガバンクさんが先かSBIさんが先かはわかりませんが、ぜひしっかりやっていただきたい」と述べたうえで、「無事故・無違反で、しっかり業界全体を盛り上げていきたい」と語った。
|文・撮影:平木 昌宏



