DeFi流動性ショックの連鎖──rsETH問題が示す「信頼の揺らぎと再構築」【エックスウィンリサーチ】

● Kelp DAOの問題をきっかけに、AAVEの資金は約7.2兆円→約4.8兆円へ急減
● USDT/USDCの借入金利は約3.4%→14%へ急騰し、流動性不足が顕在化
● USDeの供給も3日で約14%減少し、DeFi全体で資金流出が進行

今回のDeFi市場の混乱は、単なるハッキング事件ではなく、「市場からお金が一気に引き上げられる」典型的な流動性ショックとして捉えるべき局面である。4月22日のCrypto QuantのWeekly Reportによると、4月19日にKelp DAOで発生した問題が引き金となり、DeFi全体に大きな影響が広がった。

まず今回の鍵となる「rsETH」とは、ETHを預けることで発行されるステーキング系のトークンであり、本来はETHに裏付けられている資産である。つまりrsETHは「預けたETHの代わりに受け取る証明書」のようなものだ。

しかし今回、ハッカーはこの仕組みの不備を突き、実際にはETHを預けていないにもかかわらずrsETHを新たに発行することに成功した。そしてそのrsETHをAAVEに預け入れ、そこから本物のETHやステーブルコインを借り出すという手法を使った。

これは「価値のない担保で資金を引き出す」状態であり、その結果としてAAVEには最大で約2.3億ドル規模の不良債権リスクが発生した。

この出来事を受けて、多くのユーザーがリスクを感じ、預けていた資金を一斉に引き出し始めた。その結果、AAVEの総預かり資産(TVL)は約7.2兆円から約4.8兆円へと急減。わずか3日で約33%の資金が流出する異例の事態となった。

このとき市場で起きていたことをシンプルに言えば、「お金を貸す人が減り、借りる人が増えた」という状態だ。資金を引き出す人が増える一方で、ポジションを解消したい人はステーブルコインを借りようとする。その結果、借入金利は急激に上昇した。

実際に、USDTやUSDCの借入金利は通常約3.4%だったものが、一時14%まで上昇。ETHも2%から8%まで上昇し、その後も約5%と高止まりしている。

これは「市場に使える資金が足りなくなっている」ことを示しており、DeFiにおける典型的な流動性危機のサインである。

さらに重要なのが、ステーブルコインUSDeの動きである。USDeは市場環境に応じて収益が変わる仕組みを持っているが、現在は弱気な市場環境の影響でその収益が出にくい状況にある。

そのため、「持ち続けるメリットが薄い」と判断したユーザーが増え、売却や引き出しが進行した。結果として、USDeの供給量はわずか3日で約14%減少しており、これはDeFi市場全体から資金が抜けていることを示す重要なサインである。

また、rsETHの約83%がAAVEに集中していた点も、今回の問題を大きくした要因だ。

特定の資産やプロトコルに資金が集中していると、問題が起きたときに影響が一気に広がる。これはDeFiの構造的なリスクの一つである。

今回の出来事から見えてくるのは、「価格がどう動くか」以上に、「市場に資金が残っているかどうか」が重要だという点である。資金が十分にあれば市場は安定するが、資金が減ると小さな問題でも大きな混乱につながる。

結論として、今回の出来事はDeFiに対する信頼そのものが試されている局面である。では、この信頼はどのように回復していくのか。

重要なのは3つある。
① プロトコルの安全性強化(設計の見直し・監査の徹底)
② 担保の透明性と分散(特定資産への集中リスクの低減)
③ 流動性の安定確保(急激な資金流出でも機能する仕組み)

今回のように「裏付けのない資産が入り込む」構造がある限り、市場は同じ不安を繰り返す。一方で、こうした問題が可視化され、改善が進むこと自体はDeFiの成熟プロセスともいえる。

本質的に、DeFiの強みは“透明性”にある。誰でも状況を確認でき、問題もすぐに表面化する。この透明性を活かし、「どれだけ早く問題を修正し、信頼を再構築できるか」が今後の分岐点となる。

信頼の回復とは、価格の回復ではなく、「安心して資金を預けられる状態」が戻ることを意味する。そのとき初めて資金は自然と市場に戻り、持続的な成長へとつながっていく。

ショート動画

①ハッキング事故:AAVEというDeFiで何が起きた?お金が一気に消えた【XWIN Capital / ビットコインリサーチ】
https://youtube.com/shorts/CoBdyraqon0

②ハッキング事故:AAVEで金利14%に…何が起きた?【XWIN Capital / ビットコインリサーチ】
https://youtube.com/shorts/Aa471I0xrng

オンチェーン指標の見方

AAVE V3:USDT・USDCの借入イベント額(ドル)と借入金利(%):AAVE上のUSDT・USDC借入金利は通常約3〜4%で安定していたが、ハッキング後に急騰し最大14%まで上昇。同時に借入量も急増しており、「資金を借りて逃げる」動きが集中したことを示している。これは預金流出と借入需要の増加が同時に起きた、典型的な流動性危機の構図。結果として、市場の資金不足が顕在化し、DeFi全体にストレスが波及したことが読み取れる。

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