●ビットコイン(BTC)は11月6日に一時7万5000ドル(約1205万円、1ドル=159円)を割り込んだが、同日の終値は7万5800ドル前後だった。
●ETFから19億ドルが流出したにもかかわらず、BTCは7万5000ドルを上回る水準を維持した。予測市場では、11月中に8万ドルへ到達する確率が56%となっている。
●米国の10月の雇用者数は16万5000人増と、予想の6万5000人増を上回った。雇用の堅調さと賃金の伸びが、家計の消費や個人投資家のリスク選好を支える可能性がある。
米現物BTC ETFから19億ドル(約3021億円)の純流出、BTCは一時7万5000ドル(約1193万円)割れ
暗号資産(仮想通貨)であるBTCは11月6日(金)、7万5800ドル前後で取引され、週間では約2%下落した。選挙後の回復から一転して下落に転じ、引き続き売り圧力にさらされていた。
売り圧力が強まるきっかけとなったのは、10月下旬に発生したBinance(バイナンス)のセキュリティ侵害だった。報道によると、北朝鮮のハッカーが関与し、63億ドル相当の資産が危険にさらされたという。
その後、バイナンスは報告された損失を補填し、数日以内に出金を再開した。市場が一連の動きを織り込むにつれ、BTCは8万1100ドル付近まで回復した。
しかし、米国のハイテク株が再び軟調となり、暗号資産市場の投資家心理を圧迫した。投資家は、民主党議員が掲げるAI規制方針が及ぼし得る影響を改めて見極めようとしていた。

S&P500指数は11月5日、1日としては2025年4月以来の大幅な下落を記録した。特にハイテク企業やAIインフラ関連企業に売りが集中した。カリフォルニア州に拠点を置くフィンテックプラットフォームのMoomoo(ムームー)によると、上位50のAI関連銘柄は11月5日の1日だけで、合計20億ドル超の時価総額を失った。
BTCにも、米国の現物上場投資信託(ETF)を通じた機関投資家の売りが再び広がった。これらのETFは金曜日、約4億1190万ドルの純流出を記録した。
これにより、10月30日以降の6営業日で累計流出額は約19億3000万ドルに達した。11月4日の資金流入も7460万ドルにとどまった。
こうした圧力にもかかわらず、BTCは7万5000ドルを上回る水準を維持した。Wintermute(ウィンターミュート)をはじめとする市場参加者から弱気の予測が出るなか、この底堅さは際立っている。
CoinDesk(コインデスク)が金曜日に報じたところによると、ウィンターミュートのOTCトレーダー、Jasper De Maere(ヤスパー・デ・マーレ)氏は、下落した場合の目安として7万3000ドルと6万8000ドルを挙げた。ただし、過去1か月の雇用統計と米国債利回りの動向を詳しく見ると、逆風が強まるなかでもBTCが底堅さを保っている理由が見えてくるかもしれない。
米10年債利回りは5週連続で低下、10月雇用統計は個人投資家のリスク選好改善を示唆
米国の10月の雇用者数は16万5000人増加し、市場予想を大きく上回った。Reuters(ロイター)が調査したエコノミストは、6万5000人の増加を見込んでいた。
失業率も9月の4.2%から4.1%に低下した。米労働省労働統計局(BLS)によると、9月の雇用者数の伸びは、当初発表の2万9000人増から6万人増へ上方修正された。
過去分の改定では、8月と9月の雇用者数も合計8万4000人上積みされた。これらの数字は、労働市場が従来の推計よりも堅調であることを示している。
10月の平均時給は前月比0.4%上昇した。前年同月比の賃金上昇率は3.1%となり、所得の伸びが続いていることを裏づけた。

雇用の堅調さは、家計の先行きに対する安心感を高め、生活必需品以外への支出を支える可能性がある。一般に、雇用の安定と賃金の上昇は、日々の支出を賄いながら投資に回せる資金を確保する余裕につながる。
個人投資家の市場参加は可処分所得に左右されることが多いため、この点は金融市場にとって重要だ。雇用の先行きが安定している家計ほど、株式などのリスク資産に資金を振り向ける余力が生まれやすい。
堅調な雇用統計を受け、当初は米国債利回りと米ドルが上昇した。インフレ動向が引き続き重要な判断材料となるなか、市場では12月の利上げ観測が強まった。
それでも、米10年債利回りは週間で1.5%低下し、4.85%付近で週の取引を終えた。週次での低下は5週連続となった。

米国債利回りの低下は、借り入れコストの上昇圧力を和らげ、リスク資産の相対的な魅力を高める。
予想を上回る雇用統計と国債利回りの低下が重なることで、BTCを支えるマクロ経済環境が生まれる可能性がある。10億ドル規模の清算や不安定な地政学情勢という逆風にさらされながらも、「デジタルゴールド」と呼ばれるBTCが一時7万5000ドルを割り込んだ後に同水準を回復した背景には、こうした要因があるのかもしれない。
BTC価格予測──予測市場では8万ドルが依然として11月の現実的な上値目標に
予測市場では、トレーダーが価格回復に一定の可能性を見込む一方、さらなる下落にも積極的に備えている。BTCの11月の価格動向を対象とするPolymarket(ポリマーケット)の契約では、8万ドルに到達する確率は直近で2ポイント低下したものの、中央欧州時間(CET)11月7日午後10時時点で56%となっていた。
BTCが8万2500ドルに到達する確率は35%だった。こちらは3ポイント低下し、取引高は約9万9855ドルとなった。
一方、7万7500ドルに到達する確率は82%とされ、この契約の取引高は約3万2638ドルに達した。

下落方向では、月内にBTCが7万5000ドルを割り込む確率が90%、7万2500ドルに到達する確率が61%と織り込まれている。
これらの契約からは、トレーダーが現在の価格帯を中心に、引き続き値動きの激しい展開を想定していることがうかがえる。8万ドルは、相場回復に向けた重要な目標水準となっている。一方、下落リスクに備えるトレーダーが重視しているのは、7万2500ドルと7万ドルだ。両水準を対象とする契約の取引高は、それぞれ20万7434ドル、15万6758ドルに達しており、現在の価格帯に近いほかの契約を大きく上回っている。
予測市場が示す確率は、将来の価格を保証するものではない。特定の結果に対してトレーダーがいくら支払う意思を持つかを反映したものであり、新たな情報が出れば急速に変化する可能性がある。
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