ブロックチェーン関連の9組織の経営者らは10月16日、量子コンピューターの脅威に備える新団体「Quantum Alliance(クアンタム・アライアンス)」を設立した。同団体の発表によると、量子攻撃への耐性を判断する共通基準を策定する。
参加組織には、ブロックチェーンを開発するQuantus(クアンタス)、暗号資産の管理に使う専用端末を手がけるKeystone(キーストーン)、セキュリティ監査のHacken(ハッケン)などがある。ネットワークから資産の保管まで、幅広い分野の関係者が協力し、安全な暗号方式への移行に必要な基準や検証方法を整える。
暗号資産(仮想通貨)の送金には、持ち主が取引を承認したことを証明する「電子署名」が使われる。現在、多くのブロックチェーンで使われているこの署名方式は、将来、量子コンピューターによって破られる恐れがある。
署名には、本人だけが管理する「秘密鍵」を使い、その署名が正しいかを「公開鍵」で確かめる。同団体は、十分な能力を持つ量子コンピューターが実現すれば、公開鍵から秘密鍵を割り出し、資産を不正に動かせる恐れがあると説明している。
同団体によると、現時点でこうした攻撃を実行できる量子コンピューターは存在しないという。それでも備えが必要なのは、電子署名の仕組みを変えるには、ネットワークのルール変更やウォレットなどの対応に時間がかかるためだ。
Coinbase(コインベース)も10月13日、ビットコイン(BTC)の耐量子化には数年かかる可能性があるとして、早期の準備を促した。
一方、業界では「量子攻撃への備えができている」と判断する共通の物差しが定まっていない。開発計画を評価するのか、稼働中の仕組みだけを評価するのかによって、同じネットワークでも判定が異なる。新団体は、対応済みとする範囲や、その主張を裏付ける証拠を明確にする方針だ。
活動は、ブロックチェーンの移行、情報の中身を明かさず正しさを証明する「ゼロ知識証明」、ウォレットの安全性、ネットワーク間の互換性の4分野で始める。公開済みの鍵や休眠口座の扱い、新しい署名方式による取引データの増大なども検討する。
成果物は公開し、各プロジェクトが利用できるようにする。個人の開発者や研究者も参加でき、提案は公開された証拠や動作する実装を基に議論する。企業の規模やトークン保有量に左右されない形で、共通基準づくりを進めるとしている。
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|文:平木 昌宏
|画像:Adobe Stock


