米カリフォルニア州とオクラホマ州の先住民4部族が10月7日、予測市場Kalshi(カルシ)と提携し、独自の予測市場アプリを立ち上げた。生活基盤の整備や公共サービスを支える新たな収入源を確保する狙いだ。CNNが同日報じた。
一方、数百の部族は、予測市場が地域のカジノ収入や賭博事業に関する権利を脅かすとして反対している。
予測市場は、スポーツの勝敗など、将来の出来事の結果に応じて支払いが決まる契約を売買する仕組みだ。カルシなどは、こうした「イベント契約」を金融商品として提供している。米商品先物取引委員会(CFTC)の監督下で運営する一方、州や部族の賭博規制が適用されるかをめぐり、訴訟が相次いでいる。
部族が反発する背景には、カジノが地域の暮らしを支えてきた歴史がある。1970年代に連邦政府の資金援助が減ると、一部の部族はビンゴで財源を確保し始めた。その後、最高裁判決を経て事業が拡大し、1988年には部族の土地で賭博事業を運営するための連邦法が制定された。
CNNによると、2025年の部族の賭博事業収入は462億ドル(約7兆2996億円、1ドル=158円換算)を超えた。ただし、施設全体の約9%が収入の約56%を占めており、恩恵は均等に広がっていない。
今回提携した北カリフォルニアの小規模な部族は、飲料水の確保にも課題を抱えている。部族の担当者は、予測市場アプリから得る収入を水道整備に充てたいと説明した。他部族が反対する権利は認めつつ、自分たちの経済的な将来を決める権限は、自分たちにあるとの立場だ。
対照的に、カジノ収入を主要な財源とする部族は、その収入が減れば医療や教育にも影響すると懸念している。ワシントン州のある部族では、6700万ドル(約106億円)の水道管整備と、1900万ドル(約30億円)の幼児教育施設建設を、全額カジノ収入で賄った。

部族側が特に問題視するのは、予測市場の取引高の80%超を占めるスポーツ関連の契約だ。州との合意や部族の規制に従うカジノに対し、予測市場は連邦政府の監督を根拠に同じ地域でサービスを提供している、と批判する。
提携を支持する側は、オンライン取引ではカジノで遊ぶ体験を代替できず、両者は共存できると主張するが、裁判所の判断も分かれている。CNNによると、カリフォルニア州の2部族は9月、スポーツ予測市場が部族の賭博事業に関する権利を侵害するとして、連邦控訴裁判所で勝訴した。
一方、ウィスコンシン州の連邦裁判所は5月、顧客を奪われている証拠が乏しいとして、カルシの停止要求を認めなかった。
反対する部族の指導者らは9月、CFTCとの会合でスポーツ予測市場の禁止を求めた。部族側からは実質的な成果がなかったとの声が出たが、CFTCは会合後、部族との連携を担当する職員を割り当て、対話を続けるとしている。
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|文:平木 昌宏
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