●低調な米雇用統計を受けて連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を据え置くとの観測が強まったものの、ビットコイン(BTC)は8万5000ドルを下回ったままだった。
●米国のビットコイン現物ETFには、9月17日から30日までに約29億ドルが流入し、10月最初の2日間にもさらに1億3440万ドルが流入した。
●1 BTC以上を保有するウォレットは、9月16日から10月1日までに1万4000件減少した。BTCの上昇局面で、こうした保有者が売却に動いていた可能性が浮上している。
利上げ見送り観測を強める雇用統計でも、BTCは8万6000ドルを突破できず
10月3日、予想を大幅に下回る米雇用統計を受けて市場がFRBの政策見通しを見直す中、BTCは8万5000ドルを下回ったままだった。
10月2日に発表された最新の非農業部門雇用者数(NFP)は、米国の労働市場が急速に減速していることを示した。
9月の非農業部門雇用者数は前月比2万9000人増にとどまり、市場予想の9万人増を大きく下回った。失業率も8月の4.1%から4.2%に上昇し、過去の雇用者数も下方修正された。

8月の雇用者数の増加幅は16万2000人から13万3000人に下方修正され、7月の数値は1万人の減少に修正された。
賃金の伸びも大幅に鈍化した。平均時給の伸び率は前月比0.1%と、予想の0.3%を下回り、前年同月比でも3.0%に減速した。
雇用の伸び悩み、失業率の上昇、賃金上昇率の鈍化が重なったことで、FRBが10月28日の会合で政策金利を据え置くとの見方が強まった。
10月3日時点では、Polymarket(ポリマーケット)の予測市場や、CME Group(シーエムイーグループ)のFedWatch(フェドウォッチ)が示す見通しで、10月の連邦公開市場委員会(FOMC)における金利据え置きの確率が85%まで高まった。

2026年10月1日に同年9月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)が発表される前には、2回目となる25ベーシスポイント(0.25ポイント)の利上げが行われる確率は、一時70%に達していた。発表されたPMIは、製造業の拡大が続く一方、原材料価格の上昇圧力が強まっていることを示した。
金融政策見通しがハト派方向に修正されたことは、リスク資産にとって追い風となった。しかし、BTCはその週、8万6000ドルを上回る水準を維持できなかった。金融引き締めへの警戒が和らぐだけでは、再び上値を突破するには不十分だったことがうかがえる。
BTCの上値を抑える、最大の保有者層からの売り圧力
米国のビットコイン現物ETFを通じて機関投資家の強い需要が確認されているだけに、価格上昇が続かない点は特に目を引く。
米国のビットコイン現物ETFは、9月17日から30日までに約29億ドルの純流入を記録した。
10月最初の2営業日にもさらに1億3440万ドルが流入し、新たな四半期に入っても機関投資家の需要は続いた。
それでも、BTCの値上がり率はイーサリアム(ETH)に後れを取り、その差は広がりつつある。9月の上昇率はBTCが6%だったのに対し、ETHは9%だった。
ETHは9月にBTCを上回る値上がりを見せ、第3四半期全体でも差を広げた。同四半期の上昇率は、ETHが72%、BTCが43%だった。
こうした中、オンチェーンデータでは、1 BTC以上を保有するアドレス数の減少が確認されている。

コイングラスのデータによると、1 BTC以上を保有するアドレス数は、9月16日の約98万5000件から10月1日には約97万1000件に減少した。
わずか2週間余りで、約1万4000件のアドレスが減ったことになる。
1 BTC以上を保有するアドレス数は、「ホールコイナー」と呼ばれる1 BTC以上の保有者の動向や、ビットコインの保有分布の変化を把握するための指標として使える。
価格が大きく上昇する局面でこの数が継続的に減っている場合、一部のホールコイナーが利益を確定したり、保有量を減らしたりしている可能性がある。
ただし、この指標だけで、1万4000人のビットコイン保有者が売却したと断定することはできない。
アドレス数の減少は、ウォレットの統合やアドレス間の送金、保有残高を複数のウォレットに分散する行為によっても起こりうる。
それでも、減少の規模とタイミングは注目に値する。ウォレット数が減ったのは、BTCが8月19日の水準から50%近く上昇し、8万7300ドルに迫っていた時期だった。
この動きは、ETFを通じた機関投資家の需要と、比較的小口のホールコイナーの動向との間に乖離が生じている可能性を示す。
ETFへの資金流入からは、規制の枠組みに沿った投資商品を通じてビットコインに資金が入り続けていることが分かる。一方、1 BTC以上を保有するウォレットの減少は、一部の既存保有者が利益を確定したり、保有構成を見直したりしている可能性を示唆している。
これが、最新の米雇用統計によって金融政策のハト派化を後押しする材料が出たにもかかわらず、BTCが10月2日に8万6000ドルを明確に突破し、その水準を維持できなかった一因かもしれない。
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