●6日間で28億ドルのETF資金流入があったにもかかわらず、ビットコイン(BTC)は7日移動平均線を下回り、9月25日には一時8万3160ドルまで下落した。
●米国債利回りの上昇とマイナーによる1億4000万ドル相当の売却が重しとなり、BTCは8万7345ドルを上回る上昇を続けられずにいる。
●Bitgetの不正流出を受け、BTCデリバティブ市場では売り圧力が強まった。同社は被害額を当初の約3億5160万ドルから約3億8750万ドルに上方修正している。
28億ドルのETF資金流入にもかかわらず、BTCの上昇は停滞
ビットコインETFへの資金流入が6日間で28億ドルに達したにもかかわらず、BTC価格は7日移動平均線を下回り、9月25日には8万3160ドルまで下落した。
オンチェーン指標では、マイナーや個人投資家による売り圧力が強まっている。また、米国債利回りの急上昇によって、リスク資産から資金が流出している可能性もある。

9月21日、ビットコインETFは1日あたりの資金流入額として過去12カ月で最大となる9億9900万ドルの流入を記録した。その後も買いが続き、9月24日には1億9000万ドルの純流入を記録した。
これにより、9月17日から始まった6日間連続の資金流入額は、合計28億ドルに達した。
機関投資家による記録的な需要が続く一方、BTCは9月21日に記録した直近の高値8万7345ドルを上回れていない。
上昇が止まっている背景には、米国債利回りの上昇、マイナーによる売却、デリバティブ市場における需要の弱まりなど、BTCの上値を抑える複数の要因がある。
米国債利回りの上昇で資金流出
マクロ経済の面では、米国債利回りの上昇が、今週のBTC相場に対する目立った下押し要因となっている。
今週は、予想を上回る経済指標や原油価格の変動に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)当局者によるタカ派的な発言を受け、米国債利回りが数年ぶりの高水準に上昇した。
週半ばの取引では、10年物米国債利回りが5.22%を超え、2007年以来の高い日中水準に達した。

30年物国債の利回りも5.5%を超え、22年ぶりの水準となった。
米国債がリスクのない資産として高い利回りを提供すると、株式や暗号資産などのリスク資産から資金が流出する可能性がある。これが今週のBTC上昇を抑える要因の一つになったとみられる。
ビットコインのマイナーが1億4000万ドル相当を売却
さらに、オンチェーン指標によると、過去1週間にマイナーもBTCの売り圧力を強めた。
CryptoQuantのマイナー準備金指標は、マイナーやマイニングプールに関連するウォレットが保有するBTCを追跡する。
最新データでは、マイナー準備金が9月17日終値時点の119万4457BTCから119万2817BTCへと、1640BTC減少した。

これは、マイナーが過去1週間で約1655BTCを売却したことを示している。執筆時点の7日平均価格である8万4150ドルを基にすると、売却額は約1億4000万ドルに相当する。
マイナーによる売り圧力が強まると、市場で売却されるBTCの供給量が増えるため、今回の上昇一服につながった可能性がある。
マイナーによる売却は、ETFへの資金流入に表れている機関投資家の強い需要が続くなかで起きている。
この乖離は、ETFによる購入だけでは、ほかの市場参加者による売りを完全に吸収できていないことを示している。
Bitgetハッキングを受け、BTCデリバティブ市場で売り注文が優勢に
暗号資産市場は、CoinMarketCapによる現物取引高で世界5位の取引所であるBitgetで発生した、約3億8750万ドル規模の不正流出にも反応した。
当初、オンチェーン分析を行う複数の追跡サービスは1億8300万ドル相当の不審な資金移動を検知した。Bitgetはその後、被害額を約3億5160万ドルと発表したが、初期集計に含まれていなかったZcashとTRON上の資産を加え、約3億8750万ドルに上方修正した。新たな不正送金が発生したわけではないという。
BitgetのCEOであるGracy Chen氏は9月25日、セキュリティに関する声明を公表した。声明によると、攻撃者は重要なウォレットのバックエンドシステムを侵害し、取引データを偽装したうえで、同社の自動システムに19件の大規模な送金を承認させた。
Bitgetによると、原因となった脆弱性は特定・修正済みで、出金再開に向けた安全性の確認を進めている。
同社は出金の状況と再開時期を9月26日4時(UTC)までに発表するとしていた。
大手暗号資産取引所の一つでサービス障害が発生するなか、BTCのテイカー買い・売り比率は今週、売り優勢を示す水準まで低下した。
テイカー買い・売り比率は、市場参加者の方向感を測る指標として利用できる。既存の買い注文に売りをぶつけて約定させる取引と、既存の売り注文を買い取る取引の比率を示す。
この指標は9月21日に1.09まで上昇した後、9月25日時点で0.95まで低下した。

比率が1を下回る場合、売り方の勢いが優勢であることを示す。既存の買い注文に売りをぶつける取引量が、既存の売り注文を買い取る取引量を上回っている状態だ。
これは、週を通じてBTCデリバティブ市場で日中の弱気センチメントが強まり、需要が弱まったことを示している。
一方、影響を受けた個人投資家にとっては、Bitgetがブラックスワン事象に備えた4億6400万ドル規模のユーザー保護基金を保有している点が救いとなる。
今回の損失額は同基金の規模を下回っているため、同社経営陣はユーザーの残高が全額保護され、安全であると保証している。
Bitgetは、約3億8750万ドルの被害がユーザー保護基金の対象範囲内にあり、ユーザー資産は保護されると説明している。これにより、市場全体のセンチメントへの影響がさらに深刻化する事態は避けられる可能性がある。
BTC価格予測:8万7000ドル付近が上値抵抗線に
ただし、米国債利回りの上昇やマイナーによる売却、デリバティブ市場の売り圧力を一部相殺する指標もあり、BTCの強気姿勢が完全に崩れたわけではない。
BTCは金曜日、需要が停滞するなかで7日移動平均線を下回ったものの、依然として市場は「強欲」局面にある。
Crypto Fear & Greed Indexは9月25日時点で71となり、前週の56から上昇した。同指数は市場センチメントを0から100の範囲で測定するもので、数値が高いほど強欲やリスク選好が強いことを示す。

71という数値は、BTCが最近下落したにもかかわらず、市場参加者が全体として楽観的な見方を維持していることを示している。
ただし、この指標だけで強気相場と判断することはできない。強いトレンドのなかでは強欲状態が長く続くことがある一方、相場の勢いが弱まった場合には、ポジションが崩れやすくなっている可能性も示すためだ。
大口投資家も依然として活発に動いている。
10万ドル以上のBTC取引を追跡する大口取引件数は、最近の価格下落にもかかわらず、大口保有者が市場に関与し続けていることを示している。
この指標は9月21日に1万726件まで増加した後、9月25日の24時間取引終了時点で7574件まで減少した。
ただし、最新の数値は、9月12日に記録した月間最低水準の4495件を大きく上回っている。
これは、BTCの大口取引が9月21日のピークからは落ち着いたものの、今月のそれ以前の水準と比べれば依然として活発であることを示している。
大口投資家の活動が高水準にあることと、Fear & Greed Indexが71を示していることは、マイナーによる売却やBTCデリバティブ市場で観測された需要の低下を一部相殺する材料となる。

BTC/USDの日足チャートにおけるブレイクアウト確率は、今後上昇または下落した場合の重要な水準を示している。
目先は、8万2700ドルのサポートと8万7409ドルのレジスタンスが焦点となる。
8万7400ドルを明確に上回れば、9月21日の高値から反落したことで生じた短期的な弱気見通しが崩れ、9万ドルが次の上値目標として意識される可能性がある。
一方、8万2700ドルを下回れば、8万ドルを割り込む深い調整に進む可能性が高まる。この場合、7万9500ドルを下回ると、現在の強気シナリオがさらに崩れ、9月の上昇が勢いを失っていることが示される。
現時点では、BTCは7日移動平均線である8万4100ドルを下回ったものの、下側のサポートゾーンを上回っている限り、強気のチャート構造を維持している。
ただし、米国債利回りの上昇、マイナーによる売却、デリバティブ市場における需要の弱まりが重しとなっているため、上昇が再び勢いを取り戻すには、強気派が上側のレジスタンスゾーンを奪回する必要がある。
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