「ビットコインを持ってないのはダサいと思った」のろいちゃんが語る、暗号資産と株、半々の理由

暗号資産は、金融商品取引法(金商法)下への移行が決まり、株式や金と同じルールのもとで扱われる「投資アセット」としての整備が進んでいる。

各領域の投資家に運用の実際と暗号資産への見方を聞く本連載、第2回はWeb3ゲーム領域のインフルエンサーとして知られ、現在はファンマーケティングを手がけるGAMIES株式会社を率いる起業家、のろいちゃんが登場。

資産の約半分を暗号資産が占めるというのろいちゃんに、その中身と線引きの基準を聞いた。

Web3インフルエンサーから、コミュニティマーケティングへ

のろいちゃんの活動は個人と法人の二本立てだ。個人ではWeb3ゲームやその周辺の投資に関心を持つフォロワーに向けて、近年はAIや株式の話題にも発信の幅を広げている。

名前が知られるきっかけになったのは、Web3ゲームの実況配信だった。

「『キャプテン翼 -RIVALS-』というゲームが、私をみんなに知ってもらうきっかけになったゲームなんです。それがあってみんなに注目してもらって、インフルエンサーとしての依頼や活動が入ってくるようになったのがきっかけですね」。

YouTubeでの配信から、イベントの司会など人前に出る仕事へと広がっていったという。

法人のGAMIES社は約2年前、GameFi(遊んで稼ぐブロックチェーンゲーム)のマーケティング会社として設立したが、市況の変化を受けて事業をピボットした。

「トークンのあるコミュニティって、自分のインセンティブに直結するから頑張るじゃないですか。逆に、価格が落ちた時の離れ具合がすごい。稼げていた時はみんなで盛り上がっていたのに、稼げなくなった途端にアンチになって、全員で価格を下げにいくような空気になってしまう」

のろいちゃんが今取り組んでいるのは、Web3で生まれたコミュニティの熱量を、トークンやお金の力に頼らない形で他の業界でも活かせないか、という試みだという。

「トークンを使わずに、お金の力に引っ張られずにコミュニティの熱量を上げるにはどうするか、というトライですね。『このAという商品がすごく好きだから、みんなで盛り上げよう』であれば、離れる理由がないので」。

現在は飲料メーカーやAIサービス、最新ガジェットなど、ファンを増やしたい企業のクライアントワークが中心だ。

半分が伝統資産、半分が暗号資産

ポートフォリオは「半分が伝統資産、半分が暗号資産」。その内訳はビットコイン(BTC)と、米ドル連動および円連動のステーブルコイン(法定通貨に連動したデジタル資産。法律上は暗号資産と区別される)が中心で、他の銘柄は保有していない。

「正直、他の銘柄は難しいんですよ。私が理解するには難しいですし、それこそすごい量があるじゃないですか。一つひとつ追っていくコストのほうが高い、と思ってしまうので」

ビットコインとの付き合いは5、6年前にさかのぼる。名古屋から上京した直後にコロナ禍で映像関係の仕事を失い、実家に戻って無職になった。

在宅でできる仕事を探すうちにFX(外国為替証拠金取引)にたどり着き、そこからビットコインに関心が移る。

ちょうど分散型取引所PancakeSwapが台頭したいわゆるDeFi(銀行を介さない分散型金融)ブームの時期で、そのまま暗号資産に本格的にのめり込んだ。

一時は海外取引所でレバレッジ取引(借入で取引額を増やす手法)を使い、デイトレードに打ち込んでいたという。ただし当時取引していたのはデイトレードのみで、現物を保有していたわけではない。

現物としてビットコインを買ったのは2、3年前。動機は投資判断というより心理的なものだったと振り返る。

「この業界にいるのにBTCを持っていないのはダサいな、と思って。大きく上がった時に『何のためにこの業界にいたんだろう』と思いたくないじゃないですか。FOMO(取り残される恐れ)ですよね。持っていないことが嫌だな、というので買いました。金融アセットとして買わなくちゃ、というよりも、持っておくことがステータスだろうと思って買っていたのかもしれないです」

伝統資産側の株式投資を再開したのは今年に入ってからだ。

大学生の頃に開いた口座を長く放置していたが、再開のきっかけは投資戦略の見直しではなかった。

「なぜか不動産が欲しくなったんですよね。『引っ越したいな』と漠然と思っていて、引っ越すなら買ったほうがいいかな、と考えていたら『あれ、私そもそも株をやっていないな』と。不動産投資から株式投資への連想ゲームです」。

昨年までポートフォリオは暗号資産一色だったといい、現在は国内株と米国株の両方を保有する。

配分を決める時の基準は、暗号資産か伝統資産かという区分ではない。

それぞれの中で「リスク資産かどうか」を分け、両方に同じ物差しを当てる。暗号資産の中では、ビットコインがリスク資産、ステーブルコインが安全寄りの資産にあたる。

「暗号資産が50%と言うと、他の人には『それはリスクだよ』と言われるかもしれない。同じ考え方を、暗号資産のポートフォリオと伝統金融のポートフォリオの両方で持っている感じですね」

伝統資産でも同じで、個別株をリスク資産、全世界株式インデックスなどを安全資産と区分する。現金比率は10%程度にとどめているという。

これからの「暗号資産」に願うこと

暗号資産の現在の相場については、上昇が一過性のものではないと見る。

「自分の判断がすごく正しいとは思わないので、基本的には周りの空気感を参考にしているのですが、その空気感が一過性ではないな、と感じる雰囲気はあります」。

一方で懸念は年間を通じて変わらないと語る。「今年はずっと『結局は戦争次第ではないか』と思っていて。そこがどちらに転ぶかは、大きな懸念になると思っています」

金商法下での整備について尋ねると、のろいちゃんの答えは迷いのないものだった。

「私は仮想通貨を稼げるか稼げないかで、これまでずっと見てきたので。金融資産として整備されていく点は、投資家としてすごくポジティブに捉えています」

最後に語られたのは、業界イメージそのものへの願いだった。

「私、家族とか地元の友人には、この業界にいることを言えていないんですよ。信頼がないんです、仮想通貨とか暗号資産という言葉自体、業界自体に。心配をかけたくないですし、そういうイメージをつけたくないので。金商法でルールが整備されることによって、金融資産として大々的に言えるようになるのであれば、すごく嬉しいなと思いますね。

イメージが回復して、普通に他の投資家からポートフォリオに入れられるくらい、『安全な資産』とまでは言わないけれど、クリアなものだと思ってもらえるのであれば、将来的にこの業界の成長が見込めるのかなと思っています」

資産の半分を暗号資産に置くという選択が、いつか特別なものでなくなる。金商法への移行は、その入り口にある。

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|文:栃山直樹
|画像:のろいちゃんXから