金融庁は7月15日、日本暗号資産等取引業協会との意見交換会で、暗号資産交換業者による「販売所」への顧客誘導について、利用者保護の観点から改めて懸念を示した。金融庁が公表した資料では、「取引所」より収益性が高いとされる「販売所」へ利用者を誘導している可能性を指摘している。
暗号資産の取引サービスには、交換業者が顧客の注文相手となる「販売所」と、利用者同士の注文をマッチングする「取引所」がある。一般に、販売所は取引画面が分かりやすく、注文を成立させやすい一方、取引所と比べて売買価格の差であるスプレッドが発生する。
金融庁は今回、2025年に公表された金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告書の内容を踏まえ、販売所と取引所のサービス提供について取り上げた。報告書では、両方のサービスを提供する事業者が、収益性の高い販売所での取引を促しているのではないかとの懸念が示されていた。
また、今回の資料で新たに明確になったのは、この論点を2024年11月に施行された金融サービス提供法の改正と結び付けた点である。同改正では、暗号資産交換業者を含む金融事業者に対し「顧客等の最善の利益を勘案しつつ、顧客
等に対して、誠実かつ公正に業務を遂行する義務」が導入された。
金融庁は、販売所と取引所のどちらを選択するかに関わる画面上の導線、いわゆるUIについて、顧客本位の対応とは何かを今後、業界と対話していく考えを示した。単にサービスを用意するだけでなく、利用者が両者の違いやコストを理解したうえで選択できる設計になっているかが焦点となる。
さらに金融庁は、金商法に基づく自主規制規則について、手数料やサービスの違いなどを分かりやすく説明すること、利用者の知識や資産状況に合った取引を促すことを求めた。
暗号資産をめぐっては、2016年以降、交換業者の登録制や利用者資産の分別管理などが整備されてきた。2025年には、投資対象としての性格が強まったことを踏まえ、金商法を軸とする制度見直しの議論も進んでいる。
|文:NADA NEWS編集部
|画像:Shutterstock
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