欧州中央銀行(ECB)のPiero Cipollone(ピエロ・チポローネ)専務理事は、導入が検討されている中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタルユーロ」について、「現在の技術で実現可能な最大水準のプライバシーを保証する」と述べ、利用者への監視を懸念する声に反論した。
チポローネ氏は8月10日に行われたインタビューで、ユーロシステムはオンライン・オフラインを問わず、デジタルユーロの取引と特定の個人を直接結び付けることはできないと説明した。現在の銀行振込と比べても、より高い水準のプライバシー保護が実現できるとの考えを示している。
特にオフライン決済では、支払人と受取人の間で直接取引が行われ、取引内容を把握できるのは当事者のみとなる。ECBはこれを現金に近いプライバシー水準としている。
一方、オンライン決済では、マネーロンダリング対策(AML)などの目的で取引に関与する銀行は利用者を識別できるものの、ユーロシステム自体は特定の個人と取引を直接結び付けられないとしている。
一方、プライバシー保護の実効性を疑問視する声もある。オーストリアのデジタル権利団体Epicenter.worksなど複数の市民団体は6月、デジタルユーロのプライバシー保護について、制度上の約束だけでなく、技術的な仕組みによる保証や独立した検証が必要だと訴えた。
また、チポローネ氏はデジタルユーロが現金に取って代わるとの見方も否定した。ECBが7月に新たなユーロ紙幣デザインに関する公開アンケートを開始したことを挙げ、現金を廃止する計画があるならこうした取り組みを進める意味はないと述べた。
欧州議会は7月、デジタルユーロ創設に関する法案についてEU理事会との交渉開始を承認した。法制化はまだ完了しておらず、ECBは準備が順調に進んだ場合、2029年にデジタルユーロを導入する可能性を想定している。
|文・編集:Shoko Galaviz
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