ビットコイン6万8,000ドルへ──トランプ氏の「米政府BTC保有」発言、現物需要にも改善の兆候【エックスウィン】

●8月18日の筆者の記事では、取引所準備金の増加とBinanceへのクジラ流入が強まる一方、Spot Taker CVDがNeutralにとどまり、「市場に戻り始めたBTCを誰が買うのか」が次の焦点だと指摘した。
●CryptoQuantの最新レポートでは、30日間の現物Apparent Demandが7月23日の約マイナス20.6万BTCから約マイナス5,000BTCまで急回復。2026年2月以来となるプラス転換が目前に迫っている。
●過去の独立事例では、現物需要がマイナスからプラスへ転じた後のBTCは60日後のリターン中央値がプラス18.1%、上昇率78%。現在のような低バリュエーション環境では、中央値プラス23.3%、上昇率87%だった。ただし、現時点ではまだシグナルは完成していない。

今朝がた、ビットコインは大きく上昇し、6万8,000ドル台まで値を伸ばした。市場の注目を集めたのが、トランプ米大統領によるビットコインを巡る一連の発言だ。

トランプ氏は、米国政府が大量のビットコインを蓄積する可能性について「議論されている」と発言。さらに、ビットコインについてドルへの圧力を軽減し、むしろドルにとってプラスになっているとの認識を示した。

加えて、議会に対して暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」の可決を求めるなど、米国の暗号資産政策を前進させる姿勢を改めて鮮明にした。

こうした政策面での期待が強まるなか、ビットコインは6万8,000ドル台まで上昇した。

しかし、今回の上昇を「トランプ発言だけ」で説明するのは十分ではない。

ビットコイン市場の内部でも、これまで弱さが目立っていた「現物の買い手」に改善の兆候が見え始めているからだ。

8月18日の筆者の記事では、ビットコイン市場に起きている「供給側」の変化について取り上げた。

全取引所のExchange Reserve(取引所準備金)が2026年5月頃を底に約267万BTCから約273万BTCへ増加。さらにBinanceでは、BTC流入に占める大口投資家の割合を示すWhale Inflow Ratioが一時0.60付近まで上昇していた。

一方、現物市場のSpot Taker CVDはNeutralが続いていた。

そこで前回の記事では、現在の市場を見るうえで重要なのは「クジラが売るのか」だけではなく、

「市場に戻り始めたBTCを、誰が買うのか」

という点だと指摘した。

関連記事:「ビットコインに『供給増加』の兆候──クジラのBinance流入急増と弱い現物需要が示すもの【エックスウィン】」


現物需要がマイナス20.6万BTCからほぼゼロへ
そして、その「買い手」に早くも変化の兆候が出始めている。

CryptoQuantが最新のWeekly Report「Waiting on the Turn」によると、ビットコインの30日間のApparent Demand(見かけの需要)は、7月23日の約マイナス20.6万BTCから、足元では約マイナス5,000BTCまで急速に回復した。

Apparent Demandは、新規供給と長期間動いていなかったBTCの供給変化などから、市場全体が純蓄積方向にあるのか、純分配方向にあるのかを捉える指標だ。
チャートを見ると、2026年春以降続いてきた赤色のマイナス需要が急速に縮小し、ゼロラインへ接近している。

Line chart of Bitcoin: apparent demand (30-day sum) vs price from 2024 to 2026, with green positive demand areas, red negative demand areas, blue/purple demand line and a black price line; includes a 30-day SMA overlay and vertical axes for price and time.

ここからプラスへ転じれば、2026年2月26日以来初めて、30日現物需要が「純分配」から「純蓄積」へ切り替わることになる。

これは、前回の記事で問題提起した「買い手が戻るのか」という問いに対して、一つの答えが見え始めたとも考えられる。

ただし、Spot Taker CVDとは違う

ここで注意したいのは、前回取り上げたSpot Taker CVDと、今回のApparent Demandは同じ指標ではないということだ。

Spot Taker CVDは、現物市場で成行買いと成行売りのどちらが優勢なのかを見る指標である。

前回の記事では、この指標がNeutralであり、取引所に戻ってくるBTCを積極的に吸収するほどの「強い買い」はまだ確認できていなかった。

一方、Apparent Demandは、より広い視点からBTCの純蓄積・純分配の変化を捉えている。

したがって、

「積極的な現物買いはまだ明確ではないが、市場全体の現物需要は改善している」

という状態は十分に起こり得る。

むしろ現在は、現物市場が本格的な買い優勢へ転じる一歩手前にいる可能性がある。

先物ではなく「現物」が重要

CryptoQuantの今回の分析で特に興味深いのは、現物需要と先物需要を分けて検証している点だ。

30日間の現物需要がマイナスからプラスへ転換した独立事例では、ビットコインの60日後のリターン中央値はプラス18.1%、上昇率は78%だった。

BTC performance after SPOT vs FUTURES signals: left panel shows median returns by horizon (+7d, +14d, +30d, +60d) for spot (green) and futures (red); right panel shows average BTC price path after each signal over days.

平均的な価格推移では、60日後に約23.4%上昇している。

一方、永久先物の需要が同じようにマイナスからプラスへ転じた場合、60日後のリターン中央値はプラス3.6%、上昇率は53%にとどまった。

さらに、現物と先物を合わせた「Total Demand」では60日後のリターン中央値がマイナス0.8%となっている。

つまり、単純に「市場へ資金が入っているか」だけを見るのでは不十分だ。

重要なのは、その需要がレバレッジを使った先物なのか、それとも実際にBTCを蓄積する現物需要なのかという違いである。

過去のデータでは、持続的な価格上昇につながってきたのは明らかに後者だった。

現在は過去の「強いパターン」に近い

さらに現在の市場環境は、過去の中でも現物需要の反転が強く機能した条件に近い。

CryptoQuantは、MVRVが365日移動平均を上回っている局面をBull Regime、下回っている局面をBear Regimeとして分析している。現在のMVRVは365日移動平均を下回っている。

Two-panel infographic: left shows a bar chart of median forward BTC return by regime (bull in green, bear in red) at +7d, +14d, +30d and +60d; right shows a line chart of average BTC price path by regime over 60 days after signal (green = bull, red = bear).

このBear Regimeで現物需要がマイナスからプラスへ転換した過去の独立事例では、60日後のリターン中央値がプラス23.3%、上昇率は87%だった。

Bull Regimeの場合は中央値プラス10.5%、上昇率67%だったため、価格評価が低い段階で現物の蓄積が戻る方が、過去には強い価格上昇につながっていたことになる。

「買い手が戻った」と判断するのはまだ早い

ただし、現時点で「ビットコインの買い手が完全に戻った」と判断するのは早い。

30日Apparent Demandは約マイナス5,000BTCまで改善しているものの、まだゼロを明確に上回っていない。

CryptoQuantも、今回示した結果は限られた過去の独立事例に基づく歴史的な関係であり、将来の価格上昇を保証するものではないと説明している。

まず必要なのは、現物Apparent Demandが実際にゼロを超えることだ。

そして前回の記事と組み合わせるなら、もう一つ確認したいのがSpot Taker CVDである。

Apparent Demandがプラスへ転換し、さらにSpot Taker CVDもNeutralからBuy Dominantへ動けば、「市場全体の蓄積回復」と「現物市場での積極的な買い」が同時に確認できる。

そこまで進めば、市場構造の変化はより明確になる。

供給増加から「需要との綱引き」へ

わずか数日前まで、市場の焦点は取引所へ戻ってくるBTCだった。

Exchange Reserveが増え、Binanceへのクジラ流入が強まる一方、その供給を吸収する現物買いが見えない。

しかし最新データでは、その構図に変化が起き始めている。

供給側の圧力がなくなったわけではない。

むしろ現在のビットコイン市場は、

「取引所へ戻ってくるBTC」

「回復し始めた現物需要」

の綱引きに入ったと見る方が適切だろう。

前回の記事で問いかけた、

「市場に戻り始めたBTCを、誰が買うのか」。

その答えはまだ確定していない。

しかし、現物需要が約マイナス20.6万BTCからほぼゼロまで戻ったことは、少なくとも「買い手不在」の状態から市場が変わり始めている可能性を示している。

次に見るべきポイントは明確だ。

30日現物Apparent Demandがゼロを超えるのか。

そしてSpot Taker CVDがBuy Dominantへ戻るのか。

この2つがそろえば、今回の反発が単なる先物主導の値動きではなく、現物の「本物の買い」に支えられた市場転換へ発展している可能性が高まる。

ショート動画

ビットコイン6万8,000ドルへ──トランプ発言だけではない「改善の兆候」
https://youtube.com/shorts/nNHoWbHGTTs?feature=share

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