・米国のインフレ鈍化と株式市場の最高値更新を背景に、トークン化されたRWA(現実資産)への需要が高まり、BNBとソラナ(SOL)が時価総額上位10の暗号資産(仮想通貨)の上昇を主導した。
・トークン化株式のDistributed Value(流通価値)は25億ドルを突破。BNB Chain(BNBチェーン)は33.6%の市場シェアを占め、この分野で首位を維持した。
・テクニカル指標はBNBの中期的な上昇トレンドが維持されていることを示しており、価格が620ドル付近のレジスタンスに近づく中、上昇モメンタムも維持されている。
米マクロ環境がトークン化株式の普及を後押し、BNBとSOLが暗号資産市場の上昇を主導
米国株は8月13日(木)、7月の米生産者物価指数(PPI)が前月比横ばいとなり、市場予想の0.2%上昇を下回ったことを受け、上昇した。これにより、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げサイクルを再開する可能性は低いとの市場の見方が強まった。
S&P 500は8月13日、0.65%高の7,798.99で史上最高値を更新した。一時は7,816.70まで上昇した。米国株は、前週に発表された予想を大きく下回る米非農業部門雇用者数(NFP)や、今週発表され市場予想に沿った米消費者物価指数(CPI)などを受けて上昇基調を維持しており、金融政策をめぐる市場予想もよりハト派的な方向へ傾いている。
こうしたマクロ環境の改善はデジタル資産市場にも波及した。ただし、上昇はビットコイン(BTC)など従来の主要暗号資産よりも、トークン化されたRWAとの関わりが深いブロックチェーン・エコシステムに集中した。

コインマーケットキャップのデータによると、8月14日(金)、BNBは610ドル前後で取引され、週間で3%上昇した。一方、SOLは5%上昇し、時価総額上位10の暗号資産の中で最も高い上昇率を記録した。これに対し、同じ期間にBTCとイーサリアム(ETH)はいずれも下落した。

BNBやSOLへの資金シフトは、8月に入って急速に拡大したトークン化株式市場の成長と重なった。トークン・ターミナルのデータによると、BNBチェーンはトークン化株式市場の33.6%を占め、引き続き最大のシェアを持つブロックチェーンとなっている。イーサリアムは27.8%、ソラナは22.1%で続いた。
RWA.xyzによると、トークン化株式のDistributed Value(流通価値)は25億ドル超となった。マクロ経済環境の改善を受けて投資家が米国株へ回帰する中、約2週間で3億ドル以上増加したことになる。
トークン化株式の月間送金額は223.2億ドルとなり、30日前比162.6%増加した。月間アクティブアドレス数は16.1%増の49万3440件となり、総保有者数は117.9%増の118万人に達した。

過去1カ月でオンチェーン株式の送金額が最も高かったのは8月1日から7日にかけてで、1日あたり20億〜30億ドルの取引が行われた。同時期には、大手テクノロジー企業の好調な決算を背景にS&P 500も上昇していた。

トレーディングビューの相関データによると、BNBとS&P 500の30日相関係数は、8月初旬の0.29から0.85まで上昇した。一方、BTCの相関係数は0.11付近と低水準にとどまり、ETHはマイナス0.18とわずかに負の相関となった。
こうしたデータは、トークン化株式の普及拡大がBNBやSOLの追い風になった可能性を示している。
グレースケールのポートフォリオ再編と重要なネットワーク更新もBNBを後押し
BNBが市場をリードするパフォーマンスを示した背景には、8月を通じて投資家心理を改善させた複数の機関投資家関連の動きやエコシステムの進展もある。
Grayscale Investments(グレースケール・インベストメンツ)は8月5日に発表した2026年第2四半期のポートフォリオ再編で、BNBをGrayscale Smart Contract Fund(グレースケール・スマート・コントラクト・ファンド)に初めて組み入れた。
この変更により、BNBの組み入れ比率は30.6%となり、ETHの29.47%、SOLの29.15%をわずかに上回り、組み入れ時点で同ファンド最大の保有資産となった。
8月13日の取引終了時点で、同ファンドの運用資産総額(AUM)は153万ドルで、BNBの構成比は31.07%まで上昇している。

世界有数のデジタル資産運用会社であるグレースケールによるBNBの新規組み入れは、機関投資家向け商品におけるBNBの存在感を示す動きとなった。発表後、BNBは585ドルを上抜け、それまで数週間にわたりレジスタンスとなっていた水準を上回って安定したサポートを形成した。
技術面では、BNB ChainがBSCのテストネットでBEP-675を検証し、処理性能が毎秒1,237件から2,324件へ88%向上したと8月7日に発表した。
この機能強化は、トークン化資産や分散型金融(DeFi)アプリケーションの需要拡大を支えるネットワークのスケーラビリティ向上を目指すBNBチェーン・エコシステムにとって、新たな節目となる。
投資家の期待は8月11日、Binance(バイナンス)が公式Xに「Continue to X」とだけ記した謎めいたティザーを投稿したことで、さらに高まった。
バイナンスは追加の詳細を明らかにしなかったものの、Xとの統合をめぐる思惑が広がるなか、BNBは2.9%上昇した。これは8月に入ってから最大の1日上昇率となった。
BNB価格予測:押し目買いが続く中、テクニカル指標は620ドル再試行を示唆
直近の上昇後、BNBは610ドル付近で値固めしているものの、テクニカル指標は全体的な上昇トレンドが依然として維持されていることを示している。
ドンチャン・チャネル(Donchian Channel)は引き続き上向きで推移しており、取引レンジが着実に切り上がっている。現在、上限は619.77ドル付近、中間線は590.80ドル、下限は561.83ドルまで上昇している。チャネル全体のサポート水準が切り上がっていることから、利益確定売りが出ても価格が大きく下落することなく、買い手が売りを吸収していることが示されている。

米雇用統計の発表を受け、8月初旬に580ドルを上抜けて以降、BNBは心理的な節目となる600ドルを一貫して上回って推移している。これは、小幅な押し目でも買い手が積極的に買いを入れていることを示している。
モメンタム系指標も引き続き強気寄りだ。MACDは強気のクロスを維持しており、MACDラインは9.11と、6.87のシグナルラインを明確に上回っている。プラス圏のヒストグラムは横ばいになり始めているものの、依然として売り圧力より買いの勢いが強いことを示している。
強気材料によってBNBチェーン上の米国株取引に伴う需要がさらに強まれば、目先のレジスタンスはドンチャン・チャネル上限の620ドル付近となる。この水準を明確に上抜け、その状態を維持できれば、次の心理的なレジスタンスである640ドル付近まで上昇余地が広がる可能性がある。
一方、下値では600ドルが最初のサポートとなり、その次がドンチャン・チャネルの中間線にあたる591ドル付近となる。
ただし、BTCとETHがそれぞれ6万2000ドル、1,850ドルの重要水準を維持できなければ、市場の弱気心理がBNBを含む主要アルトコインにも波及する可能性がある。過去の暗号資産市場の大幅な調整局面でも、こうした動きはしばしば見られてきた。


