・ビットコインマイニングの採算悪化が4〜6月期の業績を圧迫し、MARAとCleanSparkはいずれも売上高が前年同期比で2桁減となった。
・両社は、データセンターが長期的により大きな収益源になると見込み、AIおよびハイパフォーマンス・コンピューティング(HPC)向けインフラを拡充した。
・TheEnergyMagの分析によると、投資家は企業の選別姿勢を強めており、インフラ計画の発表そのものよりも、AI事業を実際に収益化できるかどうかを重視するようになっている。
ビットコインマイニング収益が減少する中、MARAとCleanSparkがAIインフラ投資を強化
上場する大手ビットコインマイニング企業のMARA HoldingsとCleanSparkは8月6日、マイニング競争の激化や暗号資産価格の低迷を背景に、四半期売上高が減少したと発表した。
MARA Holdingsの第2四半期売上高は1億7490万ドルとなり、前年同期の2億3850万ドルから27%減少した。6月30日までの2026年度第3四半期決算を発表したCleanSparkの売上高は1億3800万ドルで、前年同期比30.5%減となった。
両社は、ビットコイン(BTC)価格の下落に伴う保有BTCの公正価値評価損が業績を大きく圧迫し、前年同期の黒字から大幅な赤字に転落した。
MARAは6億1130万ドルの純損失を計上した。前年同期は8億820万ドルの純利益を計上していた。今回の業績悪化には、保有するBTCの未実現損失3億4300万ドルが含まれる。調整後EBITDAも、前年同期の12億ドルの黒字から3億6090万ドルの赤字に転じた。

MARAは同四半期中に2,422BTCを採掘した。採掘時の平均BTC価格は約7万1325ドルで、2,213BTCを平均7万3078ドルで売却した。
業績が悪化した一方、通電済みハッシュレートは前年同期比22%増の70.3EH/sに拡大した。1ペタハッシュ当たりのコストも4%低下し、運用効率は改善した。
CleanSparkは、BTCの公正価値評価損1億1630万ドルを計上し、純損失は2億3980万ドルとなった。
6月末時点で、同社は現金2億260万ドルと、8億1490万ドル相当のBTCを保有していた。また、1.8ギガワット超の電力、用地、データセンターで構成されるポートフォリオを管理している。
一方、両社は従来型のビットコインマイニング事業からAIインフラ事業へ軸足を移すため、戦略的投資を引き続き拡大している。
MARAは、オハイオ州にある電力・インフラ資産Long Ridge Energy & Powerを15億ドルで買収する計画を進めている。
経営陣は、同資産が買収完了後すぐにプラスのEBITDAを生み出すとともに、AIホスティング能力の拡大に貢献すると見込んでいる。
また、テキサス州マタゴルダ郡の大規模用地を取得する契約を締結した。同用地は最大2ギガワットの電力容量に接続できる見通しで、全面通電した場合、Long Ridgeの買収予定分を含む同社の潜在電力容量は約4.8ギガワットに拡大する。
「ビットコインマイニングが当社の基盤を築いた。デジタルインフラに加え、Exaionや技術分野での取り組みによって、その基盤から生み出す価値をさらに拡大できると考えている」─MARAのフレッド・ティール会長兼CEO
CleanSparkも、ジョージア州サンダースビルで新たに発表した20年間、総額66億ドル規模のデータセンター向けインフラ・リース契約を取り上げた。
同社は、この契約について、保有するエネルギーインフラが暗号資産マイニング以外からも長期的かつ継続的なキャッシュフローを生み出せることを示すものだと説明した。
ウォール街がAI事業の収益性を求める中、AI関連発表日のマイニング株の値動きは縮小
AIインフラへの投資が加速しているにもかかわらず、投資家はビットコインマイニング企業が新たなAI関連の取り組みを発表しただけでは、積極的に評価しなくなりつつある。
BlocksBridge Consultingが8月6日、ニュースレター「Miner Weekly」のSubstackページで公表した分析によると、AIインフラ契約の規模が拡大し続ける一方で、関連発表に対する市場の熱狂は徐々に冷めている。
同分析では、2024年6月から2026年8月4日までに発表されたAIおよびHPC関連のインフラ発表25件を対象とした。
その結果、発表当日の平均株価変動率は、最初の8件の24.1%から直近8件の10.2%へ低下した。ここでいう変動率は、上昇・下落の方向を問わない絶対値である。

この結果は、投資家の関心が発表された契約金額の大きさから、事業の実行リスクや資金調達、長期的な収益性へと移ったことを示している。
マイニング企業によるAI転換が注目され始めた当初、関連発表は市場から大きな反応を引き出していた。
Core ScientificがCoreWeaveとの最初のホスティング契約を発表した際には、株価が40%以上上昇した。Applied Digitalも、CoreWeaveとの最初のリース契約を受けて約49%急騰した。TeraWulfがFluidstackとの最初の契約を発表した際には、株価が約60%上昇した。
しかし、最近の発表では、契約規模がより大きいにもかかわらず、株価の上昇幅は大幅に縮小している。
TeraWulfが発表した401メガワット規模のAnthropic向けリース契約では、株価の上昇率は約5%にとどまった。CleanSparkの総額66億ドルのデータセンター向けインフラ・リース契約でも、株価は約9%の上昇にとどまった。
Bitdeerが直近で発表したTydalとの提携では、株価が一時約12%上昇したものの、終値では上昇分をすべて失った。

ビットコインマイニング業界全体の株価動向にも、こうした投資家心理の冷え込みが表れている。
上場するデジタルインフラ企業の株価を追跡するTheEnergyMagの「AI Infrastructure Growth Index」は、6月に付けた高値から約28.5%下落した。
一方、半導体の設計、製造、販売を手がける大手企業30社で構成される主要株価指数、フィラデルフィア半導体株指数(SOX)も、7月の高値から約17%下落している。
さらに、イーロン・マスク氏が率いるSpaceXの株価は8月5日、前日に発表した決算が市場予想を上回ったにもかかわらず、13%以上下落した。AI関連設備投資の急増が投資家に警戒されたためだ。


