・テザーは第2四半期に15億ドルの営業利益を計上した。米国債やレポ市場から得られる利回りが、引き続き利益をけん引した。
・流通するUSDTの供給量は1846億ドルに増加した。暗号資産市場全体の時価総額が12.6%減少する中でも、テザーは世界のステーブルコイン市場で60%超のシェアを確保した。
・イタリア銀行の調査では、ステーブルコインを利用した海外送金が、従来型の送金手段よりも常に安価とは限らないことが分かった。法定通貨への交換コストが、依然として最大の障壁となっている。
米国債がテザーの第2四半期利益をけん引、準備金の超過額は40億ドルを突破
世界最大のステーブルコイン発行企業であるテザーは、第2四半期に財務基盤を一段と強化した。主要指標からは、従来型の債券市場が引き続き同社の成長を支える最大の原動力となっていることが示された。
テザーの発表によると、同社は第2四半期に約15億ドルの純営業利益を計上した。あわせて、世界有数の独立系会計事務所BDOが作成した保証報告書では、6月30日時点の準備資産や負債などが確認された。
純営業利益は主に、米国債ポートフォリオとレポ取引の運用実績に支えられた。テザーは、米国政府が発行する債券の利回りが長期にわたって高水準を維持する環境を収益につなげた。

第2四半期にテザーの市場シェアが拡大した一方、世界の暗号資産市場全体の時価総額は12.6%減少した。
2026年第2四半期の暗号資産市場の時価総額は12.6%、金額にして3048億ドル減少し、四半期末時点で2兆1000億ドルとなった。四半期ベースでは3期連続の減少となり、市場全体の規模は2024年9月以来の低水準に落ち込んだ。
暗号資産市場が低迷する中でも、USDTの供給量は4億4600万ドル増加し、1846億ドルに達した。
これにより、テザーの市場シェアは60%を上回った。競合他社が同規模の資金流入を呼び込むことに苦戦する中、テザーの優位性が一段と強まった。
同社は準備資産のポートフォリオも調整した。報告書によると、6月30日時点でテザーの総資産は1877億5000万ドル、負債は1836億4000万ドルだった。準備金の超過額は41億1000万ドルとなった。
この準備資産の超過分は、流通するUSDTを裏付けるために必要な額を上回る追加的な安全余力として機能する。
担保付き融資へのエクスポージャーは約23億8000万ドル、率にして15%減少した。これにより、これまで規制当局から厳しい監視を受けてきた準備資産の構成要素の一つが縮小した。
一方、テザーは四半期中に現物の金を新たに14トン追加し、総保有量を146トン超に引き上げた。
これにより、米国債ポートフォリオと並ぶ形で準備資産の分散が一段と進んだ。地政学的な不確実性が高まる中、実物資産へのエクスポージャーも拡大した。
「当四半期の純営業利益は15億ドルとなった。好調な米国債ポートフォリオとレポ取引の運用実績が利益をけん引した」─パオロ・アルドイノCEO
また、テザーは担保付き融資へのエクスポージャーを引き続き縮小する一方、世界有数の米国債購入者であり続けていると説明した。
イタリア銀行、ステーブルコイン送金はブロックチェーンよりも銀行の決済網への依存度が高いと指摘
テザーがステーブルコイン経済の供給面を拡大し続ける一方、新たな調査では、ブロックチェーンだけでは国際送金の経済性をめぐる課題をまだ解決できていないことが示された。
イタリア銀行が公表した調査では、イタリアとブラジル、アルゼンチン、日本、アラブ首長国連邦、南アフリカを結ぶ10の送金ルートを対象に、それぞれ200 USDCを送る実証実験が行われた。
研究者は、送金開始から受け取りまでにかかる総コストと決済完了までの時間を、従来型の海外送金事業者と比較した。

研究者は、ブロックチェーン上の取引手数料が送金コスト全体に占める割合は小さいと結論付けた。
実際には、法定通貨への交換コストや為替スプレッド、各地域の決済インフラにかかる費用が大半を占めていた。
調査対象となった送金ルートでは、ステーブルコインを利用した送金コストは0.3%から9%近くまで幅があった。その差を大きく左右していたのは、ブロックチェーンの処理効率ではなく、各地域の銀行インフラだった。
即時決済システムが整備されている地域では、送金は20分以内に完了した。一方、近代的な決済網が整っていない国や地域では、完了までに1~2営業日を要した。
研究者は、世界銀行の「Remittance Prices Worldwide」が示す2025年第1四半期の送金元国別の平均コストと、USDC送金のコストを比較した。その結果、USDC送金のコストは、アラブ首長国連邦発を除く対象ルートで各送金元国の平均を下回った。
ただし、直接比較が可能だった7つの送金ルートのうち、ステーブルコインのコストがWiseを下回ったのは3ルートにとどまった。
調査の著者らは、ブロックチェーンを主なボトルネックと捉えるのではなく、決済インフラこそがコストを左右する決定的な要因だと主張した。
また、受取人がデジタルドルを現地の法定通貨に交換することなく、商品やサービスの購入に直接利用できるようになれば、ステーブルコインがもたらす経済的な恩恵は大幅に拡大すると結論付けた。


