国際通貨基金(IMF)は7月、ブラジルの金融システム安定性評価(FSSA)報告書を公表し、ステーブルコインが同国の暗号資産(仮想通貨)市場の著しい成長で重要な役割を果たしてきたと指摘した。
特に米ドルにペッグされたステーブルコインは2017年以降急速に拡大しており、国境を越えた暗号資産の流れが伝統的な資本フローや名目GDPを上回るペースで増えているとして、より厳格な監視が必要だと述べた。
報告書によれば、ステーブルコイン購入額の変動の3分の1から3分の2は、VIX指数やビットコイン(BTC)価格などの外部要因で説明できる。フローの世界的ショックへの感応度は、伝統的な証券投資や直接投資の2〜3倍に達するという。
IMFは、ブラジル中央銀行(BCB)が暗号資産サービスプロバイダー(CASP)の規制にすでに着手している一方、顧客資産の保護、ステーブルコイン発行に関する規則、マネーロンダリング対策(AML)・テロ資金供与対策(CFT)の遵守といった分野にギャップが残ると指摘した。
「ブラジルの暗号資産市場は規模が大きく、急速に成長しており、従来の金融システムとの相互接続性がますます高まっている」と報告書は述べている。発行体規制については金融安定理事会(FSB)の勧告に沿った権限整備を勧告した。
BCBの制度整備は加速している。2月にCASPの登録制度が施行され、4月30日には決議561号によって、規制対象の国際送金サービスにおける暗号資産決済を10月1日から禁じた。Gabriel Galípolo(ガブリエル・ガリポロ)総裁は2月、国内の暗号資産フローの約9割がステーブルコイン関連だと語っている。
世界のステーブルコイン時価総額は7月28日時点で約3100億ドル(約49兆6000億円、1ドル=160円換算)と、5月のピークから約100億ドル減った。アメリカでは2025年7月成立のGENIUS法の下で規則づくりが続いている。
日本は2023年6月施行の改正資金決済法でステーブルコインを電子決済手段と位置づけ、発行体を銀行、資金移動業者、信託会社に限定した。IMFがブラジルに求める発行体規制を先行して整えた形だ。もっとも国内はドル建て流入圧力が乏しく、円建て発行が本格化する局面で国際的な監視基準がどう固まるかが焦点になる。
|文・編集:井上 俊彦
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