・ビットコイン(BTC)は6万3000ドル付近で値動きの小さい保ち合い局面に入っている。市場では、米消費者物価指数(CPI)の発表と、ケビン・ウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長による初の議会証言が注目されている。
・7月2日以降、1万2000BTC超が暗号資産取引所から流出する一方、7月の米国現物ビットコインETFの資金フローは純流入に転じた。
・テクニカル指標では、BTCのボラティリティが60日ぶりの低水準まで低下している。今週予定されているマクロ経済イベントをきっかけに、相場が大きく動く可能性がある。
BTCは6万3000ドル付近で保ち合い、CPIとウォーシュFRB議長の初証言に注目
BTCは7月第1週に10%上昇し、6日続伸した後、6万2000~6万4000ドルの範囲で保ち合い局面に入った。月曜日の取引は6万3000ドル付近で始まった。
相場が足踏みしている背景には、今月最も重要なマクロ経済イベントの一つが迫っていることがある。投資家は、7月14日に予定されている6月の米消費者物価指数(CPI)の発表と、ケビン・ウォーシュFRB議長による半期金融政策報告に関する初の議会証言を待っている。
GoldSilver.comは、6月の総合CPIが4.0%を上回る場合のシナリオとして、「ウォーシュ氏は強いインフレ指標を背に議会証言に臨むことになり、ハト派的な発言をする理由はない」と分析していた。
5月のインフレ報告では、総合CPIが前年同月比4.2%に加速し、3年ぶりの高水準となった。コアCPIも2.9%に上昇しており、市場は引き続きインフレ動向に敏感になっている。
ガソリン価格の下落によって、6月の総合CPIの伸びは鈍化する可能性がある。一方、住居費、運輸サービス、医療分野のインフレが根強く続けば、7月28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、FRBが高金利を維持するとの見方が強まる可能性がある。

CME FedWatchによると、7月FOMCで金利が据え置かれる確率は66.3%、0.25ポイント引き上げられる確率は33.7%となっている。
ウォーシュ氏の証言では、今後の金融政策の見通しや、新たなFRB議長がインフレリスクをどのように捉えているかについて、新たな手掛かりが示されるとみられる。その内容次第では、これらの確率が大きく変動する可能性がある。
インフレ指標が市場予想を下回り、ウォーシュ氏の発言も想定ほどタカ派的でなければ、年内の金融緩和期待が再び高まり、BTCをはじめとするデジタル資産を下支えする可能性がある。
一方、インフレ指標が予想以上に強い内容となるか、物価安定を重視する明確な姿勢が示された場合は、米ドルが上昇し、暗号資産市場の重しとなる可能性がある。
7月にETFへの資金流入が回復、取引所のBTC準備高は約1万3300BTC減少
BTCは狭い値幅で取引されているものの、オンチェーンデータでは、取引所で直ちに売却可能なBTCの供給が減少していることが示唆されている。
CryptoQuantのデータによると、暗号資産取引所が保有するBTCの残高は、7月2日の272万4723BTCから、月曜日には約271万1399BTCまで減少した。この期間に、中央集権型取引所の保有残高は約1万3300BTC減少したことになる。

取引所からの流出は、一般的に強気のシグナルと解釈される。BTCが取引所外へ移されることで、取引所ですぐに売却できる供給量が減少すると考えられるためだ。
取引所における供給量の減少と、市場に好材料となるCPIの結果やウォーシュ氏のハト派的な発言が重なった場合、売却可能な流動性の低下によって価格上昇が増幅される可能性がある。
ETFを通じた需要も改善している。米国の現物ビットコインETFは、2026年6月に過去最大となる45億ドルの資金流出を記録した後、小幅ながら持ち直した。
7月10日(金)には9040万ドルの純流入を記録し、同日までの7月の累計純流入額は約1億2490万ドルとなった。

一方、デリバティブ市場では、マクロ経済上の材料を前に慎重なポジション取りが見られる。
CoinGlassのデータによると、取引高は54.4%増の433億ドルに急増し、オプション取引高も34.9%増の14億3000万ドルとなった。トレーダーが今後のボラティリティ上昇に備え、ヘッジを強めている可能性を示している。
資金調達率もプラス圏を維持している。保ち合い相場が続くなかでも、レバレッジ取引を行うトレーダーがやや強気の姿勢を維持していることが分かる。
ただし、未決済建玉は0.82%減の465億ドルとなった。火曜日の発表を前に、市場参加者が明確な方向性を見込んだ大規模なポジションの構築に慎重になっていることを示している。
BTC価格見通し:ヒストリカル・ボラティリティが急低下、ボリンジャーバンドの収縮がブレイクアウトを示唆
テクニカル面では、日足チャートのボリンジャーバンドが大幅に収縮しており、ここ数週間で最も狭い取引レンジの一つとなっている。
過去の傾向では、ボリンジャーバンドの収縮が長く続いた後、ボラティリティが市場に戻ることで、価格が一方向へ大きく動くケースが多い。
同時に、ヒストリカル・ボラティリティ(HV)は20.58まで低下し、5月11日以来の低水準となった。
BTCのHVが60日ぶりの低水準まで落ち込んだことは、トレーダーが次の方向性を決めるマクロ経済上の材料を待つなか、過去1週間の実際の値動きが落ち着いていたことを裏付けている。
Anchorage Digitalのリサーチ責任者デビッド・ラワント氏は、米国のマクロ経済指標を、BTC価格を動かす最大の要因に挙げた。

上昇シナリオでは、BTCがボリンジャーバンドの中央線に当たる20日移動平均線付近の6万3000ドルを上回って取引されていることが、強気派にとっての支援材料となる。
終値で同水準を継続的に上回れば、特にマクロ経済指標がリスク資産に追い風となった場合、勢いに乗った買いが入り、心理的な節目である6万6000~6万8000ドルを目指す可能性がある。
下落シナリオでは、6万2000ドルの支持線を維持できなければ、BTCはボリンジャーバンド下限に当たる6万500~6万1000ドル付近を試す可能性がある。
ただし、取引所準備高の減少、ETFへの資金流入の改善、資金調達率のプラス推移を踏まえると、売りに回り得る流動性は比較的限られているとみられる。


