・イーサリアムの年間消費電力量は7.87GWhまで減少し、マージ以前と比べて99.9%以上削減された。
・ケンブリッジ代替金融センターの推計によると、イーサリアムの観測可能なフルノードの約62%が4カ国に集中している。
・現在、ETH(イーサリアム)の総供給量の約33%がステーキングされている。ネットワークに残る環境負荷は、プルーフ・オブ・ステークの合意形成方式そのものよりも、ノードが設置されている地域の電力網や電源構成に左右されるようになっている。
PoSで電力需要が急減、イーサリアムの年間消費電力量は7.87GWhに
ケンブリッジ代替金融センターの新たな報告書によると、イーサリアムの年間消費電力量は約7.87GWhまで減少した。2022年9月にネットワークがプルーフ・オブ・ステークへ移行して以降、プルーフ・オブ・ワーク時代の最終的な基準値と比べて99.9%以上減少したことになる。
調査では、イーサリアムの現在の継続的な電力需要は約0.90MWと推計された。マージ以前の約2.4GWから大幅に減少した。
報告書によると、この削減により、かつて小国に匹敵する電力を消費していたイーサリアムは、現在ではロンドンの大英博物館の年間電力需要の半分未満で稼働するネットワークへと変化した。
研究者らは、20種類のクライアント構成について実機の消費電力を測定し、実際のホスティング環境の分布を加味したうえで、約8,522台の観測可能なフルノードからなるネットワーク全体の消費電力をボトムアップ方式で推計した。
分析の結果、ホスティング環境の構成比を加味したイーサリアムのノード1台当たりの加重平均消費電力は、約105Wとなった。
軽量な家庭用ノードの消費電力は中央値で18Wだった一方、企業向けワークステーションで運用されるノードは約152Wを必要とした。
![Screenshot | NADA NEWS(ナダ・ニュース) Line chart 'Supply Staked' showing blue Total ETH Staked and pink % of Supply Staked over 90 days, ending Jul 9, 2026 at 40,302,283 ETH and ~33%.]](https://www.nadanews.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
報告書は、プルーフ・オブ・ステークでは、ステーキングされた資本がネットワークを経済的に保護する一方、実際に電力を消費するのは物理ノードであると説明している。
ValidatorQueueのステーキングデータによると、2026年7月10日時点で約4030万ETHがステーキングされている。これはイーサリアムの流通供給量の33%に相当する。
イーサリアムノードの62%が4カ国に集中
イーサリアムは合意形成方式を変更したことで、従来の大規模なエネルギー消費をほぼ解消した。一方、報告書は、ネットワークに残る環境負荷が4カ国に大きく集中していると結論づけた。
イーサリアムのフルノードの約31%は米国に設置されている。ドイツが16%、フィンランドが8%、フランスが6%で続く。
この4カ国を合わせると、ネットワークのノードインフラ全体の約62%を占める。
研究者らは、ホスティング環境の面では一定の分散性が保たれていることも明らかにした。ノードの約36%は家庭用機器で稼働しており、残る64%はクラウドサービスや企業向けデータセンターで運用されている。

ただし、インフラは依然として一部の事業者に集中している。
ドイツのクラウド企業Hetzner、Amazon Web Services(AWS)、フランスのホスティング事業者OVHの3社が、イーサリアムのフルノード全体の約40%をホストしている。
使用されるソフトウェアも一部のクライアントに集中しており、実行レイヤーのノードの約79%がGethまたはNethermindのいずれかを使用している。
報告書は、イーサリアムの稼働に使われる電力の56.4%が持続可能なエネルギー源から供給されていると推計した。内訳は、再生可能エネルギーが39.4%、原子力発電が17%となっている。
単独の電源として最も割合が大きいのは天然ガスで、イーサリアムのインフラに供給される電力の27.7%を占めている。
その結果、ネットワークの年間温室効果ガス排出量は、二酸化炭素換算で約2.37キロトンまで減少した。マージ以前と比べて約99.98%の削減となる。
報告書によると、現在残っているイーサリアムの排出量を、高品質な自然由来の炭素除去クレジットで相殺する場合、現在の市場価格では2万5000ポンドから5万5000ポンドの費用がかかると推計される。
今後について、ケンブリッジ大学の研究者らは、イーサリアムの環境性能は、ノードが集中する各国の電力網で脱炭素化がどの程度進むかに左右されると指摘している。


