・原油価格が2週間ぶりの高値から下落するなか、暗号資産市場で約1億800万ドル相当のショートポジションが清算され、ビットコイン(BTC)は6万3000ドルを上回った。
・Alpine Macroのダン・アラマリウ氏は、世界経済は中東におけるエネルギー供給の混乱におおむね適応しており、インフレが長期化するとの懸念は和らいでいると述べた。
・相場は上昇したものの、デリバティブ市場で未決済建玉の伸びが鈍いことやビットコインETF(上場投資信託)からの資金流出再開は、機関投資家の相場回復に対する確信が依然として弱いことを示唆している。
WTI原油が1バレル=70ドル台前半まで下落し、BTCは6万3000ドルを突破──投資調査会社Alpine Macroのアナリストは経済への影響を限定的と予想
BTCは7月10日金曜日に2%超上昇し、6万3000ドル台を回復した。米国による空爆再開を受けて水曜日に原油価格が急騰したものの、その後1バレル=70ドル付近まで下落したことが背景にある。
北海ブレント原油は水曜日、中東で地政学的緊張が再燃したことを受け、一時1バレル=76ドルを上回り、約2週間ぶりの高値を付けた。しかし、市場参加者が供給混乱の長期化リスクを見直したことで、価格はすぐに下落した。
Yahoo Financeの報道によると、Oxford Economics傘下の投資調査会社Alpine Macroでチーフ地政学ストラテジストを務めるダン・アラマリウ氏は木曜日、エネルギー市場は地政学的ショックに対する耐性を高めているとの見方を示した。
「経済全体への打撃は、懸念されているほど大きくない可能性がある。世界はすでに適応している」
アラマリウ氏によると、エネルギーの輸出ルートは、過去4カ月間で変更が進んでいる。また、中国などの主要輸入国は、価格が上昇した際にエネルギー需要を抑えられることを示しているという。
原油価格の落ち着きはリスク資産全体の投資家心理を改善させ、BTCは米国株とともに回復した。
BTCと原油の連動性も、ここ数週間で大幅に高まっている。TradingViewのデータによると、両者の30日間の相関係数は約プラス0.75まで上昇した。米国とイランが停戦合意の方針を示した6月15日時点では、0.4前後だった。

この正の相関関係は、マクロ市場のトレーダーが、BTCと原油をインフレや地政学リスクという共通の観点から捉える傾向を強めていることを示している。
供給混乱への懸念から原油価格が急騰すると、投資家が金融引き締めの強化を警戒するため、最近のBTCはほかのリスク資産とともに下落する傾向がある。反対に、エネルギー価格が下落すればインフレ期待が弱まり、株式や暗号資産への需要を支える要因となる。
暗号資産のショート約1億800万ドルが清算、デリバティブ指標はBTC回復に対する市場参加者の慎重姿勢を示唆
BTCの反発を受け、暗号資産のデリバティブ市場ではショートポジションの清算が相次いだ。
CoinGlassによると、過去24時間に5万7046人のトレーダーが清算され、強制清算の総額は1億7190万ドルに達した。このうちショートポジションの清算額は約1億790万ドル、ロングポジションの清算額は約6400万ドルだった。

ただし、BTCのデリバティブ市場における日中のポジション変化を詳しく見ると、価格が回復した後も、積極的なトレーダーは慎重な姿勢を維持している。

BTCの未決済建玉はわずか0.35%の増加にとどまり、BTC価格の日中上昇率である約1.6%を大きく下回った。
未決済建玉は、決済されずに残っている先物契約の総額を示す指標だ。相場が上昇しているにもかかわらず増加が小さい場合、新たなレバレッジポジションが市場にほとんど入っていないことを示すのが一般的だ。
取引活動も引き続き低調だった。先物取引高は1.45%減少して約540億ドルとなり、今回の上昇は新たな買い需要よりも、ショートポジションの買い戻しによって押し上げられた可能性が高いことを示している。
一方、オプション市場ではやや前向きな動きが見られた。オプション取引高は7.9%増加して約29億ドルとなり、現在の価格水準をめぐるヘッジ需要が高まっていることを示した。
短い時間軸では、売り手が再びショートポジションを積み上げ始めている。CoinGlassのポジションデータによると、4時間足ではショートがわずかに優勢となった。一方、12時間足と24時間足では、引き続きロングが優勢だった。
機関投資家による現物需要も再び弱まった。米国の現物ビットコインETFは、水曜日に8490万ドル、木曜日に9530万ドルの純流出を記録した。
それ以前には3営業日連続で合計5億1000万ドルの純流入を記録しており、この資金流入により、6月後半に続いていた根強い売り基調は一時的に中断していた。
BTC価格予想:RSIが改善、BTCは6万6000ドル付近の主要な抵抗線に接近
テクニカル面では、BTCの相対力指数であるRSIが、週初めの約45から50弱まで回復した。買い圧力が徐々に戻るなか、弱気の勢いが薄れていることを示している。
RSIは直近の価格変動の速さや勢いを示す指標だ。一般的に、50を上回ると買い手が優勢で、50を下回ると売り手が依然として優勢であることを示す。

BTCの回復に対する慎重な見方を裏付けるように、使用済みアウトプット利益率であるSOPRは現在、約0.993となっており、中立水準の1.0をわずかに下回っている。
SOPRは、オンチェーン上で移動したコインが、利益または損失のどちらの状態で売却されたかを示す指標だ。1を下回る場合、保有者が平均的に損失を確定していることを意味し、市場全体の確信がまだ十分には回復していないことを示唆する。
BTCの目先の支持線は5万7900ドル付近にある。次の主要な抵抗線は6万6200ドル付近で、その上にはさらに強い上値抵抗線となる7万3500ドル付近が控えている。
日足終値で6万6200ドルを安定的に上回れば、買い手が中期的な勢いを取り戻したことが確認され、強気シナリオがより有力になる。
反対に、6万ドルを維持できず、特にETFからの資金流出が続き、デリバティブ市場への参加も低調なままであれば、より持続的な回復に向かう前に、再び5万8000ドル付近の支持線を試す可能性がある。


