・TeraWulfは、2030年までにAIおよびHPC向けで1ギガワット超の電力容量を支え得る、ケンタッキー州の新たな開発用地を取得した。
・WULF株は火曜日に急伸し、投資家は今回の拡張が同社のビットコイン採掘以外への事業展開を強めるとみている。
・今回の動きは、マイニング企業がAIインフラや高性能コンピューティングへ軸足を移す業界全体の流れをさらに後押しするものだ。
TeraWulf、ケンタッキー州の新データセンター用地取得でAI・HPC展開を加速
ビットコイン採掘企業TeraWulfの株価は火曜日、2桁の上昇を記録し、時価総額は15億ドル以上増加した。同社が、最終的にAIおよびHPC向けで1ギガワット超の電力容量を支え得る、ケンタッキー州の大規模データセンター開発用地を取得したと発表したことが材料視された。
TeraWulfはXへの投稿で、最初の500メガワットは2028年までに稼働を開始する見込みで、さらに500メガワットを2030年までに展開する計画だと明らかにした。
新たな「Muskie Data」キャンパスには、計画中の電力網インフラと長期電力契約が含まれる。これは、同社が中核事業であるビットコイン採掘に加え、エネルギーへのアクセスと送電能力を活用し、大規模AIインフラ提供企業としての地位を築こうとする戦略を強化するものだ。
創業者兼CEOのポール・プレイガー氏は、今回の拡張について、世界的なAIインフラ開発で深刻化する電力不足を事業機会として捉えた戦略的な動きだと位置付けた。
「前回の決算説明会でも述べた通り、AIインフラにおける決定的な制約は、もはや演算用ハードウェアだけではない。電力、送電インフラ、そして実行の確実性だ」─TeraWulf CEOのポール・プレイガー氏、5月26日
今回の取得は、TeraWulfのAI・HPC事業が急速に成長を続けるなかで行われた。同社は最近、HPC関連収益が117%増加したと報告している。成長を主に牽引したのは、ニューヨーク州西部にあるLake Mariner施設で、同施設は北米最大級の高性能コンピューティングキャンパスの一つとされる。
ソフトウェア、フィンテック、デジタルインフラに注目する投資調査アカウントのRittenhouse Researchは、TeraWulfが既存のテナント交渉で契約締結に近づいていなければ、追加の未開発用地を取得する可能性は低いとの見方を示した。
「2027年の通電を予定する既存の480メガワットプロジェクトで、リース契約の締結がかなり近い段階にないのであれば、同社がケンタッキー州で追加のグリーンフィールド容量を取得するとは非常に考えにくい。そのため、この案件に関するテナント発表がごく近いうちにあると予想している」─Rittenhouse Research、5月26日
TeraWulfのより広範なAI戦略は、モルガン・スタンレーを通じて組成された既発表の30億ドル規模の資金調達枠によっても支えられている。この枠組みでは、データセンター拡張計画に関連する債務調達パッケージの一部について、Googleが信用補完する形となっている。
同社は、直近のビットコイン半減期後に採掘収益性への圧力が強まるなか、AIインフラ事業者としての位置付けを強めるビットコインマイニング企業の一角に加わった。Hut 8、HIVE Digital、MARA Holdings、IREN、Riot Platformsはいずれも、過去1年で同様の多角化戦略を加速させている。
WULF株の上昇、ビットコイン採掘セクター全体に波及 米株高と旺盛なAI需要が追い風
ケンタッキー州での拡張のニュースを受け、TeraWulf株は火曜日に急伸した。投資家は、AIインフラブームの恩恵を受けるとみられるマイニング企業への投資を増やした。

Yahoo Financeのデータによると、WULF株は5月26日火曜日、ニューヨーク市場の取引序盤に一時13.6%上昇し、1株26ドルに迫る場面があった。約3週間ぶりの高値を付けた後、終値は25ドル近辺となった。
上昇はビットコイン採掘セクター全体にも広がった。Hut 8、IREN、Riot Platformsはいずれも5%超上昇して取引を終えた。投資家が、AI関連の収益源を構築するマイニング企業へ資金を振り向けたためだ。

一方、アプライド・デジタルは、主要なビットコイン採掘株トップ10の中で、火曜日のセクター全体の上昇に加わらなかった唯一の銘柄だった。
暗号資産マイニング株全体の上昇は、米国株式市場で新たな最高値が更新されたタイミングとも重なった。S&P 500指数は7,500を上回り、情報技術株と半導体株がウォール街全体の上昇を主導した。
執筆時点で時価総額が約125億ドルに迫るTeraWulfは、投資家の期待を背景に、2026年初から株価が約120%上昇している。S&P 500や従来型テクノロジー企業の多くを大きく上回るパフォーマンスとなっている。



